「従来の概念にとらわれない音楽」を求めて活躍するバイオリ二スト

今、日本を代表するバイオリニストの一人だ。独特の延びのある音色で観客を魅了する。
桐朋学園からカーチス音楽院…とバイオリンの超エリートコースを歩んできた古澤であるが、幼少期からバイオリンが嫌で仕方がなかったという。バイオリンが思うように弾けない、音楽の中身も表現すべきことの本質が分からない、分からないのにやり続けないといけないという苦痛とストレスで青春期を過ごしたという。得意なバイオリンを表現する場が「クラシック」でしかなかったこと…ここに古澤はとても窮屈な思いを感じていた。
彼の音楽に大きくインパクトを与えたのが上京してきたばかりの東京芸大の学生、葉加瀬太郎との出会いだった。「僕と一緒にバンドをしよう」突然古澤が発した言葉がきっかけで2人の新たな音楽家人生が始まる。2人はそれぞれに新しい音楽のカタチを模索していく。葉加瀬はクライズラ-&カンパニーを経て、情熱大陸のテーマソングで注目を集める。一方の古澤は新しい音を求めて模索を続ける。日本古来の音である雅楽や篳篥(ひちりき)などの楽器で独自の音を追求する東儀秀樹や伴奏楽器であったアコーディオンを「主役」に引き上げたアコーディニストCobaらとの出会いから、まさに糸を「つむぐ」ように新たな音の世界を開拓していく。
古澤を語る上で欠かせないのが「音でつながる」ことへのこだわりだ。廃校になった山里の校舎で全国から集まってきた子供達に直接バイオリンをレッスンしていくという「ミュージックキャンプ」も彼のライフワークだ。子ともたちと触れ合いながら音の楽しさや可能性を伝えていく取り組みは地元の人も巻き込んだ「音の輪」となっている。
さらにお寺や神社でのコンサートをまわっての小さな「奉納コンサート」も彼のライフワーク。環境の整っていない場所まで自ら出向き、観客により近い距離で、特別な装備をせずにバイオリンの音色だけで聴く人と対話するような小規模なコンサートだ。
もちろん、クラシック大家としての活動も欠かせない。世界的に著名なアーティストとの共演も多く、最近はベルリンフィルとのジョイントでも話題になっている。
アメーバーのように形を変えながら、新しい音を求める彼の行動の原点は何なのか?彼の新しい「音への挑戦」に密着取材する。