SDGs 世界で評価 "エコ"なチーズ

シリーズでお伝えしている「SDGs、私たちにできること」。今回は「つくる責任 つかう責任」です。佐賀県の酪農家の男性が、これまで廃棄されていた乳製品を作る際に出る「副産物」を活用し、「エコなチーズ」作りに取り組んでいます。

佐賀県嬉野市にあるチーズ工房・ナカシマファームです。隣接する牧場でとれた、新鮮な牛乳を使ったチーズが人気です。工房を覗いてみると、店主の中島大貴さんと従業員が、何やら黄色の液体を集めています。

ホエイとは、牛乳から脂肪分などを取り除いた後に残る液体です。タンパク質や糖分などの栄養素をたっぷり含んでいますが、腐りやすいという欠点があります。大きな工場では、プロテインなどに活用されますが、費用も時間もかかるため、中小規模の工場では、廃棄されることが多く「環境汚染」や「フードロス」につながるとの指摘もあります。
家業を手伝う形で、11年前から酪農を始めた中島さん。自慢の牛が出すミルクを無駄にしたくないと、ホエイを使ったチーズを作り始めました。中島さんによると、厳密には「生乳を主原料とする食品」だということですが、試行錯誤を繰り返し、3年かけて開発しました。

原材料はホエイと生乳のみで、砂糖や甘味料は一切加えません。6時間、煮詰め続けると、糖分とたんぱく質が熱で結び付き、茶色く変化していきます。水気が飛び、鍋の底が見え始めたら「ブラウンチーズ」の完成です。

「甘い!キャラメルのような甘さですね、砂糖が入っていないなんて信じられない」

工程はシンプルなのに、どうしておいしくなるのか。その秘密が「資源の循環」を意識した牛乳作りにありました。中島さんの牧場では、牛の糞を堆肥に利用していて、畑の土には多くの微生物が含まれています。その微生物が、病原菌などの繁殖を抑えることで、牛は良質な牧草をたくさん食べることができ、栄養満点で甘いミルクを蓄えるのです。

中島さんは、この「ブラウンチーズ」を去年、イタリアで開かれたチーズの国際コンテストに出品。42か国およそ3800点の中から、銅賞に輝きました。

ホエイの廃棄問題への取り組みと美味しさを、両立していることが評価されたのです。コンテストを通して「ブラウンチーズの存在は知ってもらえた」と話す中島さん、次の目標は製法の普及です。

フードロスを「美味しく解決」するために。中島さんが作るチーズには、酪農家としての飽くなき探究心が込められています。

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