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クラシカルかつモダン!レジェンドシェフが手がけるご馳走フレンチ

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師も走る師走。博多駅に程近い住吉通りは、今日も人や車が忙しなく行き交っています。今回目指すのは、そんな通り沿いに建つ“メディカルビル”の7階。一見するとレストランがあるとは思えないビルの最上階で、ひっそりと静かな佇まいを見せる「Grande Chariot」を訪れました。

住吉 グランシャリオ エントランス

エレベーターを降りると雰囲気は一変、通りの喧騒が彼方に遠のきます。ゲストを迎えてくれるのは、赤いライトに照らされたドラマチックな作品、福岡県出身の気鋭画家・吉武弘樹氏の100号大作「Pieta」。自然石を配したエントランスは洞窟をイメージしており、左手がメインフロアへの入口です。

住吉 グランシャリオ 店内

細く暗いトンネルのような廊下を進むと、さらに雰囲気はガラリ! 開放感のある真っ白なフロアが目に飛び込みました。ロココ調の椅子やアンティークのチェスト、吉武弘樹氏の作品や季節の花を大胆に生けた空間は洗練されており、ハレの日にふさわしい格式ある雰囲気が漂います。

住吉 グランシャリオ カウンター

一方で、エントランスから右手奥へ進むと、そこにはシェフの舞台である厨房が。赤と黒を基調とした空間はモダンな雰囲気で、シェフズテーブルともいえる7席の特等席が用意されていました。
笑顔で迎えてくれたのは、「Grande Chariot」の料理を手掛ける藤原慎吾シェフ。そう、福岡のグルマンならご存知、福岡フレンチ界のレジェンドともいえるあの藤原シェフです。まずは、そのご経歴をご紹介しましょう。

住吉 グランシャリオ シェフ

18歳でフランス料理の道へ飛び込んだという藤原シェフ。かつて天神にあった伝説のレストラン「イルドフランス」へ入り、その後は本場フランスへ。1973年から30年以上もの間3つ星を守り続けてきた「タイユヴァン」、3つ星を獲得する直前で最も勢いのあった時代の「ギィ・サヴォア」といったフランス・パリの名店、東京の1つ星店などでも研鑽し、フランス料理の技術と感性を磨きました。

帰国後は「イルドフランス」に戻り、約5年間に渡り総料理長を務め、2000年に独立を果たします。「フジワラ」「旬フジワラ」といった藤原シェフのレストランは福岡のグルマンに愛され、数多くのシェフも輩出。福岡のシェフが集う団体「博多ミラベル21」も立ち上げるなど、その功績は計り知れません。

住吉 グランシャリオ 支配人

藤原シェフは自身の店を4店舗まで増やし、独立して19年が経った後はプロデュース役に回り、シェフとしての第一線を半ば退いていた状態でした。

しかし、そんな藤原シェフを口説き落としたのが、「Grande Chariot」の総支配人・吉岡伸治さん。吉岡支配人は、公務員として勤めていた若い頃から各地を食べ歩き、ヨーロッパを訪れてワインの収集を続けてきた生粋の美食家です。「フジワラ」に通い詰めた藤原シェフのファンの一人でもあり、退職後、自身の理想のレストランを造りたいと考え、真っ先に藤原シェフに声をかけたのだと話します。

住吉 グランシャリオ ワイン

店内のセラーには、吉岡支配人のコレクションであるバックヴィンテージのボルドーを中心とした1000本以上のワインが勢揃い。現地オーナーから直接買い付けたという75年、78年の「シャトー・ラトゥール」、96年の「シャトー・カロン・セギュール」、97年の「シャトーオーブリオン」など、名だたるシャトーのマグナムボトルも30本ほどを有しているというから驚きです。

もちろんお値ごろのワインも揃っており、ソムリエが料理に合わせて選ぶ3杯のワインがセットになった「ペアリング」(6,600円~、ノンアルコール3,300円~)も好評。ワインビギナーからワインラヴァーまで幅広く楽しめるのが嬉しいですね。

住吉 グランシャリオ 料理

さぁ、料理をいただきましょう。フランス直輸入の高級食材から、九州をはじめとした地産食材まで、旬の味覚を吟味して作るコース料理は、ランチ・ディナー共に3種類を用意。今回はディナーコースの1つ「ポラリス」(15,000円)を予約しました。

