5日は二十四節気の「小寒」。この日を寒の入りとし、そこから立春の前日である節分までの期間を「寒の内」と言います。一年で最も寒い時期です。
実際この冬も寒の内に入って、本格的に寒くなった気がします。体調を崩しやすいこの寒い時期を昔の人々はさまざまな工夫をして乗り切ってきました。
寒の入りから9日目(13日)にくむ水は「寒九の水」と呼ばれます。寒さと乾燥で雑菌の繁殖が抑えられるため水が腐りにくく、飲めば薬になると言われています。
同じく寒の入りから9日目には「寒九のとろろ」という言葉も。トロロイモは栄養豊富で、この日に食べることで無病息災の願掛けにもなるそうです。
他にも「寒食い」や「薬食い」と言って、寒の内にシカやイノシシの肉など滋養のあるものを食べる習慣もありました。寒ブリや寒シジミなどもそうです。
また、佐賀県鹿島市には寒ブナを使った「ふなんこぐい」という郷土料理があります。フナを昆布で巻いて煮込んだもので、二十日正月に恵比須様や大黒様にお供えし、豊漁や無病息災などを祈願する風習があります。
体調を崩す人が増える時期ですが、昔の人々の知恵を借りて、寒の内に風邪を引かんごと、体調管理に気を付けましょう。
横尾槙哉=RKB気象予報士・防災士
毎日新聞福岡版 2025年1月11日掲載
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