PageTopButton

後悔しない土地選び ~チェックリストを活用しよう~

注文住宅を建てる際に必ず必要となる土地。新築後の生活環境を左右するポイントだけに、土地探しには妥協したくないという方も多いでしょう。自分にとって理想的な土地を見つけるには、しっかりと事前準備をすること、土地に求める条件を明確にしておくこと、この2点がとても重要です。

今回は、土地選びに必要な事前準備と理想の条件について簡単に確認していけるよう、ポイントをチェックリスト形式でご紹介します。

土地選びをスムーズに!必要な事前準備

マイホームを新築するための土地選びは、今後数十年にわたって生活する場所を決めるということですから、慎重に選ばなければいけません。いきなり土地を探し始めるのではなく、事前準備をしてから土地探しを始めるという順番がおすすめです。

事前準備のポイントをチェックしていきましょう。

エリア

家族のライフスタイルは年月の経過とともに変化していきますので、ある程度変化しても対応しやすい条件が整っている土地を選ぶのがベストです。リフォームやリノベーションができる建物とは違い、土地は一度購入すると場所や環境を変えられないだけに、優先したい項目と妥協しても良い項目を整理しておきましょう。

また、近年の気候変化による自然災害の増加も踏まえた土地選びが重要です。

  • 公共交通機関の利便性(利用できる交通手段、最寄りの駅やバス停へのアクセスなど)
  • 周辺施設(スーパー、病院、銀行、郵便局など)
  • 学区(公立小・中学校までのアクセス、教育方針など)
  • 地域の特徴(文教地区、新興住宅地、商業エリアなど)
  • 周辺環境(公園、山林、海浜など)
  • 安全性(ハザードマップ、過去の自然災害履歴など)

予算

ほぼ理想に近い条件の土地があったとしても、大幅な予算オーバーになるとしたら、購入は現実的ではありません。住宅の新築にかかる全体予算を最初に組んだうえで、土地購入に充てられる予算を計算しておくことが大切です。

  • 住宅の新築にかかる建築費用
  • 土地の購入費用(仲介手数料、不動産登記費用、印紙代、固定資産税・都市計画税など)
  • 諸費用(火災保険料、地震保険料、住宅ローン手数料、家具やカーテンなどのオプション費用など)
  • 外構費用(門や塀、駐車場、フェンスなど)

希望条件の整理

「エリア」と「予算」の各項目をチェックしたうえで、購入に向けた具体的な条件を追加していきます。下のチェック項目に沿って考えても良いですし、家族全員でひとまず自由に提案し合って、その後まとめていく方法でもよいでしょう。

同時に「こんな条件の土地は避けたい」という意見も整理しておくのがおすすめです。

  • 土地の面積(必要な室数、庭の有無などを踏まえて)
  • 日当たり(南向き、東向きなど)
  • 隣接環境(「飲食店の隣はNG」など)

土地選びを成功させるためのチェックポイント

事前準備がある程度整ったら、いよいよ土地選びです。

インターネットや住宅情報誌で自ら探す、不動産会社やハウスメーカーに依頼するなど土地を探す方法はいくつかありますが、長期化すると住宅の建築計画もどんどん後ろ倒しになってしまいます。先ほどのチェックポイントを踏まえて気になる土地情報を手に入れたら、次の項目をチェックしてスピーディーに取捨選択していきましょう。

  • 用途地域
  • 防火地域・準防火地域の有無(土地の一部でも指定されていないか)
  • 建ぺい率・容積率
  • 高さ制限・北側制限
  • 前面道路の種類(道路の幅員、公道か私道か)
  • 敷地境界(境界線の有無など)
  • 土地の形状(三角地や台形地などの変形地でないか、旗竿地かどうか)
  • 高低差
  • インフラ(ガス・電気・上下水道の引き込みの有無)
  • 現況・引き渡し方法

土地選びには「買わない方が良い土地」の見極めも重要

土地選びにおいては、希望条件を満たすかどうかをチェックすると同時に、後悔する可能性が高い土地を選ばないことも重要です。他のチェックポイントがOKでも、購入を避けた方が良い土地のポイントをお伝えします。

ハザードマップの想定浸水深が高い

最近耳にすることが多くなったハザードマップですが、土地選びの際には欠かせない資料です。台風や大雨、地震といった自然災害が起きた時に、洪水や津波発生時の想定浸水深や土砂災害の発生リスクが分かります。想定浸水深の数値が高いほど、床下・床上浸水のリスクが高いため、避けた方がよいでしょう。

敷地境界線がはっきりしていない

隣接する土地との境界線が曖昧な土地は、トラブルの火種を抱えているようなものです。特に古い土地の場合は、境界杭を打っていても腐食したり動いたりしてあやふやになっている場合が少なくありません。境界線に関するトラブルは解決が難しいケースが多いため、最初から購入を控えましょう。どうしても購入したい場合は、測量を依頼して境界を確定させてからにしてください。

前面道路の交通量が多い

交通量が終日多い前面道路に近い土地に家を建てると、排気ガスが家の周辺を舞いやすいため日中ほとんど窓を開けられません。複層ガラスを採用していても、周辺状況によってはエンジン音が反響して夜眠りにくい状況があり得ます。

高低差がある

前面道路と高低差がある土地も、できれば避けましょう。擁壁工事が必要になったり、車の出入りのために造成しなければならなかったりすると、それだけ費用がかさみます。周辺よりも低い土地の場合は、水はけが悪くなりがちで、台風や大雨の際に浸水するリスクが高めです。プライバシーを守りにくいという点でも不安が大きいでしょう。

まとめ

どんな土地に家を建てるかによって、その後の生活環境の満足度は大きく左右されます。しかも多くの場合、家の新築に伴って初めて土地選びをしますから、不慣れな中で理想の土地を見つけるのは大変な作業です。

今回ご紹介したチェックポイントをベースに、ご家族で項目をアレンジしながら我が家のチェックリストを作成して土地探しに活用してください。また、自分で探すことにこだわらず、不動産会社やハウスメーカーなど土地探しのプロに依頼するのもひとつの方法です。

この記事を参考に、理想のマイホームづくりの第一歩となる土地選びをスムーズに進めていってくださいね。

WRITER
河野 由美子 二級建築士・インテリアコーディネーター・防災備蓄収納1級プランナー

住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手ハウスメーカーでの勤務を経て独立。 日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わっています。 建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、建築関連資格対策テキスト監修、工務店施工事例集ディレクションなどの実績も多数。

関連リンク

DINKs向けのライフスタイルに最適な住宅プラン

DINKsって知ってる? 最近、「DINKs」という言葉を耳にしたことがありますか?この言葉は、英語の「Double Income No Kids」の略で、日本語では「共働きで子どもを持たない夫婦」を意味します。DINK...

境界未確定の土地購入は危険?リスクと解決策を徹底解説!

隣地との境界が未確定で曖昧なままだと、建物を建てる際に隣の土地に越境してしまう恐れがあり、計画通りに建築が進められないことがあります。また、境界を巡るトラブルが解決しない場合、土地の一部を使えなくなる可能性もあり、思い通...

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

この記事を書いたひと

rkb_ouchi