RKB毎日放送株式会社

番組審議会報告

RKB毎日放送番組審議会の議事概要

第641回(2019年11月19日)
第641回番組審議委員会を11月19日(火)午後2時から、RKB毎日放送本社会議室で開催した。
<出席者>
審議委員……… 神本 秀爾、木村 治枝、平川 俊介、中村 弘峰
井上 和久、堀江 広重、松藤 幸之輔、村上 和彰
放送事業者……… 井上社長以下22名

<議題>
①番組審議
テレビ番組「わたしの仕事」
11月10日(日)25:20-26:20放送
②業務報告
<議事の概要>
「超売り手市場」とも言われる中でも、障害者には「ふつうに働くこと」がとても難しいのが現実だ。障害者雇用が進まない理由は何なのか、当事者たちの視点で考えたドキュメンタリー

委員からは
(印象)
・懸命に働こうとする前向きな若者たちと、それを何とか支えていこうとする周囲の温かい人たちが実に生き生きと映し出されていて、心を打たれた。
・患者を取り巻く環境やご家族の努力と葛藤についてさらに知ることができ感慨深かった。また、カメラワークがうまく、登場人物の心情や環境を映し出す映像の描写が美しかった。
・全体を通して、感動した。冒頭から最初の女性の笑顔がものすごく印象的で、引き込まれた。
・取材の対象になっている方々が目標に向かってけなげに努力されている姿がとても印象的で、その様子がすごくよく表現されていた。
・思いをかなえた人間の心持ちがすごく前向きであることがよく際立っていたし、当たり前に自分の幸せや夢を追求しようとする姿がすがすがしく感じられた。
・多くの登場人物が出てきて、どの方も、表情が豊かで明るいのが救いだった。特に日髙さんは感情表現が多様で、かわいらしくて、人間臭さが表に出ていて、本当に好感が持てた。

(テーマについて)
・重度の障がいを持つ方々の社会進出が、いかに難しいということの問題提起や、どのようなことが社会進出の妨げになっているのかということを広く伝えるという観点から、よくできた番組だ。
・一般企業の就職に対して高い壁があるということについて、日髙さんのように実際に就職できた方、それから、就職活動を諦めた方とか、在宅で夢を実現しようとしている方とか、これからその夢の実現のために進学を考えている方など、それぞれの思いをできるだけ多く拾い上げた点が、番組のタイトルにストレートにあらわれていて、非常によかった。
・制作意図は、就労中の介助に公的サービスを使えないということが障がい者の雇用の就職の壁になっていることを世の中に問いかけ、前向きな議論をするというメッセージを発することにあったと明確にとらえることができた。
・番組で取り上げた皆さんは、介助なしでは日常生活ができないが、何事にも前向きで、やりたいことを諦めない気持ちというのを強く持っている。彼女たちは、いろいろな人とかかわりを持てる環境社会の中で、さらに自分自身を高めたいという思い、「堂々と夢を実現できる社会になればいい」という思いを強く持っているが、その一方で、このまま努力を続けてもいいのかと、夢を諦めざるを得なくなったら大学に行く意味もないといった不安を一方で持って「自分の将来が怖い」と感じているといった話は、印象的で非常にショックを受けた。
・国や行政は就学における介護などについて、「福祉で行うべきか」、「教育で行うべきか」や就労においては「福祉で行うべきか」、「企業で行うべきか」など、議論ばかりで一向に結論を出さない、相変わらずの縦割り主義で本当に無力であり、非常に残念に感じた。

