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“救急車を受け入れられなくなる…”現場は危機感、医師の「働き方改革」

勤務医の時間外・休日における労働時間の規制を強化する「働き方改革」が今年4月に始まります。いわゆる「医療の2024年問題」。現場からは、救急医療などへの影響を懸念する声があがっています。

勤務医の2割以上が“過労死ライン超える労働”

北九州市八幡東区にある「八幡病院」。救急医療にも対応した地域医療の中核を担う医療機関です。救命救急センターは、365日24時間稼働し、年間4000件ほどの救急車を受け入れています。

北九州市立八幡病院救急科 平松俊紀部長「(1日の搬送数は)10人から20人前後かと思います。時間外でも僕たちはやっぱり働いたほうがいいのかなと思う気持ちが出てしまいますので…」

今年4月1日に始まる医師の「働き方改革」。勤務医の休日・時間外労働の上限は原則、年間960時間(※救急医療などは1860時間)、平均すると1か月に80時間に規制され、勤務と勤務の間にはインターバル=休息時間を設けることが求められます。背景にあるのは、医師の過酷な労働実態です。国がおととし行った調査では、勤務医の21.2%が、過労死ラインを超える年間960時間以上の休日・時間外労働をしていることが明らかになっています。八幡病院の伊藤重彦名誉院長は、「働き方改革は必要」としたうえで、救急医療に影響が出ることを懸念しています。

北九州市立八幡病院 伊藤重彦名誉院長「本来365日、24時間ずっと救急を受け入れたいんだけれども、受けられないという日が複数の病院で出るとその日には多くの救急患者がある一定の病院に集中してしまう可能性がある。救急領域の人の手配というのがこの働き方改革で一番難しい」
 

複数の病院が連携して患者を受け入れる動きも

八幡病院では、医師の時間外勤務が原則960時間を超えないよう、医師が行っていた仕事を看護師や事務員が協力して行ったり、引き継ぎがスムーズにすむよう工夫したりと、対策を進めています。また、近くの病院と連携し、救急受け入れ態勢の情報を共有しています。

北九州市立八幡病院 伊藤重彦名誉院長「病院が365日同じように人員を配置するのが難しい現状を考えますと、少しこちらの病院が手薄だとしても別の病院で何とかなるよ、という仕組みを作ることが大切ではないでしょうか」

働き方改革は、まちの「クリニック」でも始まっています。福岡市東区を中心に、訪問・在宅診療を行う「はやぶさ在宅クリニック」。定期的な診療に加えて、患者から連絡があれば365日、24時間、いつでも駆けつけます。

はやぶさ在宅クリニック 松下至誠医師「ドクター2人で約20件前後で何とか工夫して回っています」
患者「歩くことができないので、家まで来てくれるのはすごく安心です」

このクリニックでは、働き方改革の一環として去年の夏から訪問スケジュールや薬局とのやりとりなどのデジタル化を進めてきました。在宅診療の需要の高まりを受けて、医師を今年4月までに1人増やす予定です。

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