第28回 民教協スペシャル 嗣治からの手紙~画家は、なぜ戦争を描いたのか~

戦争と芸術

この巨大な主題のもとで、戦時中、多くの画家たちが国家のために戦争記録画を描いた。
中でも、画家・藤田嗣治は、玉砕相次ぐ敗色濃厚なときにあっても、「戦争と芸術」というテーマに立ち向かい、 そのために、藤田は異国の地に去り、生涯日本に帰ることはなかった。

敗戦後、戦争記録画は軍部のプロパガンダと貶められ、現在まで、一堂に公開されることもなく美術館の倉庫に保管されている。戦争画の実像が見えづらいのと同様に、戦後の日本で、藤田嗣治の実像も見えづらかった。

  • 「結局私たちは成すべきことをなして破(原文ママ)れたので決して後悔はしません。 やはりああ言ふ道を渡らなければならなかった運命に忌まれたのだったと思います。」(1945年8月31日付の手紙)
  • 「戦争が烈しい間はいいものができます。戦争が すんだらもう描けません。僕たちもよく描きました。 しかし最後の画こそ真剣にかく画でなくてはならぬと 思って自重しています。生きのびて、この光景を 残さなければなりません。」(1945年6月30日付の手紙)

藤田嗣治が友人に宛てた未公開の手紙には、戦争に翻弄された画家の、流転の生涯がにじむ。藤田の心情を読み解き、「画家は戦争や国家とどう向き合ったのか」、「敗戦を境に日本に何が起きたのか」、その一端に迫る。

渾身の力を込めた絵画が、そのまま戦争協力に短絡され、長らく批判にさらされ続けた藤田嗣治。手紙には戦争と芸術の悲劇的な関係とともに、責任を他人に押し付けて恥じない日本の戦後思想の原点が浮かび上がる。

(藤田嗣治(ふじた・つぐはる)=1886-1968)
1886(明治19)年、東京生まれ。父親は陸軍軍医で、同じく軍医だった文豪・森鴎外の後任として最高位の軍医総監を務めた。 少年時代から画家を志していた藤田は明治43年東京美術学校洋画科卒業。大正2年(1913)に渡仏。無名だった藤田はピカソやモディリアーニら各国の若い画家との交流で刺激を受け、貧困の中、「1日18時間、絵筆を持った」と語る努力と、乳白色のマチエールと独特の線描で、たちまち「エコール・ド・パリ」(パリ派)と呼ばれる画家の代表格に上りつめた。その後、第2次世界大戦によるドイツ軍を避けて日本へ帰国。美術による戦意高揚を図った日本軍の方針に従い、従軍画家として度々戦地を訪れた。戦闘場面などを生々しく描写した「戦争画」を精力的に描いた。 1945年、終戦によって藤田は「戦争協力者」として大きな批判を受けた。失意の中、昭和24年(1949)に日本を離れ、アメリカを経て50年にフランスへ戻る。以後、日本には帰らず、55年に仏国籍を取得。59年にはカトリックの洗礼を受けてレオナール・フジタと改名した。晩年は人に会うのを避けてひっそりと暮らし、昭和43年(1968)1月29日、チューリヒで死去。81歳。
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