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「結婚という選択肢が無いことは明らかに平等ではない」同性婚めぐる訴訟、原告4人が意見陳述

同性同士の結婚を認めていない民法などの規定は憲法に違反するとして、同性カップル3組6人が1人あたり100万円の損害賞を求めた裁判の控訴審が19日、福岡高裁で始まった。去年6月、福岡地裁は、同性カップルに婚姻を認めていないことについて「違憲状態である」との判断を示した一方で、損害賠償の請求は棄却し、原告側が控訴していた。


◆「そもそも結婚という選択肢がない…」当事者の思い、訴える
19日の初弁論で、原告のカップルである福岡市のこうすけさんとまさひろさんは、「結婚できるけどしないということと、そもそも選択肢がないということは全く違い、明らかに平等ではない」などと訴えました。一方、国側は、「憲法では同性間の婚姻を想定していない」などと主張し、控訴棄却を求めています。


◆全国5地裁で訴訟、「違憲」「違憲状態」「合憲」と司法判断が分かれる
同性婚をめぐる同種の訴訟は全国の5地裁で起こされていて、札幌と名古屋が「違憲」、東京と福岡が「違憲状態」、大阪が「合憲」と司法判断が分かれていた。賠償請求についてはいずれも棄却し、原告側が控訴している。


◆こうすけさん・まさひろさん(福岡市原告)の陳述要旨
「私たちは同性同士では婚姻ができないため、法的には他人です。もしも明日こうすけさんが救急搬送され意識不明となったときに、私は、病院からは家族として扱ってもらえるのでしょうか。最愛のパートナーが大変なときに何もできず、手を握ってあげることも、顔を見ることすらも、許されないかもしれません」

「愛する人と法的にふうふになりたいと思ったときに、選択肢がないことはおかしいと思います」

「高裁には、同性婚ができないのは違憲だという、これ以上先送りにすることを許さない判決を期待しています」


◆ゆうたさん(熊本市原告)の陳述要旨
「こうぞうさん(パートナー)と私は法律上は赤の他人です。配偶者として取り扱ってくれる人は、誰もが直面する有事の際、誰もいません」

「この国、政府与党は、声を上げる当事者がいなくなるのを待っているのかと疑いたくなるほど、自分たちの都合のいいときには都合のいいように文化・人権・法律を切り取って利用し、都合が悪ければ驚くほど冷淡で、無関心です」

「司法が、この問題を立法府に丸投げするのではなく、立法府が早急に動き出す必要があるのだ、という正しい判断を出すことが、この国を生きる全ての人にとって利益になると信じています」


◆こうぞうさん(熊本市原告)の陳述要旨
「国は、結婚を認めないことで、同性のパートナーとふうふとして生きている人たちを見えない存在にし、偏見や差別を再生産しています」

「同性婚法制化について、首相たちは「わが国の家族のあり方の根幹に関わる問題で、極めて慎重な検討を要する」と何年も繰り返しています。同性婚について考えない日がない僕は、僕らの結婚の何が、極めて慎重な、検討を要する、家族のあり方の根幹に関わるのか、何度考えても分かりません」

「少数者の権利について上がる声には、平時も災害などの緊急時も、「今は他に優先すべきことがある」と後回しにされ、待っていてはいつまでも順番が来ないことを知っています」

「“まずは理解から”と言われますが、法律ができることこそが、何よりも理解の裾野をさらに広げ、僕らを当たり前の存在としてより社会に根付かせていくと思っています。求めているのは、結婚とは違う特別な制度ではなく、平等な結婚の自由です」

「どうかこの国で、より多くの人が希望を持ち生きていけるように、歴史を良き方向に変える判決を願います」

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