LINK SPIRITSは Shochu “Spirits”を世界に伝えていくチーム。鹿児島から“焼酎の可能性”を見出し、未来に繋げる創業ストーリー
関わる人を豊かにしながら、焼酎づくりが継承される未来を目指すLINK SPIRITS株式会社。蔵元と提携し、商品企画からマーケティング、販路開拓、販売までを行います。2023年4月24日に同社から第一弾となる商品、鹿児島県の若潮酒造と企画した本格焼酎ベースのスピリッツ「NANAIRO-七色-」を、オンラインにて数量限定で発売開始します。
農業から光をあて、焼酎がもともと持つ蔵ごとの個性や価値を、新しい表現や売り方で伝えていくLINK SPIRITS代表 冨永さんの挑戦のストーリーをお届けします。
「きっかけがあれば焼酎は飲まれるー。」焼酎と人々の接点を作り続けた7年間
初の自社ブランドとなる「NANAIRO-七色-」は花のようなフルーティーな味わいが特徴的な、本格焼酎製法で作られたスピリッツ。瓶ごと冷凍庫に入れて冷やして飲むパーシャルショット、ソーダ割、ロックなど、様々な飲み方で楽しめます。目を引く淡いピンク色は、紫芋を用いた天然色素と素材にもこだわっています。
冨永咲さんは鹿児島出身。全国各地の焼酎蔵を60蔵以上回るほどの焼酎好きでもあります。2016年から2代目「ミス薩摩焼酎」として1年間活動した後、東京でコミュニティスナックの運営や飲食店や蔵元とコラボした焼酎スナックを企画してきました。
20~30代を中心とした延べ2,400人に焼酎を飲む機会を提供するなかで「きっかけがあれば焼酎は飲まれる」 ことを実感。2020年にUターン後も地元・鹿児島の焼酎の魅力を広めるために活動を続け、2022年にLINK SPIRITSを創業しました。
2021年に売上高が過去最低を更新した“焼酎業界の抱える課題”とは
焼酎の売上はこの10年で右肩下がりを続けており、全国の焼酎メーカーの2021年(1月期~12月期)売上高ランキングでは、上位50社の合計売上高は比較可能な2005年以降で最低金額となりました(※1)。ほとんどの蔵元でレギュラー銘柄と呼ばれる、日常的に飲まれる銘柄の落ち込みが大きく、多くの蔵元が苦境に立たされています。焼酎は50~60代の主に男性を中心に飲まれており、20代女性で好んで飲む人は1割にも満たないほど(※2)。そんな飲み手の高齢化に加え、焼酎業界のマーケティングにおける課題もあると冨永さんは話します。
「焼酎は他のお酒と比べてアルコール100ml換算での単価が低い傾向にあります。また、本来焼酎づくりが蔵元の本業であり、人員も限られる中で販路開拓やマーケティングまでは手が回らないこともしばしば。新商品を開発するにしてもどんなお酒を作ればいいのか、また新しい飲み手にどう売ったらいいのか分からない、という話をよく耳にしてきました。」(冨永)
加えて近年、「基腐(もとぐされ)病」というさつまいもの病気が蔓延しており、収穫量が激減。1株でも病気が見つかった農家は鹿児島県内で7割にのぼり、焼酎の原料としてメジャーな「黄金千貫」が不足。大手蔵元でも一部商品が販売休止に追い込まれるなど、焼酎業界にとって大きな問題となっています。様々な要因があると言われていますが、安定して量を提供するための農業の効率化も1つの原因であると考えられています。
これまで焼酎に使われてこなかった芋の品種「コナイシン」を活かして、花のような香りを引き出す
NANAIROは、最初の提携先になった若潮酒造と香りを重視した商品を考えてサンプルの試行錯誤を重ねる中で生まれました。原料に使用している芋は、さつまいもの品種「コナイシン」。機械が壊れてしまうほど固い繊維質で仕込みに3倍の手間がかかるなど、焼酎の原料としては扱いづらく、これまでほとんどの蔵元で使用されることはありませんでした。
しかし、農家や蔵元が悩まされている基腐病に強いことから若潮酒造ではコナイシンを使用した焼酎づくりに何度かチャレンジしていました。杜氏の経験から、コナイシンを原料にロゼワイン酵母の減圧蒸留でつくる本格焼酎は、香り高くフルーティーな味わいになるとの期待があり、これまでになかった花のような香りと甘みのある味わいを実現することができました。
「芋くさい」焼酎は過去のこと。焼酎のイメージを刷新したい
焼酎の魅力を伝えたい、と活動してきた冨永さんですが、実は最初から好んで焼酎を飲んでいたわけではないといいます。子どもの頃、祖父が大好きだった当時の焼酎はいわゆる「芋くさい」といわれる焼酎で、大学時代に飲んだ甲類焼酎にも良いイメージがありませんでした。しかし転機となったのは大学卒業後に就職した新聞社での経験です。
「自己紹介で鹿児島県出身というと、よく『焼酎飲めるの?』『お酒強いの?』と聞かれました。新聞社時代に仕事で会う人は40~50代の男性が多く、日常的に焼酎を飲む世代。飲みの場での会話から仕事に繋がることも多かったのですが、焼酎はコミュニケーションを始める1つのきっかけにもなりました。次第に相手の好みに合わせた焼酎を提案できるようになって、勉強するほどに自分自身がどんどん焼酎の魅力にはまっていきました。」(冨永)
