5歳児餓死 「怒りしかない」祖母のコメント全文~児童相談所への不信感と怒り

福岡県篠栗町で2020年に5歳だった男児が餓死した事件で、当時、見守りが必要な家庭として自宅訪問などを行っていた福岡児童相談所が、9月30日に男児の祖母に不適切な対応を謝罪した。面会を終えた祖母は10月6日、代理人弁護士を通じてコメントを発表。SOSを出しても応じなかった児童相談所に対する強い不信感や怒りを綴った。

◆以下、コメント全文

児相面談を終えて
令和 4 年10月6日

碇利恵の母です。
本年 9 月 30 日に県庁で、福岡児童相談所の現在の所長、児相の弁護士、相談第一課長、県の児童家庭課児童福祉係長と、その上司という方との面談を行いました。

今回の面談の前に、当時の篠栗町の担当者から直接きちんと説明して欲しいと依頼しましたが、当時の担当者は今、福岡児相の職員ではない、福岡児相として、組織としてお答えするという理由で、当時の担当者は面談にきませんでした。
当時の担当者に聞きたいこと、言いたいことはたくさんありますが、私はいまだに一度も当時の担当者から直接説明も謝罪も受けていません。当時、そして今も、当時の担当者が翔士郎のことをどう考えているのかわからないままです。

今回の面談の時にも言いましたが、令和 2 年 3 月 31 日に児相に行った私が「私の孫、死なないですよね?助かりますよね?」というと、篠栗町の担当者は「大丈夫です」と言いました。後で分かったことですが、この担当者は私が 3 月 12 日に訪ねてから一度も翔士郎を調査したり面談したりしていなかったのに、大丈夫と言ったわけです。
そのことを所長に聞くと、「そこが危機意識の低さ」と、当時の篠栗町の担当者の対応の不適切さを認めました。そして、児相も県も、申し訳なかったと謝罪されました。これは組織としての謝罪だと受け止めています。

また、翔士郎のリスク判定を「C」にしたままだったことは、検証報告書でも言われているように、見直すべきだったそうです。この「C」のリスク判定は、児相の所内会議で決められるそうなので、担当者、所長の森本さん(同じ苗字ですが面談した時とは別の人)たちで決めたのでしょう。児相全体で間違えた責任があると思います。面談のとき、児相の方は、翔士郎の体重を測っていればリスク判定の見直しはあったと思うが、翔士郎に会うことが目的化し、体重を測ることへの意識が薄らいでいたとも言いました。
児相はいつまで経っても現認確認以上の介入をするつもりはなかったんだと思います。

リスク判定を見直すタイミングは、家庭環境が変わる時、今回は翔士郎の幼稚園退園のタイミングと、転居のタイミングになるとも言われました。ですが今回はいずれのタイミングでもリスク判定は見直されていませんでした。児相は、できることをやりませんでした。
リスク判定の見直しを行わなかったことは、「私たちも反省すべき点」と、児相の方が話していました。

この面談の途中、児相から「起こってしまったことはどうしようもない」という発言もありました。
あまりに無責任な言葉に、翔士郎の命は児相にとって数あるケースの一つでしかないのかと、今思っても怒りしかありません。
児相に助けを求めたあの日、私にはどうすることもできず児相なら助けてくれると思いました。あなた達に子ども、孫がいるなら助けて下さい、あの子は小さいから体力がないからと言った私の気持ち、助けられた翔士郎を助けてもらえなかった私のくやしさ、あんなむごい毎日を送らされていた翔士郎の苦しさ、その事実を知った私の気持ちは児相にはわからないでしょう。他人事だから。ただその場しのぎで謝ればいいと思ってあんな言葉が出たのでしょう。

今回、県や児相は組織として対応すると言い張って、肝心の担当者を隠し続けています。
組織の前に、人間、子どもを扱っているのだから人間としてきちんと説明して欲しいと思います。
庁内の異動を、説明責任を果たさない理由にしないでほしいです。
そして謝るべきところがあるなら、今の所長が組織を代表してではなく、当時の篠栗町の担当者、所内会議で「C」を続けた当時の森本所長に謝ってほしい気持ちは変わりません。
また、私だけでなく、命を失った翔士郎へも謝罪がないのかと思います。最後に、児相の方にはいつまでも天国の翔士郎に想いを致して、自分達の仕事に子どもたちの命がかかっていることを痛感してほしいです。
また、児相の職員が足りないのなら県に考え直してほしいです。

◆1審で母親・碇利恵被告と「ママ友」の赤堀恵美子被告に実刑判決
この事件では、死亡した碇翔士郎ちゃんの母親・碇利恵被告と、生活全般を実質的に支配していたとされる「ママ友」の赤堀恵美子被告が保護責任者遺棄致死の罪で起訴された。1審で碇被告は懲役5年、赤堀被告は懲役15年の判決を受け、それぞれ控訴している。

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