「陽性になったらラッキー」増える給付金目当ての保険加入~リスク保障あいまいで排除難しく

自宅療養も「みなし入院」として給付金が支払われるため、新型コロナの「入院給付金」の支払いが急増しています。専門家は、はじめから「給付金目当ての加入」であっても保険会社が排除するのは難しいことが背景にあると指摘します。どのリスクに対しての保障なのか。“極めてあいまいな保険”の課題が表面化しています。

自宅で療養したら「15万円」の保険金

新型コロナウイルスに感染した福岡県在住の30代の女性です。

福岡県在住の30代女性(先月15日に感染)「軽症の扱いだったんですけど、自営業なので仕事が10日間もできないので取引先にも迷惑をかけますし」

女性は不動産関係の会社を1人で経営していて10日間の自宅療養を余儀なくされた間は働くことができませんでした。収入がゼロになると心配していましたが・・・

感染女性「保険をかけていましたので少し生活の足しになりました。15万円ほどいただきとてもありがたいなと」

生命保険会社は、自宅やホテルでの療養いわゆる「みなし入院」になった場合でも、「入院給付金」の対象にしています。福岡県筑紫野市にある保険代理店を訪ねると、電話対応に追われていました。

保険代理店「コロナの請求の件で市からきました書類は?1か月たってまだきてないんですね?一回問い合わせてみるのもいいかもしれない、問い合わせしないとこない市町村もあるみたいなので」

新型コロナに感染した客に代わり、保険会社へ入院給付金の申請をするため保健所から必要書類が届いたか定期的に確認をしています。

陽性になったらラッキー?給付金目当ての保険加入

先月以降、「みなし入院」の感染者に支払われる「入院給付金」などの問い合わせが相次いでいると話します。

 

保険代理店「請求の電話や『コロナは対象になる?』という電話は先月と今月は非常に増えていますね。3倍、4倍くらいありますね」

大手生命保険会社の日本生命が発表した最新のデータによりますと、今年4月から6月までの新型コロナによる「入院給付金」の支払額はおよそ386億円。3か月間ですでに昨年度の支払総額の1.7倍に上っています。さらに、7月分以降は第7波の影響でこれまで以上に支払いが増えると予想されています。

保険業界に詳しい福岡大学商学部の植村信保教授はこう話します。

 

植村教授「もともと万が一のために保障をうけようと考えてた人ばかりでなくて、もしかしたら陽性になったらラッキーということで給付金目当てで保険に加入する動きがおそらくあるんじゃないか。そこを保険会社が排除することは難しい」

問題はどのリスクに対する保障か極めてあいまいな点

実際に、日本生命では不正請求が疑われるケースが確認されています。手口は、すでに新型コロナに感染しているのにその事実を伝えず、高額の保険に加入しすぐに請求を行うというものです。

そのため、入院給付金の上限を40万円から30万円に引き下げ、当面の間は新しい客からの自発的な申し込みの受け付けを停止する異例の対応を決めました。

 

植村教授「保険をなりたたせるためには必要な話で、そもそもリスクが高いかつリスクが高い行動をしそうな人がたくさん入ると普通の人は保険料を払うだけで受け取るのはリスクの高い人になる。加入者の公平性が維持できなくなる。新型コロナは国が医療費をだしてくれるから医療費はかからないが、陽性になったら保険会社は給付金を支払う。どのリスクに対して保障をしているのか極めてあいまいな保険だと分かってしまったので、どうするのかが保険業界の課題だと思います」

植村教授はこの保険会社の決断を通して、業界全体が医療保険商品の内容を見直すきっかけになればと話します。

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