毎年1月7日に行われる太宰府天満宮の「鷽かえ・鬼すべ神事」。知らず知らずについた嘘を天神さまの誠の心に替える「鷽かえ神事」と、除災招福を願う火まつり「鬼すべ神事」で新しい1年を始めます。
1年の間についてしまった嘘を天神さまの誠の心に替える「鷽かえ神事」
一年間の嘘を天神さまの誠の心に替える「鷽かえ神事」は、1月7日18時から天神ひろばにて、執り行われます。
前の年に知らず知らずのうちについたすべての嘘を、木鷽という木彫りの鷽像を見ず知らずの人達と交換していくことによって、天神さまの誠の心に取り替えるという神事です。
「鷽かえ神事」に参加するには、事前に当日夕方より授与される木鷽(初穂料1,500円)を受け、会場となる天神ひろばに集まった人たち同士で、浄闇の中、「かえましょ、かえましょ」の声とともに木鷽を交換します。昨年参加した人は、古い木鷽を納めるところがあるので、新しい木鷽を受けたら古い木鷽を収めましょう。
途中で、木鷽の裏に書いてある言葉の発表があり、呼ばれた人は幸運の金鷽がもらえるそうです。巡ってきた木鷽の裏面を確認して、発表を待つ時間も楽しみです。最後に手元に残った木鷽は、すっかり嘘が誠の心と変わった証として、持ち帰ります。
私は昨年初めて参加したのですが、他人同士が「かえましょ、かえましょ」の掛け声と一緒に木鷽を交換していく光景がとてもあたたかく、皆が“どうぞ~”と自分たちの鷽を交換していくうちに、心がだんだん清らかになっていくのを感じました。
年々参加者が増えているとのことで令和6年(2024年)の「鷽かえ神事」は入場制限が設けられ、定員が1000人となっているとのことです。
〈鷽かえ神事〉
日時:1月7日
時間:18:00~
場所:太宰府天満宮 天神ひろば
初穂料1,500円(木鷽を授与いたします)
※当日夕刻より木鷽の授与がおこなわれるので、木鷽をお受けいただいてご参加ください。
除災招福を願う勇壮な、火まつり「鬼すべ神事」
さて、「鷽かえ神事」の後、同じ日の夜に鬼すべ堂で斎行されるのが「鬼すべ神事」です。その年の災難消除や開運招福を願う勇壮な火除けの神事「鬼すべ神事」は、寛和2年(986)、道真公の曽孫にあたる大宰大弐菅原輔正(すがわらのすけまさ)によって始められたと伝えられています。
追儺祭として太宰府天満宮で行われている魔を払って幸福を招く神事です。鬼すべ神事は、それぞれに役割が分かれ、最終的に鬼すべ堂に鬼を追い込んで煙で燻って鬼を追い払うというもの。
天満宮には6つの氏子区域がありますが、「燻手(すべて)」を3つの区域が合同で、「松明」「鬼警固」、「鬼係」をそれぞれひとつずつの区域が毎年同じ役割を代々担っています。
19時頃から威勢のよい「おんじゃ、おんじゃ」という掛け声のもと、それぞれの氏子区域の出発地点から天満宮を目指し、太宰府駅前から参道、そして太鼓橋を渡り境内まで練り歩きます。お祓いされた清らかな火と煙は清浄で、魔除け・厄除けの役割があるとされています。
天満宮の楼門前の鳥居で一度お祓いを受け、21時頃までに鬼すべ祭場に各所役が集結し、それから祭場(鬼すべ堂)に上がります。祭場では「燻手」と「鬼警固」「鬼係」に分かれた約300人による炎の攻防戦が行われます。
うず高く積まれた松葉や藁に御神火が灯されるとあっという間に火煙が上がり、「燻手(すべて)」が煙を仰いでお堂の中に入れ、その後「鬼警護」が鬼を逃がすためにお堂の内側から壁を打ち破ります。大きな炎の熱と迫力は圧倒されること間違いなしです。
炎の攻防が繰り広げられた後、荒縄で48ヶ所を縛られた鬼は、7回半お堂の中を巡り、出てきてお堂の外を3周回りますが、この時に氏子会長が兎杖(うずえ)で打ち、勇壮な火まつりは、神職と氏子会長によって鬼が退治されて、幕を下ろします。
尚、燃え残った板壁は火除けのお守りとして、集まった人々で持ち帰ります。「鬼すべ神事」も今年から入場制限がありますが、神事の様子は太宰府駅前や参道などでも観覧できるそうですので、無理をせずに参加してくださいね。
〈鬼すべ神事〉
日時:1月7日
時間:15:00本殿追儺祭 17:00鬼面飾祭、19:00各所出発、火渡し21:00頃
場所:鬼すべ堂、沿道
※境内または沿道で神事をご覧いただけます。
太宰府天満宮公式youtube【鬼すべ神事】
1月7日は、太宰府天満宮の嘘の心を誠の心に変える「鷽かえ神事」と、清浄された大迫力の炎と煙の勇壮な火まつり「鬼すべ神事」で、改めて1年を清々しく初めてみてはどうでしょうか?
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この記事を書いたひと
山内亜紀子
福岡の情報誌とWEBメディアにて編集・ライターを勤めた後、現在フリーの広報、ライターとして主に映画、グルメ、旅行、イベント等のコラムを執筆中。