家庭向けにちょうどいいサイズの国産肥料の販売が始まりました。下水汚泥から回収したリンや堆肥を原料にしてるため、お財布にも優しい価格です。福岡県八女市の電照菊や久留米市のホウレンソウなど、農家で使われている肥料「eグリーン」。福岡市とJA全農ふくれんが協力して開発したもので、博多湾の水質保全のために下水から取り除かれている「リン」や、県内の畜産で発生した堆肥を配合しています。
「リン」は植物の成長に必要 でも輸入がほとんど
植物の成長に必要な「リン」は、ほとんどを輸入に頼っているのが現状ですが、地元にある材料を再利用しているため、一般的な肥料と比べて価格が2割から3割ほど安いのが特徴です。
輸入肥料高騰の中、農家には救世主だった
今まで捨てていた資源を有効活用した「エコな肥料」として、輸入肥料の価格高騰に悲鳴をあげていた農家向けに販売したところ、評判は上々。福岡市とJA全農ふくれんでは、一般の消費者にもPRしてきましたが、なかなか手に取ってもらえなかったといいます。
マンションでも置き場所に困らない
JA全農ふくれん 青柳 紗弥香さん
「一般の方にもPRを行っていたんですが、もう少し使いやすい規格がないのかという要望を多数受けまして…」
RKB 小畠健太記者
「こちらの20キロ入りの袋では、なかなか一般家庭では使い切ることができません。より多くの方に手に取ってもらうよう、小分けされた商品が登場しました」
そして今回商品化されたのが、プランターや小さな畑での野菜栽培を想定した「eグリーン ベジタブル」と花の栽培を想定した「eグリーン フラワー」です。1袋の量と価格は、「eグリーン フラワー」が300グラム400円で、「eグリーン ベジタブル」が1.3キロ600円です。小さいのでマンションでも置き場所に困りません。現在福岡市では、公園や歩道などを花と緑でいっぱいにするプロジェクト『一人一花運動』を進めていて、「eグリーン」はこのプロジェクトでも使われる予定があるそうです。
人にも優しい肥料になった
袋詰め作業は福岡市内の福祉施設が担っています。
写真を多用し視覚的に分かりやすくした手順書を見ながら、障害のある人が袋に肥料を詰めていきます。利用者の収入にもつながるため施設側は歓迎しています。
施設の管理者
「継続して出来るような仕事は助かります。今福岡では『一人一花運動』が行われているので、利用者の方も外で見たりあのマークを見たりすると『自分たちが作った肥料が使われている』とモチベーションも上がるんです」
今まで捨てられていた資源を使った安くて環境に優しい肥料。JA全農ふくれんは、福祉の力も借りた「農福連携」の取り組みとして広げていきたいと意気込んでいます。
JA全農ふくれん 青柳 紗弥香さん
「『一人一花運動』とコラボしているので街づくりにも貢献していますし、福祉事業所を活用しているということで農福連携にも寄与している。肥料を使っていただくことでより多くの方に循環の和を感じてほしいと思っています」
問い合わせはJA全農ふくれんまで
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この記事を書いたひと
小畠健太
1983年生まれ、岡山県出身。2008年入社。「寄り添った取材」をモットーに10年以上取材に取り組む。3児の父 趣味は釣りと楽器演奏