全国に5万か所以上~盛土造成住宅地の災害リスク 関東大震災で沈んだ「海底の駅が」示す危険メカニズム
関東大震災で崩れ落ちた駅舎が、今も海底に残されています。この駅が崩れた原因をたどると、盛土によって造成された住宅地にも同じような危険があることが分かりました。
造成地にも海底の駅と同じリスクが
山を削り、その土砂などで谷を埋めた盛土造成地でも、地下水が溜まると地震の揺れがきっかけで崩れ落ちる危険性があるといいます。
実際、阪神・淡路大震災では西宮市仁川の盛土が崩落し34人の命が奪われました。北海道の胆振東部地震など大きな地震のたびに盛土で被害が発生しています。
神奈川県、福岡県、愛知県など戦後宅地開発が進んだ地域に多い大規模盛土造成地。その全てが危険なわけではありませんが、いち早く対策工事が始まろうとしているのが宇都宮市にある造成地です。
宇都宮市 盛土対策グループ 並木竜也 係長
「震度でいいますと、5弱以上でなおかつ雨が降って地盤が緩んだ時に、滑動崩落してしまう恐れがあると考えています」
約60年前に造成された宇都宮市の住宅地を見た釜井名誉教授は、アスファルトが繰り返し補修され、住宅の地面にひびが入っている様子などから、地盤が弱くなっている可能性があると指摘します。
京都大学 釜井俊孝名誉教授
「地盤が動くので補修を繰り返しているという見方もあります」
宇都宮市は、震度5弱以上に耐えられるよう約1000本の杭を打つ対策を行う予定です。
「盛土はリスク」自分の住まい確認して
大規模な盛土造成地は、全国に5万か所以上あります。これまで数々の事例を研究してきた釜井名誉教授は、地震などで被害が出ないのか確認することが重要だと話しました。
京都大学 釜井俊孝名誉教授
「お住まいの場所がどういう場所かを調べる必要があります。盛土かどうかということはそれだけでひとつのリスクの要因なのでそれを洗い出していただいて、そのうえで亀裂があるかどうか、地下水がどうか調べていただくことが大事」
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。