最初にアミューズが供され、続いて登場したのは冷製のオードブル「アワビのサラダ 肝のチュイル」。活アワビはクールブイヨン(※)でサッと火を通し、根セロリは酸味の効いた軽やかなクリームを和えたサラダに。イクラ、新鮮な肝、肝を使ったチュイルといった海の香りや食感を添えるアクセントも絶妙で、シャンパーニュや白ワインを軽快に運んでくれます。

※クールブイヨン=香味野菜や白ワイン、酢などを短時間で煮出して作るブイヨン

住吉 グランシャリオ 料理

3皿目は温かいオードブル、4皿目には本日の魚料理「甘鯛の鱗焼き」が運ばれてきました。鱗焼きといえば鱗を立てるのがセオリーですが、藤原シェフは敢えてそれをせず。鱗を軽く押さえつけながら揚げ焼きすることで身と皮の隙間を作り、そこに唐津産の雲丹を挟むというアイディアが光る一皿です。しっとりとした甘鯛の身に濃厚な雲丹が絡み、パリパリと香ばしい鱗の食感もクセに。昆布で旨味を引き出したヒュメドポワソン(魚の出汁)のソースや、春菊のピュレを合わせた白インゲン豆が甘鯛のおいしさを一層引き立てています。

住吉 グランシャリオ 料理

グラニテの後は肉料理。「有田牛ロースのグリル」を主役に、マコモ茸やツルイモといった季節食材を添えた一皿が供されました。柔らかく厚みのある有田牛の下には、澄ましバターで焼き上げたパンドミを置き、間にはタマネギのピュレを挟んでいます。ソースはコンフィにしたフランス産エシャロットにボルドーワインを加えて作ったソース・ボルドレーズ。液体ではなく、敢えてジャムのような“固形”にしているのもポイントで、これによりパンドミのサクサク感が活き、肉の甘味もダイレクトに楽しめるというわけです。

住吉 グランシャリオ 料理

最後はデザートでフィニッシュ。この日は、晩秋の山に踏み入ったイメージで作り上げたという一皿が登場しました。サクサクのパイ生地の間には8時間じっくりと炊いた紅玉や、生クリームを加えて滑らかに仕上げたカスタードをサンド。甘味、酸味、ほろ苦さや食感のアクセントも絶妙で、コースの締めくくりにふさわしい一皿です。

住吉 グランシャリオ シェフ

そうして全7品のコースをいただき終え、私はこんなことを感じていました。
料理はクラシカルでいてモダン、重厚感がありながらも後口は軽快。素材の活かし方や組み合わせは時に斬新巧妙で、何と言ってもシェフの料理が“若返っている!”と――。僭越ながらそんな感想を伝えると、藤原シェフは笑顔で応えてくださいました。

「料理を作るのが楽しいんです。流行を追いかけたり、固定観念にとらわれたり……、昔はとにかく足し算ばかりでしたね。でも今は上手く肩の力が抜けて、少し引き算もできるようになったかな。引くところは引く、凝るところは凝る、何といっても自分が食べたいと思うものを自由に作る! 今日のボルドレーズも、朝起きて思いついたものなんですよ」。

住吉 グランシャリオ 個室

料理人歴45年目にして、さらに進化を続ける藤原シェフ。「コース料理は食材に合わせて毎日変わるので、ソムリエはペアリングワインを選ぶのも大変です」。そう困ったように話しながらも、どこか嬉しそうな吉岡支配人の姿も印象的でした。

メインフロアの奥には、最大6名でくつろげる個室もあり、特別な会食時にも重宝。クリスマス限定のランチ・ディナーコースはすでに予約で埋まっている可能性も⾼いですが、気になる⽅はぜひお問い合わせを。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

店舗名:Grande Chariot(グランシャリオ)
ジャンル:フランス料理
住所:福岡市博多区住吉4-8-24 住吉メディカルビル 7F
電話番号:092-402-2911 完全予約制
営業時間:12:00~OS13:30/18:00~OS19:30(木曜は夜のみ営業)
定休日:火、水曜
席数:カウンター7席、テーブル16席
個室:2~6名
メニュー:【ランチコース】(2日前までに要予約)シリウス7,700円、アニバーサリー10,000円、ペアリングコース13,000円、【ディナーコース】(要前日予約)ポラリス15,000円、グランシャリオ18,000円、アンタレス30,000円、ペアリング3種:ワイン6,600円~、ノンアルコール3,300円~
URL:https://www.instagram.com/grandechariot2020

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この記事を書いたひと

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