芋焼酎と聞くと「くさい」「くせが強い」とイメージされることも多いですが、芋焼酎が「芋くさい」のは実はかつてのこと。泥を落としきれていなかったり、多少痛んだ芋も原料に使われたりしていたそうです。今ではそのような作り方をしていないので、昔のような芋臭い焼酎はないと言われています。また、芋の品種の幅も増えて原料や酵母の香りを活かした銘柄などもどんどん登場しています。
「焼酎はこの20~30年で実は大きく進化しているのに、世間のイメージは昔のまま止まっていると感じました。私自身が焼酎を飲んでそのギャップに驚いたように、人々の持つイメージを変えたいと思っています。」(冨永)
大学進学と同時に上京し、そのまま東京で就職した冨永さんが鹿児島へUターンしたのは2020年8月のこと。コロナウィルスの流行をきっかけに働き方や暮らし方を見直す中で、鹿児島へ帰郷することを決めました。鹿児島へ帰ってくると、繁華街だったはずの街からは人が消え、飲食店も酒屋も見るからに苦境に立たされているのを肌で感じたといいます。
「東京でも、焼酎スナックを主催したり、焼酎をコミュニケーションツールとしたイベントを開催することはありました。でもそれはあくまで個人の”好き”の範囲内でのこと。本気で何かアクションしようと思ったら、個人の力でできることにはどうしても限りがあります。会社を作り、チームとして取り組んでいきたいという思いでLINK SPIRITSを創業しました。」(冨永)
蔵元とLINK SPIRITS、異なる視点を持つチームで共に「焼酎の可能性」に挑む
近年注目が高まっている芋焼酎の「香り」。米焼酎や麦焼酎、日本酒と比べ香りと味わいの幅が広く、原料や製法によって多様なフレーバーを引き出せるのが芋焼酎ならではの特徴です。第一弾の商品企画で提携した若潮酒造は、香り成分同士の組み合わせに着目し、芋の香りを活かした銘柄にも挑戦している蔵元です。昨年には、芋の香りを生かした銘柄が「酒屋が選ぶ焼酎大賞」で大賞を受賞しています。
「若潮酒造さんは新しいことへの挑戦に前向きな風土がすでにありました。私たちとしては、商品が目指す方向性はありつつも、作り手である若潮酒造さんをまずリスペクトし、杜氏さんや蔵の個性が発揮されることを大事にしたいと考えていました。その上で、新しい飲み手に届けるためにこれまでの焼酎の枠に囚われない商品をつくりたいとサンプルづくりや試飲会などを重ねる中で考えた結果、NANAIROのイメージに合うぱっと目をひく華やかな色をつけることを提案しました。」(冨永)
NANAIROは20代~30代の新規の飲み手に直接訴求することを主軸としています。蔵元と手を取りながらLINK SPIRITSが企画から販売までを担うことで、さらに新しい飲み手へ新しい焼酎体験を伝えていきます。
目指すのは、“飲み手”にとっても“作り手”にとっても豊かな形で続いていく持続可能な世界
最初のブランドであるNANAIROという商品名には、焼酎の持つ多様性が表現されています。
「世の中、二元論で考えられがちですが本当はグラデーションで、いろんな色があるからこそ多様性や豊かさが生まれると思っています。鹿児島だけでも100以上の焼酎蔵がありますし、焼酎だけを飲んで欲しいのではなく、焼酎が日々の選択肢の一つに加わることで、そのひとときがもっと豊かになってほしい、という思いがあります。
ワインや日本酒はマリアージュといって食事に味わいや香りを加える足し算のペアリングのイメージですが、焼酎は食事の邪魔をせず、素材の味を楽しめる引き算のペアリングが得意だと考えています。シーンによって飲み方を変えれば濃さや度数も調整でき、いろんな楽しみ方を秘めているもの。いろんな色の多様性で人生を豊かにしたいという思いを込めて、NANAIROという商品名をつけました。」(冨永)
目指すのは飲み手にとっても、作り手にとっても豊かな形で続いていく持続可能な世界。今後は提携先の蔵元を増やしながら芋づくりをしている農家とも連携し、商品企画・マーケティング・販売までを一気通貫で行うことで焼酎の価値を向上することに取り組んでいくことを考えています。
まずは今回のNANAIROで、これまで焼酎を飲むきっかけがなかった方が、焼酎の魅力に触れることができる機会をつくりたいと話します。冨永さんの挑戦はまだ始まったばかりです。
■公式オンラインショップ:https://link-spirits.shop-pro.jp/
■公式Instagram: https://www.instagram.com/link_spirits/
※1引用元:焼酎メーカー売上高ランキング(2021年)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s220801_80.html
※2引用元:「好きなお酒の種類(複数回答有り)」博報堂生活総合研究所による定点調査
https://seikatsusoken.jp/teiten/answer/444.html
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