九州の戦争遺跡~著者と巡る戦後76年~|タダイマ!

今年で戦後76年。ここ福岡も空襲を受け多くの犠牲を伴いました。
みなさんは「戦争遺跡」という言葉をご存じでしょうか?
「戦争遺跡」とは戦災の跡を残す建造物や軍事施設の遺構などの総称です。

九州各地の「戦争遺跡」と呼ばれる場所と戦争体験者の声を記した書籍「九州の戦争遺跡」という本があります。著者は、江浜明徳(えはま あきのり)さん。元高校教論、社会の先生で平和授業にも取り組んでこられました。江浜さんは、九州各地200カ所以上の戦争遺跡を12年もの歳月をかけて調査、研究されました。福岡で活躍するタレント・ゴリけんさんとともに九州の戦争遺跡を巡りました。

鳥栖空襲・長福寺 4歳で兄2人を失った住職/佐賀県鳥栖市

佐賀県鳥栖が空襲をうけたのは、1945年8月11日。終戦のわずか4日前でした。当時、鳥栖が鉄道輸送の要で軍需工場が集中していたためだといわれています。

現在の鳥栖駅前不動産スタジアム付近には、敵航空機を撃墜するために地上に設置された「高射砲陣地」がありましたが空襲で壊滅状態になりました。

空襲により甚大な被害をうけた鳥栖ですが、戦後制定された「戦災復興都市」に指定されなかったため、昭和40年ごろまで、いたるところに戦争の傷痕である戦争遺跡が残っていました。

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鳥栖市にある「臨済宗 長福寺」のレンガ壁には、米軍空襲により無差別に攻撃を受けた機銃掃射や爆撃の傷痕があります。ほかに空襲を物語る「墓石」は当時のままの傷痕を残しています。

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長福寺前住職 堀田禅昌(ほった ぜんしょう)さんは、4歳のときに鳥栖空襲を体験されました。
この日見せていただいたのは、爆撃を受けた「お経」。
空襲の爆風で寺は倒壊したものの奇跡的に残ったものです。

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1945年8月11日午前11時頃。当時、2人のお兄さんと同じ部屋にいた4歳の禅昌さん。お兄さん2人はこの空襲により即死。それを知ったのはずっと後になってからでした。

兄2人を奪った爆弾の破片は、禅昌さんの足を貫き意識不明の状態がしばらく続きました。禅昌さんのお母さんは兄2人を失ったショックで耳が聞こえなくなったと...。禅昌さんは今も空襲前後の記憶はないそうです。

鳥栖空襲で命を奪われた方々の霊を慰める「慰霊の碑」には、禅昌さんの2人のお兄さんの名も刻まれています。忘れたくても忘れられない空襲の傷跡。この悲劇を後世に伝えたい、それが禅昌さんの思いです。

軍都とよばれた久留米にのこる陸軍墓地/福岡県久留米市

戦争時、「軍都」と呼ばれていた久留米市。現在の久留米税務署の場所には日本陸軍の「第十八師団司令部」がありました。

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大陸での戦況が激しさを増し、ここから激戦地ビルマへ派遣される軍人も多く、久留米師団も多数の犠牲を伴いました。そこで出兵した戦死者を弔うためにつくられたのが「陸軍墓地」だったのです。
忠霊塔には5000名を超える方々の御霊が祭られています。

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さらに陸軍墓地を先に進むと「円形野外講堂」が姿を現しました。
陸軍墓地とともに創られたと思われますが、墓地に講堂があるのは異例といわれています。「九州の戦争遺跡」の著者・江浜さんは、当時この講堂で "名誉ある戦死"を戦場で遂げた軍人を称える話をしたり、これから戦地に行く軍人たちを鼓舞したりしたのではないか?と推測されていました。

その先には「宮城遥拝台(きゅうじょうようはいだい)」がそびえ建っています。現在は「揺拝台」は立ち入り禁止になっていますが、内部にはらせん階段があり、当時、陸軍墓地を訪れた遺族が皇居の方角に向かって頭を下げたといわれています。

市役所屋上にのこる米軍空襲に備えた監視哨/福岡県大牟田市

1936年に建てられた「大牟田市役所」。
その屋上に戦争遺跡があります。
大牟田市世界遺産・文化財室室長の山田さんにご案内いただきました。

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そこには「防空監視哨」がありました。「監視哨」とは米軍機の空襲に備えるために見張った場所です。外壁は補修されているものの内装は当時のまま。中にある「伝声管」は屋上から1階へ空襲を知らせるためのものだそうです。

そして、米軍の空襲に備えて設置されていたのが「高射砲」。
現在は、その台座だけが残されています。炭鉱や化学工場があった大牟田の町もまたたくさんの空襲を受けた地域でした。

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戦後76年。
現存し戦争を語れる人が少なくなっていく今、各地に残る「戦争遺跡」こそが戦争の悲惨さと平和のありがたさを後世に伝えてくれるものだと江浜さんは語ります。

※見学の際は節度のある行動をお願いいたします。
※江原明徳さんの著書「九州の戦争遺産」は福岡・佐賀県内の図書館でご覧ください。

2021年8月13日放送

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