第647回番組審議委員会を6月16日(火)午後2時から、RKB毎日放送本社会議室で開催した。
今回はWEBによるリモート会議の形式とした。
<審議委員>
出席者 6名
安部 進一郎、木下 結香子、篠崎 香織、濱地 信市、原 祐一、平川 俊介
<放送事業者>
井上社長以下23名
<議題>
①番組審議
②業務報告
<議事の概要>
「さよなら前田有楽~成人映画館最後の日々~」4月5日放送
北九州市八幡東区にあった映画館前田有楽の65年間の歴史を閉じるまでの日々を追ったドキュメンタリー。
委員からは
・昭和を感じさせる映像と多くのインタビュー取材で多様な人物像を描いており、リアルな表現の中に引き込まれるような物語を感じる。制作者の努力に敬意を表したい。
・古くからある映画館や小劇場などが、時代とともに消えていく中で、それぞれの時代におけるそれらの存在価値や存在意義、また、それらに関わってきた人たちの思いを記録として残しており非常に良かった。
・映画を見ているようだった。よく取材していると評価するより、むしろ、取材対象である鈴木館長と取材者が一体化し、ドキュメントやレポートを超えた「物語」を紡ぎ出している。
・前田有楽の最後の姿を映像に収めることで、昭和の、かつて日本が確かに通ってきた力強くもどろどろとした歴史の空気や匂いまでをも何とか記録に収めておきたいという制作陣の意気込みを感じた。
・他者を認める態度など、大切なフレーズを拾っていて、それから広げてLGBTQや多様性がこの番組のもう一つのテーマだと分かる作りになっている。
と評価があった。
一方で
・一番伝えたかったことは何だったのだろうかと感じた。今では数少ない単館かつ成人映画に特化した映画館というものなのか、変わっていく街の姿なのか、成人映画館を営み続けてきた鈴木館長の姿なのか、利用者や地域住民にとっての映画館というものなのか、いろいろな視点が点在し、交錯しており、いささかメッセージをつかみ切れない。
・カメラアングルがやたらに低くがさごそと揺れて画質も悪い。前田有楽最後の姿を収める貴重な資料としての価値を高めるためにも館内の様子などは水平をしっかりと出して良い映像で収めてほしかった。
と意見があった。
制作者は
・テーマについては、問題はこうだとか、結論はこうですというより、何か起きていることを観察し、取り上げて、それで結果そこから考える材料を提供できればという気持ちが強かった。
・取材のきっかけは5年前からだが、閉館するにあたり取材を進めて、インタビューを重ねるうちにこの場の存在意義は大変大きいことを気づかされた。
と説明した。