SDGs 有田焼 失敗作に"命"吹き込む

国連の持続可能な開発目標=SDGsシリーズ、今回は「つくる責任つかう責任」です。佐賀・有田焼の窯元では、これまで捨てられてきた失敗作が、美しい商品として生まれ変わっています。仕掛け人は、有田焼に魅了された外国人です。

カナダ出身の陶芸家ジェレミー・パレ・ジュリアンさん。有田焼の老舗窯元・幸楽窯で、作品作りに取り組んでいます。もともとは、カナダの美術館などで働いていましたが、焼き物の高い技術を学びたいと、去年5月、佐賀県有田町にやって来ました。

実はジュリアンさん、作品作りに、ある画期的なアイデアを取り入れました。きっかけは、放置されていた「失敗作」です。

まるでミミズのはった跡のように見える、この模様。土からしみ出した水分が、釉薬の下に溜まったものです。この「ミミズ」が入った作品は、不良品として扱われ、これまで廃棄されてきました。

そこでジュリアンさんは、このミミズをデザインとして生かそうと考えました。ミミズを筆で丁寧になぞり、花や枝に見立てます。失敗作として廃棄される運命だった焼き物が、美しい作品として生まれ変わりました。ジュリアンさんが生み出した「ミミズ・プロジェクト」です。

幸楽釜では、5年前から海外の芸術家との交流を続けています。これまでに、50人以上の外国人を受け入れてきました。背景にあるのは、有田焼を取り巻く厳しい現状です。和食離れや外国産の安価な製品におされ、有田焼の売り上げは年間でおよそ35億円と、この10年で半分近くにまで落ち込んでいます。そこで、伝統や常識にとらわれない外国人のアイデアを取り入れ、新たな購買層の開拓につなげようとしているのです。

「もったいない」という外国人の思いから生まれた取り組みは、他にもあります。
「ここでは、工房で長年蓄積された宝物が売られています。中には数十年以上前に作られた器もあります」
「トレジャーハンティング」。作りすぎなどで販売されず、何十年もの間、工房に放置されていた皿や茶碗などを、カゴに詰め放題で購入できる企画です。幸楽釜で働いているブラジル人、ピメンタ・セバスチアオさんが考案しました。参加費は、商品のランクによって5000円と1万円のコースがあり、大きさにもよりますが、平均すると1点100円~200円前後になるそうです。4年前に始めて以来、毎月100組以上が訪れる人気ぶりで、今では幸楽釜の重要な収入源となっています。この日も、訪れた人たちが思い思いの食器をかごいっぱいに詰めていました。

失敗作や余り物を廃棄せずに商品に。外国人の常識を覆すアイデアが、伝統の世界に新しい風を吹き込んでいます。

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