RKB海外戦略特派員 現地レポート番外編 ~アメリカでこんまりが大ブーム!~

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今、アメリカでは日本が大ブーム中です。
抹茶、アニメ、漫画、寿司、鬼滅の刃。
とにかく、日本のモノに憧れている人たちが、たくさんいます。
ですが、ここではブームになっている"モノ"ではなくて、人物についてお話します。

人物?
大坂なおみ選手のこと?
もしくは、SHOTIMEで有名な大谷翔平投手のこと?
確かに、あの二人はすごく人気があります。
ですが、今回、お片付け達人の近藤真理恵さんについてお話します。
どれだけアメリカで「こんまり」が人気なのか、知っていますか?人気になりすぎて、「こんまり」さんはとうとう動詞化されました。

「今、断捨離が終わった」
"I KonMari'ed my house." 
といいます。多分、こんまりさんは、歴史上初めて英語の動詞化にされた日本人かもしれません。

2015年、こんまりさんはニュース雑誌のTIMEで、影響力があるトップ100人にランクインしました。それから、どんどん人気になって、今では、こんまり人気の勢いは止まらなくなりました。
アメリカでは特に、大統領と同じくらい知られている気がします。

2019年に、こんまりさんは、Netflixの番組「KonMari-人生がときめく片付けの魔法」(英語名:Tidying Up With Marie Kondo)と、いう自分の番組をスタートさせました。
なんか、日本語名のほうがドラマチックでカッコいい、と思いませんか?

日本語の本の題名にある、「トキメク」と言う単語は、すごく日本的な概念なので、英語の本とこの番組の題名を考えた方は、悩んだことと思います。
結局、英語の訳はSpark Joyと、なりました。
Spark Joyは、あまり英語の日常会話には出てこないのですが、アメリカ人の心に響く、いい表現だと思います。

では、何故、こんまりさんはアメリカでこんなに人気になったのか? ということについて少し考えてみたいと思います。

まず、Netflixの番組の日本語の題名をもう一度、見てみましょう。

「KonMari-人生がときめく片付けの魔法」

多くのアメリカ人は、散らかした家の片付けで、すごく悩んでいると思います。
家が散らかっていますので、感情的にも精神的にも落ち着かないのです。片付けたい気持ちはありますが、どのように片付いたらいいか、よくわかりません。
そこに、片付けの救世主、こんまりさんが現れたのです。

彼女は、家だけではなく、心の片づけも手伝ってくれます。そして、それによって、人間関係もよくなります。ときめく片づけは、人生の魔法です。こんまりさんは、いろんな人をインスパイアーし、そのトキメキに導いてくれています。
確かに我が家でも、家が片付いている時は快適で、家族みんなの機嫌が良いです。

こんまりさんの片付けの方法は、「こんまりメソッド」(The KonMari Method)と呼ばれています。
それには、5つのステップがあるそうです。(注:日本語と英語の言い方は、少し異なります)

1. 理想の暮らしを考える。 (Imagine your ideal lifestyle)
2. モノごとに片付ける。 (Tidy by category)
3. そのモノを触った時にそれに「ときめき」を感じられるかどうかで、いるかいらないかを、判断する。 (Focus on what to keep)
4. 正しい順序にそって片付ける。 (Tidy in the correct order)
5. そのモノが、家のどこにあるべきかを考え、「定位置」を決めてあげる。 (Give everything a home)

最後に、もう一つ、大事なステップがあります。それは、今まで何回も出てきた「トキメキ」です。
特にアメリカ人は、「断捨離」や「片づけ」は、いらないものを捨てると言う観点から考えます。ですが、「こんまりメソッド」は違います。

いらないモノを処分する観点ではなくて、必要なもの、つまり、ときめくモノをキープすることを強調します。そして、ときめかないモノに感謝してから処分します。この順番が大事です。

「モノに感謝する」

この概念は、多くのアメリカ人にとってあまり理解しにくい、日本の世界観が表れていると思います。
アメリカの土台となっている、キリスト教の世界観では、モノをくれた神様に感謝をします。
モノには、魂がある、と思っている人があまりいないからです。ですから、「長く役にたってくれて、ありがとう!」と言った後、ときめかないモノを処分する、ということには、びっくりします。

時々、ずっと使っていた愛車に「ありがとう! 君は本当によく頑張ってくれたよ!」みたいなことを言うことを見かけますが、シャツや本などに「どうも、ありがとう!」という人は、多くないと思います。
私が見た、こんまりさんの番組で、アメリカ人の出演者の方々は、洋服たちに「ありがとう!」と言っているのを見て、これは、ただのテレビ番組ではない! と思いました。

アメリカ人は、こんまりさんから無意識に日本語の奥深い「世界観」を教えてもらっています。つまり、モノを大事にする。そして、モノに感謝する。もちろん、日本人はモノを捨てるたびに「ありがとう!」と言った後に処分するわけじゃないけど、そのモノを大事にする概念は日本人にとって大事なのだと思います。

このような光景を見て、私は学者として、とても嬉しいのです。
文化や世界観を教えることは素敵なことです。ジブリのアニメと同じように、日本語の深い「世界観」を、エンターティメントを通して伝えていると思います。

そして逆に、アメリカ人の出演者から、こんまりさんもアメリカの「文化や世界観」を教えてもらっているはずです。

番組の最後には、ずっと散らかっている家を片付けられず悩んでいた夫婦が、一緒に片付けていくうちにその悩みから解放されていきました。旦那さんはニコニコしながら、奥さんに向かって「片付けって、なんてセクシーなことだろう!」みたいなことを言っていました。
こんまりさんは、それを聞いて、混乱した顔をしながら、「あ、セクシーか...」みたいな答えをしていました。片付けはセクシーだ、と思う日本人は絶対にいませんよね。

数年前に始まった、こんまりブームですが、これは収まりそうにはありません。
先月、新しいNetflixの番組「KonMari--"もっと"人生がときめく片づけの魔法」の配信がスタートしました。英語の題名は、Sparking Joy with Marie Kondoです。このシリーズでは、家族だけではなく、ビジネスの片づけが中心となっています。
こんまりメソッドは、ビジネスや人間関係にどのような影響を与えるのか、というようなことについての番組です。

日本を愛する学者として、こんまりさんがアメリカの大統領と同じくらい有名になっていることは、素晴らしいことだと思っています。
もちろん、「モノに感謝することはおかしい!」と言うアメリカ人もいるとは思いますが、多くの人たちは「日本の感謝の精神」に関心をもち、そして今以上に、モノを大事にするようになると思います。
どんな国の人でも、出会う人、文化、世界観から見習うことがあると思います。

「こんまりメソッド」のおかげで、たくさんのアメリカ人が散らかしから解き放たれています。そして、今まであまり聞いたことがなかった「トキメキ」を見つけたのです。

そんな影響を与えた、こんまりさんは、やはり、動詞化されるのにふさわしい人、であると思っています。

アン・クレシーニ (アンクレシーニ) (著/文)



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北九州市立大学准教授。アメリカ・バージニア州出身。メアリーワシントン大学卒、オールドドミニオン大学大学院にて応用言語学修士取得。福岡県宗像市在住。流暢な博多弁を話し、日本と日本語をこよなく愛すアメリカ人言語学者。専門は和製英語。バイリンガルブログ「アンちゃんから見るニッポン」も話題。

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