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ド派手な成人式は新たな日本文化?デザイン性が海外で好評「ニューヨークファッションウィーク」に招待

国内各地でみられる派手な髪型や衣装の新成人。“不良”と結びつけたり、冷めた目で見たりしている人も少なくないかもしれない。しかし、色彩豊かで強烈な印象を残す衣装は、海外から評価され始めている。飛びきり派手な衣装で有名な福岡県北九州市では、成人式の衣装を文化発信につなげようとする動きもある。国内外に伝播する「ド派手」の魅力。着物の進化形として新たな日本の観光目玉になる日が来るかもしれない。

NYでも脚光、海外から注目される「ド派手」は新たな日本の文化? 

全国屈指の“派手さ”を誇る福岡県北九州市の成人式には、生みの親がいる。市中心部の小倉北区にあるレンタル衣装店「みやび」が毎年、新作を生み出し、ド派手な衣装を新成人に“供給”してきた。従来の被服の固定観念にとらわれない配色は、見る者に強烈な印象を与える。実際にみやびの衣装は、SNSを通じて海外で話題になっている。店は2023年9月、世界で最も有名なファッションイベントの一つ「ニューヨークファッションウィーク」に招待される。ここで、現地の190センチの長身モデルが、件の北九州スタイルの着物でランウェイを歩くことになっている。ド派手な成人式の衣装は、国内では式典に出席する服装としては“非常識”と見る向きがあるのも確かだ。しかし、海外からは純粋にデザインの魅力が評価された形だ。

ニュースで見たあの衣装を体験してもらいローカルの魅力を発信

そんな北九州市の観光名所・小倉城で24日「ド派手新成人なりきりイベント」が開かれた。みやびも全面協力し、国内外からド派手ファンが集った。
 


香港から訪れた男性は「日本の文化に触れるいい機会だ」と顔をほころばせた。みやびは、こうした海外から訪れる人たちにもっと気軽に着物を楽しんでもらおうと、羽織るだけですっと着られる「陣羽織」タイプを新しく開発した。みやびの池田雅さんは「一生に一回の成人式だけではもったいない」と話す。単なる成人式の衣装という枠を越えて、ローカルの魅力につなげたい考えだ。

参加者は用意された衣装に身を包み、ニュースで配信されるあのド派手な“新成人”の気分を満喫した。「やってみたい」という好奇心を胸の内に抱いていた人もいたのだ。

岐阜県から来た男性「こういう格好はすごいなと思いながら、岐阜県はこんな感じではないので」
福岡市から来た女の子「まだ10歳だから二十歳はあと10年後です。着るかな、着るかもしれない」
山口県から来た女性「派手なものを着られる体験があればやってみようと。写真は帰って編集してラインのアイコンにしようかな」

“ド派手”はもはや文化に昇華し、成人式のためだけでなく、日常にさえ溶け込もうとしているのかもしれない。国の内外から“デザイン性”という基軸で評価され始め、それに敏感に気づいた地元も“発信”の方法を変え始めた。ローカルから世界へ、ド派手ファンはどこまで増え続けるのだろうか。

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この記事を書いたひと

浅上旺太郎

山口県出身。九州大学法学部卒。2015年入社。本社報道部、現在の情報番組部を経て2022年6月から北九州報道制作部。福岡県警・北九州市政などを担当。最も印象に残る取材は2017年7月の九州北部豪雨。

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