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乗り換えの不便はいつまで?全線開通の見通し立たず
順調に見える西九州新幹線ですが、開業前からの大きな課題が残されています。武雄温泉から新鳥栖までの未開通区間の整備です。着工すれば費用の3分の1を負担することになる佐賀県は慎重な姿勢を崩していません。
佐賀県・山口知事(8月25日)「あまりにも佐賀県の将来に大きな影響を与える事業です。財政負担だけでも千何百億っていう。それだけに終始するっていうことにこれから20年30年なりますから、それで本当にいいのかなって私は思います」
JR九州・古宮社長(9月4日)「早くつながるほうが経済効果も早くできますし、今の世の中でいえば遅くなるほど資材や人件費も高騰すると予想されますし。作るんだったら、私は早いほうがいろんな面でいいと思っています」
全線開通の見通しが立たないまま開業した西九州新幹線。苦肉の策として武雄温泉駅では、在来線の特急と新幹線を乗り換える「リレー方式」を採用しており、不便と感じている人も少なくないようです。
福岡に単身赴任中の男性「新幹線は指定席を取るなら慌てなくていいでしょうけど、自由席の場合、いくらホームが対面だといってもちょっと慌てるところがあるんで不便です。乗っているのが20分くらいだから、さして意味がない気がします」
高速バスは40分余計にかかるものの料金は“半額”
そのため利用が増えているのが高速バスです。
RKB町田有平「長崎行きの高速バスが出発しました。後ろにもう1台待っています。この時間は2台続けて運行するようです」
福岡と長崎を最短140分で結ぶ高速バス「九州号」。バスの移動時間は西九州新幹線を使った場合と比べて40分ほど長くなるものの料金は半額程度です。週末やイベント開催日には1台だけでは足りず、車両を増やして対応しています。運行する九州急行バスによりますと、この1年の利用者は前年と比べて約4割増えているということです。
福岡観光から帰る女性「高速バスはやっぱり料金が安いからですね」
大阪に帰る女性「値段が一番大きいかも」
長崎に帰省する大学生「新幹線は乗り換えがめんどくさいから(苦笑)(Qバスではどう過ごす?)音楽を聴いて寝ています」
JR九州・古宮社長(9月4日)「直通ならそのまま座って寝ていけるが、乗り換えないといけないので、直通に比べると不便をかけていると思っています。ご祝儀相場があった分を引いてでも、2年目は1年目の数字を超えることは最低限の目標。より少しでも増やしていくことが目標です」
沿線では新たな宿泊施設が相次いで開業し、秋には長崎の駅ビルもリニューアルする予定です。ただ、先出の大谷准教授は「露出が増えた効果は長続きしないので、2年目以降が真価が問われるということです」ないと指摘します。未開通区間の着工の見通しが立たない中、西九州新幹線にとってはこれからが正念場です。
西九州新幹線が開通
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この記事を書いたひと
町田有平
2010年RKB入社。報道記者、情報番組ディレクター、ラジオプロデューサーなどを担当。2女の父で趣味はキャンプと筋トレ。