RKB毎日放送 報道ドキュメンタリー イントレランスの時代

RKB毎日放送 報道ドキュメンタリー イントレランスの時代

終了番組

放送日時

JNN各局での放送は、決まり次第こちらに掲載します。
※北海道放送(HBC)での放送が決まりましたので、お知らせします。

北海道放送(HBC)
10月1日(金) 26:25~27:30

RKB毎日放送(RKB、北部九州地区)5月4日(祝・火) 15:40~16:45
テレビユー福島(TUF)8月1日(日) 25:00~26:00
中部日本放送(CBC、中京広域圏)8月1日(日) 25:30~26:35

番組の概要

拘置所で面会した青年は、一見ごく普通に見えた。
障害者施設で45人を殺傷した植松聖被告は、障害を持つ長男がいるRKB神戸記者に対し、「子供がかわいいのは当然ですが、いつまで生かしておくのですか」と突き付けた。
一方的な憎悪にたじろぎ、「なぜ?」と戸惑いながら、「これが、差別を受けている人々の気持ちなのか」と、神戸記者は初めて理解する。

川崎市のコリアンタウンでは選挙活動を装った差別的言動が繰り広げられ、住民は涙をこらえられない。 排外主義に立ち向かおうとする地元紙の記者さえ、個人攻撃の対象とされていく。

関東大震災で起きた朝鮮人虐殺という、歴史的な事実を否定する動きも出てきている。韓国を不当に貶める雑誌やワイドショーに抗議しようと集まった集会で、在日3世の女性は「いつ殺されるかわからないと覚悟している」と、震える手でマイクを握った。

しかし、この「不寛容=イントレランス」は、誰の心の中にも潜んでいるのではないか。神戸記者も長男が幼いころ、「障害がなかったらよかったのに」と考えていた。
無声映画の傑作「イントレランス」は、「憎悪と不寛容は、人間愛と慈愛を妨げる」と、100年も前から訴えていた。
パンデミックがさらにイントレランスを広げる中、番組は様々な不寛容を映し出し、問いかける。

プロダクションノート

誰もが心の中に持つ、不寛容のナイフとは

番組ディレクター  神戸 金史
(RKB 報道局 担当局長)

社会を震撼させた「やまゆり園」障害者殺傷事件

神奈川県の障害者施設・津久井やまゆり園で45人を殺傷した植松聖死刑囚(当時26歳)は、送検される際に車内で笑みを浮かべていました。

私は記者として接見を続けてきましたが、障害を持つ子の父でもあります。
植松死刑囚は、「息子さんは、幼いうちに安楽死させるべきでした」と言い放ちました。
接見を重ねる中で、平凡な青年を凶行に走らせたのは、「役に立たない人間に、生きる資格はない」という、乱暴で単純な“不寛容”の意識なのだ、と感じました。

ラジオドキュメンタリーからテレビ番組へ

TBSラジオの鳥山穣さんとともに進めたこの取材をもとに、ドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』(2019年)をTBSラジオと共同制作しました。番組は幸いなことに、多くのコンクールで入賞しました。

▼放送文化基金賞 最優秀賞
▼早稲田ジャーナリズム大賞 奨励賞
▼文化庁芸術祭賞 優秀賞
▼日本民間放送連盟賞 優秀賞
▼ABU(アジア太平洋放送連合)賞 審査員特別賞

このラジオドキュメンタリーを映像化したのが、『イントレランスの時代』です。

しかし、音声メディアの特性を最大限生かしての編集を心がけたラジオ番組に、ただ映像を載せただけでは、元のラジオを超えることはできません。
そこで、編集をほどいて「素材」に立ち戻り、取材の対象を広げ、全く新たなテレビ番組として構成することにしました。

映画草創期の画期的作品 『イントレランス』

古いモノクロのサイレント映画『イントレランス』を、私が見たのは30年以上も前、学生時代のことでした。題名は「不寛容」という意味です。
古代バビロンから現代のアメリカまで、4つの時代それぞれの不寛容の物語が、入れ替わり、同時並行で描かれていきます。

