カレーの本場インドが長らく大英帝国時代のイギリス植民地だったことは有名ですが、西海岸の一部がポルトガル領だったことはあまり知られていません(というか、筆者も今回初めて知りました)。そんな歴史的背景から、ワインビネガーで豚肉を煮込むポルトガル料理にインド独自のスパイスを加えて生まれたのが、インド・ゴア州の郷土料理「ポークビンダルー」。そのカレーをメインに提供しているのが、南区清水にある「タマガワカリードットコム」です。
店名の由来は店が入居する「玉川ビル」からですが、スマホの地図を頼りにビルの前まで来ても入口が見当たりません。看板をよく見ると「自動ドアの左奧が入口です」と書かれているのに気づき、細い通路の奥まった場所にある店にたどり着くことができました。
樋口剛士さん・さやかさん夫婦2人で営む店は、ポップな色づかいの椅子が配されたカウンター3席、テーブル8席のこぢんまりした造りです。以前からカレーショップの店主は異業種参入組が多いという印象でしたが、剛士さんの前職はなんとスイスの高級ブランド時計の修理職人。「1mm以下の精度で仕事をしていたのが、カレーづくりにも役立っています」といい、繊細なスパイスのブレンドに活かされているようです。
店内の黒板に大きく書かれたカレーのメニューは、定番の「ポークビンダルー」に「鍋替わりチキン」と「鍋替わりキーマ」の3種類が基本で、すべてに豆のカレー「ダール」が添えられています。「鍋替わり」は一鍋ずつ仕込むので、だいたい1日か2日で切り替わり、たまに気まぐれで第4のカレーが登場する日もあるそうです。そのレパートリーは50種類を超え、「メインの具材やスパイスの組み合わせ、野菜の切り方を変えるだけで別のカレーになるので無限ともいえますね」と笑います。
店の看板メニューとしていつでも食べられる定番が、冒頭で紹介したポルトガル料理がルーツの「糸島零ONEポークビンダルー」(1,200円)です。抗生物質未使用の上質な餌で育てられた糸島のブランド豚「零ONEポーク」のスペアリブに酸化しにくい米油を使い、ピリッとスパイシーながらも胃腸にやさしい味わい。そして何といっても、たっぷりのリンゴ酢と白ワインビネガーで煮込んだ"酸っぱ辛さ"が最大の特徴です。筆者は初めて食べましたが、一度食べるとヤミツキになる人が続出というのもうなずけます。
3種類のカレーは合いがけにもでき、この日はラッキーなことに4品目の「タラのフィッシュマサラ」が用意されていたので、「夏野菜のチキンジャルフレジ」「ハラミちゃんとクルミちゃんのキーマ」との合いがけにチャレンジ。3種類のカレーはそれぞれ異なるスパイスの配合で、インド産バスマティライスに日本米をブレンドしてクミンなどを加えて炊いたジーラライスと混ぜながら食べれば、何重にも広がるような香りの陶酔感を味わうことができました。
「お子様連れでもどうぞ」と、スパイスカレー専門店では珍しく「キッズカリー」(500円~)を用意しているのもファミリー層には嬉しいポイント。さらに、ビールやハイボールに合わせてちょい飲みができるライス抜きの「おつまみカリー」(500円)もあり、いろいろな楽しみ方ができるカレーショップです。
タマガワカリードットコム
福岡市南区清水1-24-18玉川ビル1F
080-3376-4382
ジャンル:カレー
住所:福岡市南区清水1-24-18玉川ビル1F
電話番号:080-3376-4382
営業時間:11:30~OS14:00/18:00~OS20:00(木・金曜は昼のみ)
定休日:日祝日、月曜
席数:カウンター3席、テーブル8席
個室:なし
メニュー:糸島零ONEポークビンダルー1,200円、チキンカリー1,000円~、キーマカリー1,000円~、合いがけ1,300円~、トッピング100円~、キッズキーマ500円~
URL:https://www.instagram.com/tamagawa_curry/
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