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SDGs 紙おむつをリサイクル

国連の持続可能な開発目標=SDGsシリーズ、今回は「つくる責任つかう責任」です。日本では、年間200億枚を超える紙おむつが生産されていますが、そのほとんどが焼却処分されています。そこで国は、紙おむつをリサイクルするため、自治体向けのガイドラインを先月、まとめました。モデルとなったのは福岡県で進む取り組みです。

福岡市東区の豊田稚香さんです。長男・旺生ちゃんは生後8か月。育児に奮闘する日々です。

乳幼児や介護が必要な人に欠かせない紙おむつ。年間およそ235億枚も生産されていますが、使用済みのおむつは、ほとんどが焼却処分に回されています。

紙おむつに使われる素材の半分以上は、上質なパルプ。残り半分は、テープなどに使われるプラスチックと吸水材となるポリマーです。環境省は、これらの素材を再利用することで、焼却施設の負担軽減や、環境保全につなげようと、先月末、リサイクルに関する自治体向けのガイドラインをまとめました。モデル事業として紹介されているのが...

福岡県大木町が民間企業と共に、9年前に始めた取り組みです。町内59か所に設けている専用の回収ボックスや、指定袋で紙おむつを回収します。紙おむつの指定袋は、可燃ごみの袋の半額。この「お得感」で住民の協力も得やすいのです。

回収された使用済みのおむつは、大牟田市にある工場に運ばれます。ここには、5年前から同様の取り組みを始めたみやま市と、さらに病院や福祉施設といった事業者からの回収分もあわせて、毎日16トンから18トンの紙おむつが集まってきます。これを細かく砕いて、上質パルプやプラスチック、ポリマー、そしてリサイクルの妨げになるし尿の汚れを分離させます。そこからパルプだけを抜き出し、浄化剤で繰り返し殺菌・洗浄することで、再び利用できるようにするのです。

「おむつはし尿の汚れやプラスチックが取り除かれてこのような形になりました。臭いも全くしませんね」
こうしてリサイクルされたパルプがどうなるかというと...

紙おむつが、建築資材に生まれ変わりました。針葉樹から作られる頑丈な上質パルプ。国内では、ほとんど製造されておらず輸入に頼っていますが、紙おむつから作られたパルプは、輸入品に比べ4割も安く、注文が殺到していると言います。

この工場では、パルプの他にも紙おむつの素材、プラスチックとポリマーを、固形燃料に加工していますが、より環境にやさしい素材に変えるための研究も進められています。

国内の一般ごみ全体に占める紙おむつの割合は、推計で4.3~4.8%。高齢化が進み10年後には、その比率が7%前後になると見込まれています。大木町で回収される紙おむつは、年間およそ100トン。回収にかかる人件費と、リサイクルによって削減された焼却処分の委託コストは、ほとんど変わりません。しかし、使用済みのおむつを価値あるモノに変えて、地球環境を守る大木町の取り組みは、今後さらに広がりそうです。

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