物語が別の時代に移る時、スクリーンには「ゆりかごを揺らす女性」が現れます。
リリアン・ギッシュが演じるこの女性について、映画は何も説明していません。しかし、私には「歴史の女神」のように感じられました。
ゆりかごの中にいるのは、いつの時代も不寛容な私たちです。
その愚かな言動を、ただ静かに見守っているミューズ――。

「サイレント時代の最も偉大な映画」と呼ばれている『イントレランス』がアメリカで公開されたのは、1916年。やまゆり園事件(2016年)からちょうど100年前のことでした。

不朽の名画から「テーマ」と「構成」を借り 現代を描く

現代の日本からも、寛容さは次第に失われてきているように見えます。私は、「『イントレランス』からテーマと構成を借りて、テレビドキュメンタリーを制作してみよう」と、思いました。
カメラを持って街に出ると、目の前にはこんな不寛容が広がっていました。

●公然と放たれる ヘイトスピーチの罵声
●基地の重圧に苦しむ 沖縄に対する攻撃
●都合の悪い史実を否定する 歴史改ざん
●差別と戦う記者に向けられる 個人攻撃
●新型コロナ蔓延で拡大する 偏見と差別

誰の心の中にも、不寛容なナイフは存在しています。 心のうちに潜むイントレランスをいったん表に出してしまえば、それは憎悪の刃と変わり、人の心を続々と刺していくように、私には見えました。
植松死刑囚と同じように。

私が最初にヘイトスピーチを撮影したのは、2014年の福岡でしたが、「憎悪をテレビで拡散させてしまう」ことを恐れ、その時は報じませんでした。
しかし、私たちが報道しなくても、イントレランスは地下茎のように、社会にはびこっていきました。
客観的・中立な報道は、メディアの原則です。しかし、ヘイトの醜悪な実態を知らせることを、私はためらってはいけなかったのです。

事実(ファクト)とフェイクの中立報道があり得ないのと同様に、差別と反差別を同等に描くのもあり得ない。
私はそう考え、ありのままの不寛容を画面に映し出すことにしました。

制作スタッフ・協力

撮 影 高橋邦広 森雄吾 山本徹 羽二生渉 神戸金史
編 集 山本徹 中田慎一
構 成 松石泉
選曲・MA 寺岡章人
ナレーション 池尻和佳子 クリスティ・プロヴェンザーノ(英語版)
坂田周大 佐藤巧 クリス・フリン
植松被告吹替 鳥山穣
美 術 赤木友香 柳原桂 田中実乃保
題 字 平山仁是
イラスト 小田啓典 根本真一 羽川幸一
YouTube編集 佐多正憲 角川秋嗣
面会同行 奥田知志 石渡和実 小宮亜里 小木戸利光 鳥山穣
作曲・歌 パギやん(Paggie CHO)
マンドリン 矢野敏広
『イントレランス』
映像提供
株式会社アイ・ヴィー・シー
協 力 TBSテレビ TBSラジオ 琉球放送 神奈川新聞
沖縄タイムス 中国新聞 毎日新聞 藤原書店
豆柴カフェ福岡店 Apple 一般社団法人 Get in touch
杉浦幹(津久井やまゆり園事件を考え続ける会)
光宗政治・佐藤愛弓(社会福祉法人 打越保育園)
里村和歌子・吉村慎一(本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会)
西村匡史 小崎亮輔 後藤由耶 尾野剛志 加藤直樹
長岡杏子 三浦知人 澤田隆三 北村浩司
赤坂「中ノ町・新四」町会
玉置幸二 仁村和代 伊藤みさき 舛森強
Special Thanks to Taka-Pachi & Joe
ディレクター 神戸金史
プロデューサー 児玉克浩 高藤秋子
製作・著作 RKB毎日放送