第656回番組審議委員会を5月18日(火)、RKB毎日放送本社会議室と各委員をインターネットで結ぶWEB会議で開催した。
<審議委員>
出席委員 8名
青栁 明彦、安部 進一郎、井手 健一郎、木下 結香子、小湊 真美、篠崎 香織、濱地 信市、森野 茂生
書面講評 2名
上符 友則、松本 義人
<放送事業者>
井上社長以下 計10名
<議題>
①社業説明
②番組審議
③業務報告
<議事の概要>
議題 番組審議
「イントレランスの時代」
プロデューサー:児玉克浩(報道局次長)、高藤秋子(テレビ制作部長)
ディレクター :神戸金史(デジタル報道担当局長)
5月4日(火・祝)午後3時40分~午後4時45分 放送
2020年JNNネットワーク協議会賞大賞、受賞記念放送番組。
2016年に障害者施設で45人を殺傷した障害者施設「津久井やまゆり園」事件の植松聖被告との接見を続け、現代の様々な不寛容の現実を取材したドキュメンタリー番組。通常のニュースでは報道されにくいヘイトスピーチの現場や、それに反対する活動をする人たちも取材。
委員からは
・不寛容による悲劇に、この番組は様々な角度から深掘りがなされていて、真正面から向き合うことの重要性を提起する、非常によい番組だった。
・ニュース番組では放送しないような強い映像をそのままあえて使い、敵意を向けられる人たちの嘆きや悲しみや戸惑いもしっかりと映していた。
・憎悪とか敵意とかが暴走しないようにするためにはどうしたらいいんだろうというのを常に意識せざるを得ない番組の作りになっていた。
・CMを挟まない約1時間の番組だったが、長さを感じさせずに緊張感を持って一気に視聴でき、徐々に番組に引き込まれていった。
・記者自身に障がいのあるお子さんがいることで、植松被告の差別意識や歪んだ正義感の異常性がより明確になっていた。
という評価する意見があった。
一方で、
・番組が描いたのは、不寛容というよりは根拠なくだれかを誹謗中傷する「憎悪」の時代に日本が入ったということではないか。
・不寛容さを表現している人々の現実を知らせる意味は大きいが、それぞれの立場や歴史的な背景、客観的な事実等が示されなければ、ただの不愉快な罵りあいを見せられているに過ぎないのではないか。
・この番組をゴールデンウィークのお昼の時間帯に選んで放送した意図は?
という意見があった。
制作者は
・イントレランス(不寛容)は、これからも深まっていくだろうから、この時代を記録しておくことが大事だと考えた。
・外部機関のJNNネットワーク協議会から評価をいただいたこともあり、より多くの方に見ていただこうと考えて、ゴールウィークを選んで放送した。強くメッセージを伝えるため、今回に限ってCMなしで57分間を一気に見ていただこうと考えた。
と説明した。