食通の街、福岡を支える立役者③ 「二○加屋(にわかや)長介」「釜喜利うどん」を経営している玉置康雄さん

~RKBラジオ 弓削聞平スマイルディッシュ(毎週金曜午後6時45分~)より~
飲食店がひしめき、全国の食通が注目する街・福岡。この街で、食を通して人々に笑顔を与えている、料理人やソムリエたちをゲストに迎え、ここ10年でのべ1万軒外食している弓削聞平と、世界中の食を語れるアナウンサーになりたい田中みずきの2人が、彼らの情熱の源に迫ります。

ここ数年で福岡に「うどん居酒屋」が増えてきました。
「須崎の『つきよし』にお客さまが集まり始めて、その後ぐらいから続々増えてきました。そのブームが福岡から東京にも飛び出して、今うどん居酒屋増えてますもんねー」
と弓削さん。


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今回のゲストは「二○加屋長介」「釜喜利うどん」を経営している玉置康雄さん。
「最初の修行が居酒屋で、独立する前にうどんを習ったんで両方掛け合わせて、いけるかな?はやるかな?みたいな感じで、うどん居酒屋っていう業態を作りました。10年前に創業した『二○加屋長介』は基本的に居酒屋で、美味しいうどんで締められる店。その3年後にオープンした『釜喜利うどん』はうどん屋なんだけど、うどんを食べる前にちょっとつまんで、気の利いたお酒もでてくる店です」

呑んだ後にラーメンではなくうどんで締める。
弓削さん曰く、「『二○加屋長介』のあたりから普通になってきて、博多ではもう当たり前にうどんで締めますからね。居酒屋で呑んだ後に別の店に行かなくていいというのも理想的ですよね」
女性にとってもラーメンで締めるよりうどんで締める方が罪悪感も少ない(?)ようで、女性客も多い居酒屋さんです。

ところが店主の玉置さん、なんと飲食店の仕事をする前は、カーテンメーカーで営業をされていたとは意外です! その頃のお話を伺ってみました。

「当時、飲食店で働くっていうことは全くイメージしていませんでした。カーテンの営業時代は自分が売りたいものじゃなくて、売れないものを売るのが仕事で。それでちょっと悩んでた時期があって......」
今に繋がるそういうアイデアもその時に色々と?
「いや、どうなんですかねー。思いつかなかったからやめたかもしんないし(笑)」
でもそれがまた何故飲食業界に入ることになったのでしょう。
「昔からグルメ本見て、全店制覇するぞ! と飲み食いすることは好きだったから、いろんな店を廻っているうちにカウンターの中に居るスタッフってかっこいいなって思うようになって、以前の同僚からも『お前、飲食いいんじゃね』とか言われて自然に盛り上がっていきました。料理作るのも嫌いじゃないですけど、それより好きなのがお客さんとしゃべったり、周りを盛り上げて店を一体化したりするみたいなことにすごく喜びとか、楽しみを覚えていったんで、そのままズルズルと気付いたら、飲食業界に入っていました」

「飲食店は料理を提供する仕事と思われがちですが、サービス業なのでお客さんとのやり取りとかに興味があるとか、喜びを持ってないとなかなかきついですよねー」と弓削さん。

「確かにいいものを作れたとしても、それを楽しませて食べさせてもらいたいですもんね」
と田中アナ。その資質をたっぷりと玉置さんは持っていたんですね。
自分が行きたい店を作る! という最初のコンセプトは今でも変わってないようです。


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そして、「二○加屋長介」は、なんといってもメニュー数が半端ない店。うどんまで入れると120種類ほどあるといいます。
「1席当たりのメニュー数はもしかしたら全国一かもしんないです! 10年やっていると、もろきゅうですらファンがいるようになってきて、新しい物は思いつくけど削るものはないんです」
スタッフの「もっとやってやろうぜ〜!」という気合も大きいそうです。

玉置さんの座右の銘は『商売繁盛』!!
決して順風満帆ではなかったと語る玉置さんにもいろんな辛いこと、苦しい時期もあったそうです。
「最初から薬院の路地裏でお店を作っちゃったもんですから、お客さんが単純に来ない(汗)。値段もメニューには書いてないんで、最初あんまり注文してくれないとか。後はうどんを手作りしてるんですけど、自宅のマンションで打っていたので寝る暇がないとか......」
創業時の悩みはいろいろあったようです。
そんなスタートでしたが、弓削さんの記憶によると
「途中から夜の閉店時間が2時から3時に変わり、飲食店の人たちが自分の店の営業が終わってから来るようになり、いつも誰か来てるみたいな感じになって深夜の満席具合がすごいな」
と、感じたといいます。

「今度は忙しくなったらなったで、仕込み時間も増えてもう寝る時間がなくなっていって......客数が増えればうどんもたくさん作らないといけないし。でもそれはすごく嬉しいことで、テンション上げてたくさんスタッフを入れたんでそこからは回っていったような記憶があります」

そして創業の時は全く考えてなかった2店舗目3店舗目も展開することに。
2店舗目の「釜喜利うどん」をはじめ、今では東京そしてパリに出店。
しかしそこには自分がいない店のオペレーションの難しさという壁もあったといいます。
でもその壁を乗り越えられたのは一緒にやってくれたスタッフがいたから。
「自分一人じゃできませんでした。彼らが自分でお店をしているっていう意識を持っていてくれてたから」


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その時の4人のスタッフが10年経った今でも店を盛り立ててくれています。
そしてさらに、「いいパートナーに巡り会え、今後自分たちが幸せになれそうな予感のする会社と一緒にやることができたんで。それもすごく決断は迷ったけどよかったです」と東京へも進出!
「東京とか好きなんですよ(笑) だからそこで自分のお店の看板が出るのはすごく嬉しいことだったんです」
今、福岡には東京や他県、海外からも飲食業の視察に来ることも多いそうで、福岡で流行ったからこその出会いもあり、まだまだ留まるところを知らないようです。

「現地に行ってみてどれだけ修正できるかが勝負だと思ってます。日本現地のままを食べたい人もいれば、自分が美味しいってものを食べたい人もいます。現地で現場に入ってみてどう感じるか、それを修正できる能力がすごく大事かなと思います」

最後に飲食業界を目指すこれからの世代に向けてエールを一言。

「飲食業はブラック企業みたいなイメージがあって、労働時間も長いし、修行も大変。僕ら経営者で話をする時も、より濃い接客や良い料理を出すための工夫を続けて労働時間を短くしようという動きが全体的に広まってきています。例えば同じ8時間労働でも僕ら飲食業っていうのはすごく楽しい濃密な時間になると思うんですよ。飲食業の未来は明るいし、ヨーロッパ、特にイタリアでは、サッカー選手の次に人気なのがレストランシェフらしいので(笑)。結構冗談じゃなくて、そういう未来って日本にはあるって僕は信じてるんです。これから楽しく働きやすい環境っていうのを作るっていうのも僕らの仕事なんで、そこは意識してやっています」

「料理人を目指す人たちにはどんどん夢をもって料理を作って欲しい」と語る玉置さん。
これからも楽しそうな仕事ぶりを次の世代に見せてくださいね。


RKBラジオ「弓削聞平スマイルディッシュ」番組公式Twitter @rkbyuge
2020年4月放送
#二○加屋長介 #にわかやちょうすけ #弓削聞平 #田中みずき

ライタープロフィール:本田淑子
フードディレクター
食の企画あれこれ。魚食を盛り上げる「サカナグミ」や子ども達と一緒に料理を楽しむ
「放課後ゴハン倶楽部」なども主催。https://www.plantecook.com

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