8月30日放送(RBCは9月4日)
海の上の椅子作り~メイドイン長崎~
取材中、工場長はずーっと同じ椅子にやすりをかけ続けていました。あっちに向きを変え、こっちに向きを変え、また向きを変えて。「まだかけておられます」…「まだです」…「まだでした」…。手が空いたらお話を、と思っていた取材クルーでしたが、声をかけられないままその日は取材を終えたのでした。  このエピソードで、川端装飾の誠実な仕事の一端が伝わるといいなぁ。ピンからキリまである家具の世界。高級な材料で高級な家具を作っている会社ではありません。船の家具はとにかく丈夫に。そして美しく、快適に。朝7時半の始業から、ひと月に5~6隻の注文が入る船舶家具のほか、店舗の改修、椅子の張替え、個人客のオーダーまで、16人の職人はフル回転です。その一つ一つの作業が、見とれるばかりに丁寧!不器用で真っ直ぐな職人たちが作る家具は、どれも堂々としているけれどどこか控えめで、肌触りは赤ちゃんの肌のように柔らかでした。 こだわっている「ホゾ組」。木そのものを凸凹に加工し、緩みの無いように組み合わせる作り方は、「量」をこなすことも求められる船舶家具メーカーには正直向かない作り方です。ここだけの話、社長は「ダボ組の機械を入れたいんですよねー。でも絶対ダメだって!」。反対しているのは工場長であり、社長の弟でもある昭登さん。「受け継いできたものですから」。ダボ組もホゾ組も、組みようによってはどっちも強い。でも職人の腕が試される「ホゾ組」に、父・昭次郎さんの代から貫いてきたこの作り方に、川端装飾の命がある。頑固さも、家具への愛情も、お父さんにそっくり。 頑固なこだわりが作る優しい家具。こんな会社が地元にあって、私はとても幸せです。

担当:NBC長崎放送 古川 恵子