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「気持ち的にダメージ大きい」12年間で4回も豪雨で浸水被害…老舗旅館の試練 営業再開に向け懸命

福岡県朝倉市の原鶴温泉街にある老舗旅館は、7月の大雨で浸水被害を受け、休業を余儀なくされています。浸水被害は、この12年間で実に4回目。頭を抱えながらも、営業再開に向けて懸命な努力を続けています。

旅館の1階が浸水 一部の大浴場も使用不可に

豪雨で浸水した建物内=泰泉閣提供

 

泰泉閣 林里美・社長室長「7月10日は、この辺まで水が来ていたんですよ。(被害の)範囲が広すぎて、どこから手をつけようという感じだったんですけど、今は割と落ち着きました」

 

福岡県朝倉市の原鶴温泉にある、創業70年超の老舗旅館「泰泉閣」です。7月10日の大雨で1階部分が浸水し、厨房や宴会場のほか、一部の大浴場などが使えなくなってしまいました。

 

泰泉閣 林里美・社長室長「自家発電所が水に浸かり、電気が全部つかなくて、水も出ない、という状況が3日くらい続いて、何も作業ができなかった。今も仮のもので復旧させている状況です」

予想以上の被害…営業再開を8月10日に延期

夏休みシーズンの「かき入れ時」に、やむなく休業。当初は8月1日に営業を再開する予定でしたが、電気系統などの被害が想像以上にひどく、再開を8月10日に延期しました。しかも、いきなり全面営業とはいきません。

 

RKB町田有平「庭園を望む人気の『離れ』の特別室ですが、中をのぞいてみると、床板が全てはがされてしまっています。障子には今も、水の跡が生々しく残されたままです」

 

1階部分に3室あった「離れ」の客室も浸水しました。床板を張り直すなど復旧工事を進めていますが、8月10日の営業再開には間に合いません。

 

泰泉閣 林里美・社長室長「お盆も予約をいただいていたんですけど、ちょっとお盆までには間に合わないだろうと、お客様お1人にお断りの連絡をしているところです」

被害は「億の単位」に…

本来であれば、夏休みシーズンの7~8月は、ひと月で5000万円ほどの売上げが見込めます。さらに、自家発電設備の修理費用などを合わせると、被害額は億単位に上るといいます。

 

実は、泰泉閣はほかの旅館よりも少しだけ低い位置に建っているため、水害が起きるたびに大きな被害を受けています。今回もほかの旅館が数日後には営業を再開する中で、泰泉閣だけが2週間過ぎた今も休業を余儀なくされています。

お盆に少しでも多くの宿泊客を迎えられるよう

2012年の九州北部豪雨以降、「経験したことがない」と言われる大雨が、毎年のように襲いかかります。大規模な浸水被害は、この12年間で実に4度目となります。

 

泰泉閣 林里美・社長室長「4回も水害に遭うとは、気持ち的にダメージも大きいんですけれども、繰り返さないように私たちも行政に働きかけて改善策をしていただけるようにやっていきたいと考えています」

 

原鶴温泉では7月29日(土)に夏祭りが開催されます。

 

泰泉閣 林里美・社長室長「ほかの旅館さんもしっかり営業されていますので、楽しみに来ていただければなと思います」

 

4度の水害に見舞われた老舗旅館、お盆シーズンに少しでも多くの宿泊客を迎えられるよう奮闘は続きます。

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この記事を書いたひと

町田有平

2010年RKB入社。報道記者、情報番組ディレクター、ラジオプロデューサーなどを担当。2女の父で趣味はキャンプと筋トレ。