(その他)
・仕事とは一体何なんだろうと改めて深く考えた。自己実現、あるいは第三者、他人、あるいは社会、コミュニティーからの認知であり、安直に在宅勤務をすればよいということではなく、オフィスで皆と働き、周りから認知、評価してもらいたいことだと思う。
・生活の自立のみならず、障がい者雇用が進まない。自立をめぐる古くて新しい課題が相変わらず家族の負担によって賄われている、そういう現実を突きつける番組だ。
・小暮理佳さんが「堂々と夢を実現できる世の中になってほしい」という言葉が心に残った。「堂々と」という字幕がピンク色になって、夢というのを実現するのに、多分、彼女らはなかなか堂々と言えない。自分の夢、仕事をしたいというのは、今だったら第三者、親であったりとか、企業であったりとか、ヘルパーの方とか、いろんな方を巻き込まないと夢が実現できない。当たり前に夢が実現できるような社会、そういうものをつくっていってほしいんだなと受け止め、そのためにはまだいろんなことをやらなくてはいけないということを強く考えさせられた優れた内容だ。
高い評価。

また、
・この番組に取り上げられていた当事者が、なぜ女性だけだったのか。また親子関係の中で、男性家族の存在感というのがほとんど出てこないのだが。
・障がい者雇用がどれだけ進んでいないかというのがよくわからなかった。就労可能な年齢層のうちの何%が就職できているのかとか、雇用形態は正社員なのか契約社員なのかとか、そういったところの説明があるとよかった。
・公的なサービスが使えないという問題点を指摘するだけではなくて、行政側、企業側とか、当事者の視点にも触れたほうがよかったのではないか。
・何か強く心には残らなかった。ものすごく凄惨な「SCRATCH」は、衝撃的な切り口だったが、今回は何かそういうつくりはふさわしくなく、この作り方で感動できたし良い番組だった。そこがものつくりのジレンマで難しい点だ。
・挫折をした人とうまくやれた人というのが両方出てきて、そういうグラデーションを立てての構成しはすごくわかりやすくて、巧妙な作りだ。一方で、うまくいかなかった当事者のこういう取り上げられ方をするということの気持ちはどうなんだろうか。了解されているのだろうか。
・日本国内だけじゃなくて、世界的に見て、重度の障がいを持った方々を積極的に雇用している事例を伝えてほしかった。
・行政の立ち位置、話は全てナレーションだった。こういうところは一言でも二言でもいいので、やはり取り組むべき当事者の声を生で欲しかった。
・番組だけで終わるのではなくて、いろんなタイアップ企画を考えるようなワークショップなどを実施すればよいのでは。
・登場人物は今はいい状態であるかもしれないが、将来的にはどうかわからないというところもある。この方々の脆弱性のようなところを今後も取材をしてほしいと思う。
・介護支援や社会保障が十分でないと指摘できる点は多々ある。しかし日本の今後を考えとき、現実を踏まえ「今後どのような社会保障の采配がなされていくべきか」をという前提課題も番組内で視聴者と共有する必要がある。
と質問、提案があった。

制作者は
・4年ほど前から、小松ディレクターが京都大学に通っている油田優衣さんを高校時代から取材を始めたのがきっかけで、その後、長期取材を重ねていった。
・昨年末「自立と共生」というタイトルで放送し、3月にはTBS報道特集で30分の特集後、今回の60分番組の制作に至った。
・障がい者というくくりでは何かフィルターがあるが、本人たちはきっとそれを感じていないということを取材に入る前に感じ、障がいがある人に対しての思いを受け止めて、今までの観念を全部取っ払ってしまおうと思って取材に入った。
・出会った女性の病気を描くことで、いろんな人たちに目を向けてもらえるきっかけになればいいと思い、取材を続けてきた。
・重度な介助が必要な人たちも就職できる、みんなと同じフィールドに立って就職ができるというところにたどり着けないという制度の穴を一番訴えたかった。
・障がい者雇用率などの数字はあったほうがよかったが、統計がとらえにくく、むしろ、現実を淡々と描いたほうが良いと思った。
・比較している部分は、本人たちは、オープンで「私たちが困っていることを何でも伝えてください」とむしろ、いろんな人にこの自分たちがぶち当たっている壁を知ってほしいという気持ちをもっているので、隠すことなくそのまま描いた。
・行政の話は直接伺ったところ、国の制度一つ変わればどっちかがやればいいお話しなのに、こっちなのか、こっちなのかという押しつけ合いみたいな話だったので、あえてインタビューで聞くまでもなかった。
と説明した。

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