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原爆で死亡した嘉代子さんの桜の物語 美術部の生徒が挿絵てがけ1冊の絵本に

原爆の当初の目的地・福岡県北九州と、投下された長崎をつなぐ桜の木があります。桜の木をめぐる物語を次の世代に伝えようと北九州市の市民グループと中学生が絵本を制作しました。

爆弾描きながら思った「こういう武器を使いたくない」

7月、絵本が完成し、美術部の生徒たちにプレゼントされました。今の中学生の多くは、親はもちろん、祖父母の代も戦争を体験しておらず、日常生活で戦争体験を耳にすることはほとんどありません。

 

美術部の生徒たちは、挿絵の制作を通してそれぞれが戦争当時の状況に向き合うことになりました。

 

「雲とか飛行機、Bー29もそうだけど一目見ただけで分かるような、その状況が伝わるようにするのが難しかった」

「戦争の恐ろしさが伝わるように絵を描くことが難しかったです。戦争は人が死ぬことが当たり前になってしまうことなので二度とないようにしていきたいと思いました」

「爆弾をひとつひとつ描いている時に、もう二度と戦争でこういう武器を使いたくないなと思いました」

全18ページ「小学3年生が理解できるように」 

小学3年生が読んで理解できるように制作されました。全18ページ。北九州市内のすべての小学校と図書館などに寄贈されています。

 

手に取った人からは様々な感想が寄せられています。

 

高校生
「写真の場合は白黒でわかりにくいこともあるけれど、戦争についてよく伝わる絵本になっていると思いました」

「絵に表れている目線にぐっと来るものがありました。嘉代子さんを探しているご両親の絵が心に届きました」

「戦争を体験した年齢の者として、平和の大切さをしみじみ感じました」

 

ひだまり 田口文彦さん
「戦争を知らない者は知らない者として受けつないでいくということがどんなに大切なことかと思います、年齢を問わないと思います。北九州のこと、日本のこと、世界のことを、自分のことのように想像してほしいと思います」

絵本が伝えるメッセージ

絵本は、最後にこう締めくくられています。

「長崎を忘れない、八幡を忘れない、そして忘れない嘉代子桜・親子桜。平和な未来を作っていくのはわたしたちです」

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この記事を書いたひと

浅上旺太郎

山口県出身。九州大学法学部卒。2015年入社。本社報道部、現在の情報番組部を経て2022年6月から北九州報道制作部。福岡県警・北九州市政などを担当。最も印象に残る取材は2017年7月の九州北部豪雨。