"法の抜け穴...GPS監視"被害女性が語る恐怖

福岡県在住の女性
「一番覚えているのは両耳を背後から持たれて、頭を揺さぶられて耳の後ろが切れるという暴力。あと夜中に正座をさせられて、立たされて、足元を蹴られて...なぜそういうことをされているのかがわからない。恐怖しかなかったので‥」

つらい経験を語る福岡県在住の女性。およそ1年間にわたり、当時の夫から日常的に暴力を受けていました。警察に通報したことをきっかけに保護され、暴力を振るう夫から逃れることができました。しかし、女性の苦しみは、これで終わりませんでした。

女性
「生活を立て直そうと部屋を借りたんですけど(転居先で)引っ越し業者がトラックから荷物を下ろしていたんです。なんかその荷物が全部、見覚えのある荷物だったので、私のほうから(夫の)住所を言ってそこの荷物じゃないかと言ったら(業者は)「間違いない」と‥」

なぜか居場所を知らないはずの夫が同じアパートに引っ越そうとしていたのです。さらに‥

女性
「市役所に行ってその駐車場の中に夫の車が‥ナンバーを覚えていたので、入ってきて。同じ時間に来るのはおかしいと思ってちょうど隣が警察署だったので警察官に調べてもらったら(自分の車に)GPSを貼り付けられていた。夫は気付かれぬよう女性の車にGPSを取り付けていました。バンパーの奥‥上の部分にガムテープで貼り付けられていた。」

子供の見守りや位置情報の共有などで活躍するGPS。
しかし、長年ストーカー被害者の支援を続けているNPOヒューマニティの小早川理事長は、ここ数年、GPSが悪用されるケースをよく耳にするようになったと話します。

NPOヒューマニティ 小早川明子理事長
「(GPS取得アプリを)スマホに勝手に入れられたという相談はすごく増えている気がしますね。例えば、郵便物に小さいGPSを入れて郵便物を送る。(相手が転居したときに)転送届を出していたらそのまま自宅に郵便物とともにGPSがやってくる、だから居場所が知られたみたいなケースもあるので‥」

福岡県在住の女性...夫はその後、ストーカー規制法違反などの疑いで逮捕され、さらに離婚も成立したことで平穏な日々を取り戻せると考えていました。
ところが、元夫の裁判をめぐり、女性にとって思いもよらぬ司法判断が下されます。


福岡高裁
「GPSによる位置情報の取得は、『見張り』には当たらない」

GPS機器を使った監視をめぐり、ストーカー規制法が定める見張りに該当するとした地裁判決に対し、控訴審で福岡高裁は、見張りに当たらないと判断しました。つまり、実際に後をつけるなどの直接的な行為のみが見張りに当たるという判断です。

最高裁判所は去年7月、取材に応じた女性の事件を含む2件のストーカー事件について、GPSによる監視を見張りとは認めない初の判断を示しました。


福岡市にある女性協同法律事務所の郷田弁護士は、GPSによる監視についていわば"法の抜け穴"となっていると話します。

女性協同法律事務所 郷田真樹弁護士
「ストーカー規制法には、何が犯罪に当たるかをひとつひとつ書いてあってその中で「見張り」は住居・勤務先・学校の近くで見張りをしているということで条文に書かれている。GPSの場合は、加害者が近くにいて見張っているわけではないので司法判断として分かれるところ。最高裁の「見張りに当たらない」という判断も解釈のひとつとして十分にあり得ると思う。」

まだ法律が追いついていないところだということ。
埼玉県桶川市で起きたストーカー事件をきっかけに2000年に施行されたストーカー規制法は、住居や勤務先付近などでの見張り行為やつきまとい、それに、SNSやメールでの嫌がらせが規制対象とされています。一方、GPSを使った監視について何も触れられていないのです。


女性
「ずっとつけられているなら「まだいる」と思って逃げようがあるけどどこで見られているのか分からないのは怖かったですね。どんなに怖い思いをしても取り締まれないのが逆に怖い。同じような目に遭う人が出てきたときに法の改正で(違法行為だと)認められたらすごくいいことだろうなと思う。」


福岡県内のストーカーの現状を少し見ていきます。ストーカー事案の相談件数は、右肩上がり。おととしはその10年前のほぼ2倍、1800件ほど。そして、ストーカーの加害者と被害者との関係ですが、配偶者・交際相手が6割以上を占める。それに友人、職場関係が続き、面識がない・加害者不明はたった9.1%。さらに、被害者の年齢は19歳以下~40代がほぼ9割。突出して多いのは20代が36.9%。

「近しい間柄」、そして「若い世代」が特にストーカー事案に発展しやすい傾向が見て取れる。


そうした中、先月、交際相手にGPSで居場所を把握されることを一定数の若者が許容しているという気になる調査結果が発表されました。ストーカー行為について徳島県警と共同研究している岡山県立大学の小畑准教授。

去年、大学生や専門学生、800人が回答した調査では、スマホのGPS機能を使い、居場所をお互いに把握し合うアプリに関する質問項目を設けました。このGPSアプリは、無料でダウンロードできるものも多く、親しい人の居場所を知るツールとして特に若者の間で浸透しています。

岡山県立大学 小畑千晴准教授
「GPSアプリを入れ合うことによってトラブルに発展するようなこともあったので「交際相手からGPSアプリをインストールするよう求められたら許せるか?」という質問をしているんですが、25・9%の人が相手に望まれたらGPSアプリを入れてもいいと回答。このほか、交際相手に通話履歴やSNSのやり取りをチェックされることについて「許せる」「やや許せる」と回答した人が3割以上いました。
GPSアプリもそうですけどすべて相手の情報がわかる‥自分も(情報を)提示して相手にも提示してもらうという距離のない関係性を求め合っている傾向があるのではないかと感じました。若い世代の親密関係においては良いときもあれば、すぐに関係がこじれてしまうということもあると思う。

そのときにGPSアプリがインストールされたままだと相手の行動がわかってストーカー行為につながることも十分にある。」


GPSの位置情報は、住所といった個人情報以上に厳重に管理すべきだと話します。

福岡市のサイバーセキュリティ会社の平原代表
「住所は「この人が住んでいるのはここだな」ということしかわかりません。GPS(の位置情報)がわかれば今この人はどこにいるのか、どの道を通っていたのか、どこにどのくらい滞在していたかがわかる。自分の不利益になる情報を24時間365日与え続けているということ。また、相手のスマホにインストールすれば気づかれずに遠隔操作できるアプリもあり、親しい間柄であってもスマホを渡すべきではないといいます。

CIA 平原隆 代表
「スマホを手元に持って操作するのと全く同じように、インターネットを利用して遠隔で全ての操作ができるようになる。交際相手にだけパスワードを教えるとかロックを解除して見せるとか、不正なプログラムを入れられてしまったら自分が意図しない情報を全て取られる。」

私たちのスマートフォンなどに搭載され、当たり前に利用されるようになったGPSですがこの機能が悪用され、人の監視にも使われるようになっています。
自分の知らないところで、GPSによって行動を把握されている。。。
考えただけでも恐怖を感じてしまう。

ストーカー規制法が定める「見張り」に当たるようになるのか...
警察庁が設置した有識者検討会は、先月、「GPSによる位置情報の取得をストーカー規制法の規制対象に加えるべき」だとする報告書をまとめました。

警察庁は、現在開かれている国会での法案提出を目指していて、GPSを使った監視をめぐる法改正の動きは、本格化しています。

2021年2月15日放送


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