食材の奥深くに眠る、可能性を味わう喜び

シェフの飽くなき探求心が ゲストを笑顔に、饒舌に

福岡市植物園正門のまさに目の前。『多謝』は、高台の住宅地にある小さな広東料理店だ。店内はオーナー夫婦が少しずつ集めた家具や調度品でまとめられ、まるで自宅に招かれたよう。

オーナーシェフの大野仁さんは、『ホテルオークラ東京』に勤務後、『ホテルオークラ福岡』創業と同時に九州へ。『中国料理 桃花林』の総料理長を5年務めた。その間、九州の魚介に魅せられて永住を決め、2003年に西区・小戸で『多謝』を開店。人気は相当なものだったが、2016年に現在の場所に移転し、完全予約制で昼夜それぞれ2組のみのゲストを迎える事にした。



窓の外に緑が望めるメインダイニング


個室は落ち着いた雰囲気

「完全予約制で2組と聞くと構えられるかもしれませんが、自分1人でできること、食材を大切に使うことを考えると、これがベストなスタイルだったんです」と大野さん。ホテル時代から広東料理の故郷・香港を訪れては刺激を受けてきたというが、この店を始めてからはその探求心に拍車がかかり、香港を訪れるたびに調味料や調理器具を山のように抱えて帰国。現地で調達した広東料理の古書を読み込みながら、日々新しい料理に挑戦しているという。また毎週日曜には朝4時半起きで姪浜漁港へ。手に舌魚介類を前に、ゲストの顔を思い浮かべながらコースを組み立てるのが何よりの喜びだそうだ。「毎日、本当に楽しそうなんですよ」。店をサービス面で支える奥さまも、嬉しそうに教えてくれた。


『冰燒三層肉(沖縄産皮付き豚バラ肉のサクサク焼き)』。口に入れた瞬間、カリカリに仕上げられた皮と、瑞々しい身のコントラストに驚きを隠せない。前菜で登場し、食欲の扉を開いてくれる



料理は全て1万円のコースより。蒸した石鯛にネギ・ショウガを乗せて、熱した油を回しかけ、醤油ダレで味つけを。『陳皮蒸石坭(天然石鯛の陳皮蒸し)』


姪浜漁港に揚がった海老を主役にした『菠蘿生汁蝦(天然マエビのパイナップル入りマヨネーズ)』


蒸したカニの身をほぐし、ベシャメルソースに絡めて甲羅に詰め、油で揚げた『炸釀鮮蟹蓋(天然渡り蟹の甲羅揚げ)』

昼は2000円から、夜は5000円から用意されたコースには、隅々にまでシェフのチャレンジ精神と愛が詰まっている。器を含めた美しい佇まい、口に入れるまで想像できない食感や味わい。食材の持ち味を最大限に生かした『多謝』の広東料理は、食す側を笑顔に、饒舌にさせてくれる。


店舗情報

          
店名多謝(トーチェ)
住所福岡市中央区小笹5-20-1
電話番号092-522-7107
営業時間12:00~14:00/18:00~22:00
定休日水曜
座席数12席(現在、昼・夜とも2組まで)
駐車場あり(2台)
カード可(VISA、MASTERのみ)
HPhttps://snack-bar-3300.business.site/

※この記事は、シティ情報ふくおかの『美味本2021』より抜粋して掲載しています。
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