担当ディレクターの取材後記
9月23日放送(RBCは9月28日放送)
黒と金 異端の女流象眼師
「頭の中ではできている。」伊藤さんが取材中によく言っていた言葉です。スタートは遅いが、一旦取り掛かると眠るのも忘れ没頭する。そして「頭の中から取り出して」作る作品は一つとして同じものがない「一点もの」に。自然にそうなるとの事です。そして客からのオーダーは基本的に受けない。「相手の事を考えたりオーダーに沿う作業が苦手」。購入客同士が「それ象がんだよね、ではなく伊藤さんの物よね」という話が出た、という話を聞いた時に喜びと感謝を感じたそうです。小さいの頃の夢は画家。しかし小学2・3年生の時にピカソの画を見て「私が目指す世界ではない」と諦め、象がんの世界に入る前は雑貨店でかわいいアクセサリーを作っていた。そのピカソの母国スペインに留学したのも不思議な縁。現在、スペインはもちろん、象がんの起源と言われる中東のヨルダンやアメリカにも足を伸ばして金工細工の見聞を広め、技術習得も続けています。デザインの源流は「旅」。旅先で目に留まった美術品や広告などのデザインを自分のノートに書きとめたりスケッチしたりすることで頭の中にストックされ、何らかのエッセンスに変換されるのだろうと言っていました。スペインで知り合った象眼師が自分と似たデザインの作品を作っているのを見たときに「まねしている」と思ったそうですが、それだけ感性を認められていると言うことでしょう。
熊本でもスペインでも「自分たちの象がんとは違う」と言われるが両国の技法がないと成り立たない世界観なのでリスペクトしながら今後も創作活動を続けていくという伊藤さん。国内では熊本はもちろん、福岡・大阪・名古屋・東京と各地の展示会に呼ばれる日々ですが、いつの日かスペイン・海外でも「異端の象眼師」として広く注目を集める日がくることを祈っております。
担当:RKK熊本放送 北山周平