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巧みな選挙戦略 冷徹な分析
高島氏の選挙はかなり戦略的だ。4期目に向けて出馬するのかしないのか中々表明せず、記者らを翻弄し続けていた。選挙の告示まで1か月を切った時点でようやく出馬を表明したが、この時「朝決めた」とけむに巻いた。選挙中に話を聞いてみたところ、タイミングを練った上での直前の出馬表明だったと話していた。圧倒的な知名度があるからこそ、後出しじゃんけんが有利になるのだろう。
一方、民主党系の市議だった田中慎介氏が出馬を表明したのは、投票日が2か月後に迫った9月だった。これについて、高島氏は「本当に出たいなら覚悟をもって半年前に表明して辻立ちすれば良かったのに」と漏らしていたという。市議を務めていたとはいえ知名度や準備が不足しているとして、田中氏の戦略に疑問を呈したものだろうが、選挙に対する冷徹な分析も垣間見える。今回の選挙期間中もこう強調していた。
高島氏:「163万人から選ばれる1人になるというのはやっぱり難しいですから。相当戦略的に行かないと。生半可じゃ通らない」
取り戻せ元気!
出馬表明をした翌週、高島氏は福岡県の服部知事と共に会見を開いた。選挙が近い時期に自らの成果と知事との親密さをアピールする形となった会見。選挙戦を意識したものではないかと感じ、あえて「なぜこの時期の発表なのか」と質問してみた。市町村との関係の重要性を説く服部知事に続いて、高島氏は苦笑いしながら「全く同じです」と答えるのみだった。この時の写真は高島氏の選挙パンフレットに大きく掲載されている。そこには、年上の知事も利用して成果を示す、ある意味、老獪な政治家の姿を見たような気がした。
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この記事を書いたひと
今林隆史
1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。