アフガニスタンで人道支援に取り組でいたむ福岡市のNGO「ペシャワール会」が3日、現地報告を開きました。中村哲さんが凶弾に倒れてから4年、現地では中村さんの「遺志」がしっかりと受け継がれていました。
「中村先生が頭で描いた平和そのもの」
ペシャワール会 村上優会長「(会の活動エリアは)水もたくさんあり、農業が復活して人々が戻って、ある意味普通の生活が行われていて、中村先生が頭で描いた平和そのものなんだ」
福岡市中央区で3日に開かれた国際NGO「ペシャワール会」の報告会。村上会長は、2019年に医師の中村哲さんが凶弾に倒れて以降初めて、2022年12月にアフガニスタンを訪れました。アフガニスタンでは2021年、イスラム主義組織「タリバン」が実権を掌握。一時は活動を中断しましたが、タリバン側とも協議しながら現地スタッフが医療支援や用水路の建設を続けてきました。
中村哲さんが造った水路で広がる緑
中村哲氏(2007年当時)「私は医師だが、用水路なしにアフガニスタンの人たちは生きていけない。水なしに生きていけない」
戦禍と干ばつにあえぐアフガニスタンで、かんがい用水路の建設に取り組んできた中村哲さん。中村さんが亡くなった2019年には165平方キロメートルだった耕作地は、2022年には1.4倍の238平方キロメートルまで広がっています。
ペシャワール会 村上優会長「生きていくのが大変だなという思いにさせるような荒野が広がっているが、そういうところが少しずつ変わってくることで、アフガニスタンに平和が定着していくんだと実感しました」
「指示するだけでなく現場へ」根付く中村さんの想い
現地スタッフとやりとりしている藤田千代子さんも、2022年12月と2023年3月にアフガニスタンを訪問。中村さんの遺した「思い」がしっかりと根付いていると実感した、といいます。
ペシャワール会PMS(平和医療団・日本) 藤田千代子支援室長「現場の責任者もただ口だけで指示するのではなくて、現場に行って話を聞いていることは、『中村先生と長いこと一緒に働いただけあるな』と思って、仕事の中に中村先生を感じる」
かつては過激派組織が活動していたエリアで、建設が進められている新たな用水路も9月に完成予定です。
ペシャワール会 村上優会長「近くに大きな河川がなく、水がなくて人々が困っているというところで手を打っていかなければいけない。もし成功したとしても、それを維持していくには様々な困難があると思う。地域で様々な形で人々が生活していけるような、水の供給のあり方を作り続けなければならない」
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この記事を書いたひと
岩本大志
1991年生まれ 長崎県出身