担当ディレクターの取材後記
12月16日放送(RBCは12月21日放送)
奄美の森のクロウサギ
浜田太さんは好奇心の人だ。奄美のいろんなモノやコトについて興味を持ち、粘り強く撮影を続ける。中でも、今回紹介したアマミノクロウサギは特別な存在。ゆるキャラのモチーフになるなど「奄美代表」と言ってもいいくらいの有名な動物なのに、その生態は未だにわからない部分も多い。そんなアマミノクロウサギについて、浜田さんは島の古老から話を聞くなどしてリサーチし、蓄積したデータをもとに撮影に挑む。それもただ撮るだけではない。写真家として、照明や画角などいろいろなこだわりを持ちながら、そのこだわりを実現するために独自の機材の開発まで行っている。そのこだわりはまた、浜田さんの企業秘密でもある。実際今回の取材でも、撮影機材の具体的な「手の内」までは明かしてくれなかった。
そしてもう一つ、浜田さんの作品の特長を決定づけるこだわりが、「普段どおりのアマミノクロウサギの姿」を撮影するというものだ。追いかけまわすのではなく、ひたすら待つ。時間も手間も惜しまない。この姿勢が、まるでカメラの存在に気づいていないクロウサギのリラックスした表情、そして誰も知らない夜の森で繰り広げられる生き物たちの営みを鮮明に映し出し、見たことのないその映像に私たちは感動を覚えるのだろう。
浜田さんたちの地道な活動の積み重ねで、奄美の森は「開発の対象」から「守るべきもの」に変わった。そしてもうじき、世界自然遺産にも登録される見込みだ。そんな中、今回の世界的な賞の受賞で満足するのかと思いきや、浜田さんの好奇心はまだまだ衰えをしらないようだ。次に目指すのは、4Kカメラの高精細画質で撮影したアマミノクロウサギの「日常風景」。どのような映像で驚かせてくれるのか、浜田さんの次の作品を期待して待ちたい。
担当:MBC南日本放送 永野志郎