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SDGs "無国籍の子供たち"に教育を

今週は「SDGs 地球を笑顔にするweek」です。RKBでも来年、創立70周年を迎えるのを機に「Be colorful」の理念のもと、多様性を尊重する彩り豊かな社会、持続可能な社会への取り組みをお伝えします。

今回は「質の高い教育をみんなに」。東南アジアのタイからのリポートです。タイ北西部のミャンマー国境付近では、山岳少数民族の人々の国籍をめぐる問題が、深刻化しています。貧困の連鎖を断ち切る鍵となるのが「教育」。「無国籍の子供たち」が直面する現実を、RKBバンコク支局が取材しました。


タイ北西部のターク県・ターソンヤン郡。川を挟んでミャンマーのカレン州と接していて、住民の8割は、山岳少数民族であるカレン族です。

●記者リポート
「カレン族の人々が暮らす集落です。ほとんど現金収入はなく多くの人が貧困の中に身を置いています」

屋根に植物の葉を使用した、この小さな家には、幼い子供を含む家族6人が暮らしています。兄弟で一番年上の11歳になる男の子は、学校に通ったことがありません。

●インタビュー

タイの制度では、中学校までが義務教育となっています。しかし、この家族には関係ありません。なぜなら、タイ国籍を持っていないからです。ターソンヤン郡の人口約9万人のうち、2万人ほどが無国籍。この集落では、住民の約6割が無国籍だといいます。無国籍の子供の中では、学校に通っていない子も珍しくありません。

●インタビュー

母親のお腹には5人目の子供が・・・。無国籍の子供は増え続けています。国境ができる前から、タイとミャンマーにまたがって居住していたカレン族の人々。出生届もなく、苗字も持たないため、国籍を取得するのは困難を極めます。貧困の連鎖ともいえる環境。
一方、そこから抜け出す道を切り開こうとする子供たちもいます。ターソンヤン郡にある、ルアンウィッタヤー高校に通うヌッチャナットさん。成績優秀で、生徒会長を務める彼女も無国籍です。

●インタビュー

ヌッチャナットさんの実家は、船と徒歩あわせて3時間半ほどかかるミャンマー側にあるため、学校の敷地内にある寮で生活しています。カレン族が暮らす山あいの集落には、学校がないところも多く、ヌッチャナットさんのように国境を越えて、タイ側の学校に通う生徒は珍しくありません。
新型コロナウイルスの影響で、国境が閉ざされているため、7月以降、帰省できない状態が続いています。

●インタビュー

ほぼすべての生徒がカレン族であるこの学校では、無国籍の生徒が、7つの分校を含めて740人。全体の約3割に上ります。幼稚園から高校まで、国籍の有無にかかわらず生徒を受け入れていて、タイ人の生徒と同じように、質の高い教育を無償で受けることができます。しかし、無国籍のままでは、進学先や就職先が制限されてしまうのが現実です。

●インタビュー

無国籍の子供たちの多くは、経済的に厳しい状況に置かれています。娘3人を、この学校に通わせているジョーゴーさん。ジョーゴーさんは15歳の時、ミャンマー内戦にカレン民族同盟の少年兵として参加。地雷で左足を失いました。タイ側の医療施設に搬送され、そのまま移住しましたが、不自由な体ではできる仕事は限られます。

●インタビュー

無国籍の人々が抱える問題には「少数民族」、「内戦による難民」、「不法移民」など様々な背景が複雑に絡み合い、タイ政府も対応に苦慮しています。しかし、教育を受ける機会さえあれば、子供たちは自分の力で、人生を変えられるかもしれません。

●インタビュー

すべての子供が、平等に教育を受けられるための支援や仕組みが必要とされています。

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