「どうなってるの、福岡」今も飲酒運転後を絶たず あの3児死亡事故から16年

あの悲惨な事故から16年、福岡県では、いまだドライバーの摘発が後を絶ちません。飲酒運転を防ぐための取り組みを取材しました。

 

◆飲酒運転事故を起こした男性は

堀口俊明さん「もう恐ろしくなります。今考えると」

北九州市小倉南区に住む堀口俊明さん(58歳)。20代のころ、飲酒運転による人身事故を起こし、書類送検されました。

堀口俊明さん「気付くと、自分の車を警察官が運転していて。交番に着いて話を聞くと、前に軽バンが走っていて横にぶつけた、と聞きました。全く覚えてないです」

堀口さんが飲酒運転でぶつかった車には、2歳の子供が乗っていました。相手の父親から何度も責められましたが、堀口さんはその後も酒をやめることができませんでした。アルコール依存症だったのです。

堀口俊明さん「やめたい。だけどやめられない、『うそやろ』と思うかもしれないけど、泣きながら酒飲んでました」

精神科の病院で治療を受けるなどして、なんとか酒を断つことはできましたが、毎年8月25日は過去の自分をあの悲惨な事故に重ね合わせています。

◆3児死亡の大事故から16年

2006年8月25日の深夜、福岡市東区の海の中道大橋で、家族5人が乗った車が追突されて海に転落し、1歳と3歳、4歳のきょうだい3人が死亡。身勝手な飲酒運転の車が起こした、あまりにも理不尽な事故でした。

RKB永牟田龍太「事故をきっかけに飲酒運転撲滅の機運は高まり、厳罰化などの影響もあって、検挙者は減少傾向となっていました。しかし、ここにきて再び危機的な状況となっています」

 

今年1月から先月末までに飲酒運転の疑いで福岡県警に逮捕されたのは、250人。特に新型コロナに関する行動制限が解除されてからは急増していて、5月は前の年の2倍、6月は3倍近くに上っています。

◆深刻に受け止める建設業界

また、警察の分析では、県内で今年起きた飲酒運転事故のうち、加害者の3割を建設業界の関係者が占めたことが分かり、対策が急務となっています。

今年4月からアルコールの検知器を25台導入した、北九州市の建設会社です。

 

高藤建設 萬田恵一取締役「同じ業界としては残念で仕方ありません。前日に、ちょっとセーブしておこうとか、そういった緊張感を持った出勤状態になってきている」

検知器の導入は、新たな道交法の改正を受けたものです。4月から段階的に施行される改正法では、いわゆる「白ナンバー」の社用車を5台以上持つ事業者などに対し、酒気帯びの有無を確認・記録したり、検知器でチェックしたりするよう義務付けます。この会社では、毎朝、ドライバーのスマホに検知された数値などが表示され、社内のパソコンにも保存されます。

高藤建設 萬田恵一取締役「各部署と、乗る車・乗る日時・顔写真・測定結果も表示されるようになっています。社員全員が100%ないということを続けていくことを目指していきたい」

◆断酒には「周囲のケアが必要」

過去に飲酒運転事故を起こした堀口さんは現在、アルコール依存症患者などが集う自助グループで、支援活動を続けています。福岡県では、飲酒運転で摘発されるなどした場合アルコール依存症に関する診察を受けるよう、条例で義務付けられていますが、これまでに対象となったのべ7000人あまりのうち、およそ4割が受診していませんでした。堀口さんは、飲酒運転を繰り返さないよう周囲のケアが重要だと話します。

堀口俊明さん「自分がやってきたことが、他の人から聞ける。自分が忘れていたことを思い起こさせてくれる。『お酒を自分は飲めないんだ』ということを、肝に銘じさせてくれる場になる」

ひまわりが大好きだったきょうだい3人の命を奪った、飲酒運転事故から16年。事故の風化が懸念されるなか、飲酒運転ゼロを目指す取り組みは、正念場を迎えています。

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