RKB毎日放送株式会社

番組審議会報告

RKB毎日放送番組審議会の議事概要

第637回(2019年6月18日)
第637回番組審議委員会を6月18日(火)午後2時から、RKB毎日放送本社会議室で開催した。
<出席者>
審議委員……… 神本 秀爾、木村 治枝、都築 明寿香、安部 進一郎、平川 俊介 井上 和久、中村 弘峰、松藤 幸之輔
放送事業者……… 井上社長以下24名

<議題>
①テレビ番組審議
「毒の油を口にして ~カネミ油症事件50年~」 5月27日放送。
②業務報告
<議事の概要>
1968年に発生した「カネミ油症事件」から半世紀。今なお苦しみの中にある被害者たちを置き去りにて、風化しかかっているこの事件の問題を探る番組。

委員からは
・わかりやすくまとまっており、番組の質の高さ、社会性もあり飽きずにみられた。
・長年の取材の積み重ねがあって番組の制作につながっており、制作者の努力が見えた。
・カネミ油症事件を風化させないという目的は充分果たせている。
・被害者の苦しみ、悔しさといった思いが伝わり、本当にやるせないきもちにさせられた。
・現在、食の安全神話が崩壊しつつある中で、問題提起になる重要な番組だ。
・全体を通じて、一つのメッセージを伝えると言うよりもいくつもの解釈の素材をちりばめていた。
・加害者よりも被害者に寄り添ったつくりで、救済されることの難しさ、日本の法制度の限界にも言及され、普遍的なメッセージを内包している。
・番組の意義は事件の事を知らない人に問題意識を喚起させて、いろいろな意見を持つ人たちの議論を活発化させる意味があった。
・丹念に取材されており、コメントも端的に整理されており、立体的、総合的に分かりやすいつくりになっており、50年の節目の番組に相応しく良かった。
・この番組で、50年たってもこの事件が終わってないことに衝撃を受けた。
・全体を通して、事件に巻き込まれ人生を狂わされた被害者の方々の無念、やり場のない怒り、理不尽な社会構造により報われない現実、各関係者のかみ合わないそれぞれの言い分など伝え、虚しい時間の経過、見えない将来への被害者の不安な心境を克明につづっている。そして、そもそも国の役割とは一体何かというところに疑問を呈している。よくぞ今日に至ってこの事件を伝えてくれたと強く思う。
と評価があり

一方で
・主張をもっとはっきり出して欲しかった。そうすることによって、メディアとしての事件に対する責任の引き受け方になるのではないか。
・裁判の経過をもう少し具体的に解説を加えないと、根本的な司法の考え方、また国とカネカが何の責任も問われなかったのではないかとの印象が残り、誤解を招くのではないか。
・被害者のコメントが中心だと、逆に「加害者に責任がない」というところばかりがクローズアップされてしまう。
・テレビの限界を感じた。素材として衝撃的なシーンも多く、映像の言語として重くぶつかってきた。それに比して、ナレーションであえて結論つけているのは違和感がある。風化させず、拡散させるためにもナレーションや結論めいたものを番組の言葉としていわずに、映像の言語の力を信じて、映像を塊として、視聴者にぶつけたほうが重く,人に語り継がれ衝撃として残される。
・この問題をどう解決して行くのかというところまでもう一歩踏み込んで欲しかった。
・事件の深刻さ、理不尽さと救われない被害者の感情を伝えるところにとどまっており、どうしたらいいのかというところに至っていない。最後の「本当に助けてくれるのですか?」というナレーションもどこか投げやりで後味が悪い。これだけ取材したのなら、何か一歩前に進む提案のようなものがあればよかったと思う
・折角のいい素材で社会性も高いので、現在の若い層を中心として視聴習慣、メディア接触の仕方から、ネットでツイッターなどを用い短いフォーマットで動画保存し、さらに拡散するなどの手法が求められる。
という意見、提案があった。

制作者は
・50年を迎える節目というところでリサーチをしたとき、こんなに置き去りにされて救われていない事件があったんだという認識で取り組んでいった。
・限界を感じ、もう救いようがなく、こんな理不尽なことがまだ取り残されていて、これを世に出さなくてはいけないと思い制作をはじめた。
・カネミ倉庫、国、それにカネカの関係者は「被害者を救おう」という気持ちはまとまっていず、かみ合わない議論をずっとしている印象。そのかみ合わなさを一番出したいところだ。
・とりあえず、50年の現状を知っていただき、風化させたくないなという思いでの作りになった。
・提言は押しつけがましいという気がし、学者をはじめ、幾つか提言もいただき、採用した。まずは知っていただき、考えていただきたいという、その部分でとどまってしまった。
・カネミ油症の番組として節目での積み上げがなかったので、今回50年で作ったので、ぜひ60年とか70年で後輩に後を継いでもらいたいと思う。
と述べた。

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