江戸時代の屋台から発展したといわれる蕎麦屋は、いわばわが国におけるファストフードの先駆けのような存在。いつでも食べたい時に立ち寄って、ツルッと食べられるのが当たり前でした。しかし、専門店化が進んだ現在では営業を昼・夜2部制にする蕎麦屋が多くなり、昼時のタイミングを外すと食いっぱぐれることもしばしば。そんな中、朝11時半から夜21時までの通し営業で、いつでも「挽きたて、打ちたて、茹でたて」の「三たて」を食べさせてくれる街場の蕎麦屋が「蕎麦 おざき」です。
店主の尾崎和人さんは、福岡を代表する蕎麦の名店「むらた」出身の蕎麦職人。当初は和食店で働いていましたが、「将来的に独立すること考えたとき、蕎麦打ちの技術を身につけたいと思いました」と、7年間にわたって修業。2016年に警固の路地裏で「蕎麦 おざき」を開業しました。
メニューを開くと、冷たいそば、温かいそばはそれぞれ10種類以上あり、天ぷら、丼もの、甘味、蕎麦前のおつまみまで、実に多彩なラインアップ。「きつねそば」や「カレーそば」といった庶民的なメニューもあり、「街場の蕎麦屋はかくあるべし!」といいたくなる品揃えです。
厳選したそばの実を石臼で自家製粉する蕎麦は、毎日「十割そば」「田舎そば」「二八そば」を打ち分けています。今回はその3種類が食べ比べできる「そば三種盛」(平日限定1,800円)を注文しました。カウンター越しに見ていると、ぐらぐらと沸きたつ大釜から数本をすくい、指先でつまんで茹で具合を確認しています。「蕎麦がフワッと膨らむ瞬間があるんですよ」と、その時を逃さずざるにとり、冷水でサッと締めてから木箱に敷いたすのこの上に美しく盛りつけてくれます。
この日の玄そばは福井県産の在来種で、写真は右から蕎麦本来の甘味と香りが楽しめる「十割」、そば殻ごと製粉した素朴な風味の「田舎」。そして、福岡県産の小麦を二割加えた喉ごしの良い「二八」です。それぞれに挽き方、打ち方、茹で時間を変えており、こうして食べ比べるとその違いが分かります。
毎年11月から2月頃までの冬季限定メニューとして食べられるのが「かきそば」(並1,800円/写真は小1,150円)です。北海道産昆布と高知産鰹節でとった出汁でゆがいた広島産の牡蠣は、とても一口では食べられないほどの大粒。プリプリの身を噛めば、磯の香りとともに海のエキスがジュワ~と染み出し、これぞ冬の風物詩といえる一杯です。
日本酒と一緒に愉しみたい蕎麦前のおつまみも、写真の「焼味噌」(600円)をはじめ、「玉子焼」(600円)、「生からすみ」(700円)、「鴨焼き」(1,200円)など、20種類以上の充実ぶり。さらに日替わりの限定メニューには、旬の食材を揚げた季節の天ぷらから、新鮮な魚の刺身や焼き物、にぎり寿司、細巻きまで、和食店顔負けのラインアップが揃っています。江戸前寿司にならって、最後は「かんぴょう巻き」(450円)で締めるのも粋ですね。
ランチから蕎麦前の昼飲み、夜の酒場づかいまで、どんなシチュエーションにも応えてくれる蕎麦好きには堪らない一軒です。
蕎麦 おざき
福岡市中央区警固1-1-10 エステート・モア警固本通り1F
092-718-0200
ジャンル:蕎麦
住所:福岡市中央区警固1-1-10 エステート・モア警固本通り1F
電話番号:092-718-0200
営業時間:11:30~21:00
定休日:火・水曜
席数:カウンター5席、テーブル16席
個室:なし
メニュー:もりそば(二八)800円、(田舎)900円、(十割)950円、そば三種盛(平日限定)1,800円、天ざる1,700円、きつね1,000円、鴨南1,600円、焼味噌600円、玉子焼600円、かんぴょう巻き450円、おまかせコース4,500円~
URL:https://www.sobaozaki.jp
この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう