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SNSでやりとりされる“大麻取引”の隠語も解読…マトリ(麻薬取締部)が“高濃度リキッド”の監視を強化中

大麻に関する事件の検挙人数は増加傾向が続いています。去年は全国で5500人あまりが検挙され、そのうち30歳未満が約7割を占めました。SNSなどで簡単に入手でき、若者へのまん延が懸念される中、「薬物汚染」に立ち向かう捜査官たちを取材しました。

防刃チョッキを身につけ、容疑者のいる建物へ

 

麻薬取締部の会議:
”本日、強制捜査を行う。対象は成人男性1名と、成人女性1名”

通称「マトリ」と呼ばれる麻薬取締官。厚生労働省九州厚生局に在籍する40人あまりの取締官が日々、薬物事件に目を光らせています。この日、大麻を所持した疑いのある福岡市内の20代の男女2人の関係先を強制捜査するといいます。

麻薬取締官「防刃チョッキです。刃物で刺されても大丈夫なように着けます」

会議:
“現場は住宅の密集地、一般の人に危害が及ばないよう配慮しながらプロとしてやっていきましょう”

近くの駐車場で、無線を使って動きを打合せます。

無線連絡:
“着手1から着手2、対象の建物の1階出入り口見えますか?着手2からは出入り口が十分確認できます。了解、もし出たら着手しましょう”

違法薬物を使用している可能性がある容疑者の検挙。緊張が高まります。

生きづらさも関係か、若者の身近に迫る大麻

 

予定していた時間を迎え、取締官は2人を液体状の大麻を隠し持っていた疑いで逮捕しました。

麻薬取締官「特に20代と未成年の若者に流通しているものとみています」

大麻に関する事件で全国で検挙された人数は2020年以降、3年連続で5000人を超えています。このうち約7割が30歳未満。今年、日本大学アメフト部や早稲田大学相撲部の現役部員や福岡大学の学生が摘発されるなどしています。このうち約7割が30歳未満です。専門家は、ファッション的な要素に加え、「生きづらさ」が関係していると考えています。

雁の巣病院・栗田晋医局長「孤立しているとか、相談する場所がない生きづらさを抱えた人たちが、薬物で気分を変えることを求めてしまう部分は大いにある。海外で合法だから健康被害がない、大丈夫という考え方を変える啓蒙活動が求められていくのかな」
知人が大麻を使っている若者「先輩が買ったら、みんなで使って回したり。大麻で自殺しようとしている友達もいる。逆に、ずっと笑っている子もいる、ガチで怖い。勧められるけど無理と断る。友達の間で、安く売るよみたいな、学校でも吸っている人めっちゃいるし、公園のトイレで吸っている人もいます」

この若者も知っていた大麻を売買する“隠語”があります。

 


麻薬取締部の会議:
“これはどういう意味だ・・・?0.3グラムが1万3000円かな、0.5グラムが2万円、1グラムが3万5000円、注射器のマークがあるから注射器1本サービスだね”

違法薬物取引の連絡ツールになっているSNSに目を光らせるのも「マトリ」の大切な仕事です。日々変化する隠語を把握しながら監視していますが、取り締まりは容易ではないといいます。

麻薬取締官「DMをやったとしても、秘匿性の高いSNSに誘導され、そこでやり取りをしましょうとなる。消える設定にしておけば、やり取りがまったく残っていない場合もある。(Q消えてしまうと?)なかなか厳しい」

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