個人が保有する金融資産が2199兆円で過去最高を更新したというニュースもあり金融資産への注目が集まっていますが、そもそも金融資産とは何を指すのでしょうか。
今回は金融資産とはどういったものであるのか、また金融資産の平均的な保有額などについて解説します。
金融資産とは、実物資産との違い
「金融資産」とは、現金や金融商品として保有している資産のことを指します。
代表的な金融資産として、以下が挙げられます。
・現金、預貯金
・株式
・債権
・投資信託
・生命保険
など
金融資産の場合、紙幣や株式、有価証券など紙やデータの「権利」として存在しており、後述する実物資産のようにそれ自体には価値はありません。金融資産の強みは流動性や換金性が高いことであり、例えば株式や投資信託などは市場で簡単に売却できます。欠点は価値の変動が起きやすいことであり、特に株式は銘柄にもよりますが短期間で価値が大きく上下することもあります。
実物資産とは?
「実物資産」とは、形ある物として存在する資産のことを指します。
代表的な実物資産として、以下が挙げられます。
・不動産(家、アパート、土地など)
・自動車
・貴金属(金・プラチナ・銀など)
・芸術品(絵画、骨董品など)
・高級時計
など
実物資産はそれ自体に価値があるため金融資産よりも比較的価値が安定しており、自分で私有物として使いながら保有することもできます。欠点は流動性が低いことであり、例えば不動産や自動車などは譲渡手続きをするだけでも大変であり、芸術品などは価値はあっても買い手が直ぐに見つからないこともあります。
金融資産の種類
ここではそれぞれの金融資産の特徴や強みについて解説していきます。自分にマッチした金融資産を見つけていきましょう。
現金、預貯金
「現金」や「預貯金」は買い物などで直ぐに使うことができる最も身近な金融資産です。なお現金とはお財布やタンスなどで紙幣として保管しているお金を指し、預貯金とは銀行や信用金庫、ゆうちょ銀行などに預けているお金を指します。
株式
「株式」は、株式会社に出資している証明として発行されるものです。株式の価値を示す株価は日々変動しており、銘柄によっては短期間で価値が2倍になったり反対に1/2になるようなケースもあるため、金融資産の中ではハイリスクハイリターンに分類されます。また配当金や株主優待などプラスαの恩恵を受けられる銘柄もあります。
債券
「債券」には、国(国債)や地方自治体(地方債)、企業(社債)などがあり、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券を指します。債券は発行から満期まで保有すると額面全額が払い戻されるため元本が保証されており、利子も受け取れます(利付債の場合)。そのため株式や投資信託などに比べ安全性が高い金融資産として扱われていますが、債券の発行元が破綻するリスクは存在します。
投資信託
「投資信託」とは、投資家たちから集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家(ファンドなど)が株式や債券などに投資・運用するタイプの金融資産です。自分で株式や債券を選んで運用していくのではなくそれを専門家に委ねられ、かつ積立タイプなら100円からの商品もあるなど比較的少額から投資をできるため、投資初心者でも始めやすいことが特徴です。ただし元本は保証されておらず、相場変動により損失が発生することもあります。
生命保険(貯蓄型保険)
生命保険の「貯蓄型保険」は、保障を得ながら貯蓄もできる保険であり、保険料の一部が積み立てられ、満期時(満期保険金)や解約時(解約返戻金)にお金を受け取ることができます。一方で生命保険の「掛け捨て型保険」は保障を得られるだけで通常支払ったお金は戻ってきませんが、その分保険料が割安に設定されています。
貯蓄型保険:終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険など
掛け捨て型保険:定期保険、医療保険、がん保険、収入保障保険など
金融資産の保有額の平均・中央値
実際、世間の人々はどの程度の額の金融資産を保有しているのでしょう。ここでは金融資産の保有額データを平均値と中央値に分け紹介していきます。
世帯別
以下は、単身世帯と2人以上の世帯での金融資産の保有額データです。
単身世帯:平均値871万円、中央値100万円
2人以上の世帯:平均値1291万円、中央値400万円
出典:
家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果
家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 令和4年調査結果
平均値は「データを足した合計値をデータ個数で割った値」であり、大きく外れた値の影響を受けやすく、実態とかけ離れることもあります。例えば金融資産が極端に多い世帯があればその影響により平均値が大きく上がってしまうことがあるのです。
対して中央値とは「データを小さい順から並べたときにちょうど真ん中にくる値」であり、データに上下ばらつきが生じていても実態に近い値となりやすいです。
世代別
以下は、20代~70代まで世代別での金融資産の保有額データです。
20代:平均値185万円、中央値20万円
30代:平均値515万円、中央値150万円
40代:平均値785万円、中央値200万円
50代:平均値1199万円、中央値260万円
60代:平均値1689万円、中央値552万円
70代:平均値1755万円、中央値650万円
出典:家計の金融行動に関する世論調査[総世帯]令和4年調査結果 各種分類別データ シート4金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む) <問2(a)>
世代別にみると、年代が高くなるに比例して保有額は増えていく傾向にあり、平均値、中央値共にその傾向が見られます。
現金・預貯金から投資へ
金融資産の保有構成として、日本は現金、預貯金での保有割合が極端に多い国であり、株式や投資信託などには一切触れずに資産管理をしている人も大勢いる国です。一方、アメリカやヨーロッパなどでは株式や投資信託の割合が日本より高めです。
しかし近年は「貯蓄から投資へ」が政治や経済におけるテーマのひとつとなっています。歴史的な株価高騰や新NISAなども後押しし、これまで預貯金として保有していた資金を株式や投資信託に回す人が徐々に増えてきている傾向にあります。
金融資産が過去最高を記録
日銀が3か月ごとに公表する「資金循環統計」によると、個人が保有する預金や株式、保険などの金融資産は2024年3月末の時点で2199兆円となり過去最高を記録しました(前年同じ月より7.1%増)。このうち「株式など」は33.7%増えて313兆円、「投資信託」は31.5%増えて119兆円となりいずれも過去最高を記録しています。
以上、金融資産について解説しました。日本もお金を現金や預貯金としてただ貯めておくだけの時代から、さまざまな金融資産を組み合わせ運用していく時代になりつつありますので、それぞれの金融資産の特徴や強みを知っておくことが大切です。自分にマッチした金融資産や運用方法を見いだして、賢くお金を管理・運用していきましょう。
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