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バラードからブラックミュージックまで~岩石功「ハーモニカ」の世界

ハーモニカの音色を通じて世界平和を訴えるコンサートが福岡県太宰府市で11月4日に開かれた。「(ハーモニカで)これほど迫力ある演奏ができるのか――」取材したRKB毎日放送の神戸金史解説委員長がRKBラジオ『田畑竜介 Grooooow Up』で興奮気味に語った。

ウクライナ留学生の前で祖国の国歌を

RKB神戸金史解説委員長(以下、神戸):11月4日(土)の夜、ハーモニカ奏者で作曲家の岩石功さんが福岡県太宰府市で開いたライブに行ってきました。ライブの冒頭は、こんな感じで始まりました。

ステージで岩石:こんばんは! ハーモニカの岩石功と言います。今日は、詳しいごあいさつをする前に一曲、ウクライナの国歌を演奏させていただきたいと思います。

ハーモニカを吹き上げる岩石功さん


神戸:岩石功さん(53歳)は、佐賀市生まれで現在は太宰府市在住。高校生のときにロックドラムから音楽を始めました。就職して看護師となってからは音楽から離れていたのですが、40歳を過ぎてから偶然手にしたハーモニカに不思議な魅力を感じ、本格的に演奏を開始しました。「ダイアトニック・ハーモニカ」を使った、美しいビブラートと正確な速吹きが評価されているそうです。
 

神戸:今はハーモニカのレッスン教室を開きながら、2017年にファースト・アルバム「BLACK FINGER」、2020年は「LOVE SATURATION」を発表。関東圏でのツアーも行っています。
 

岩石巧さんのアルバム「LOVE SATURATION」


神戸:今回のライブのテーマは、「平和への祈り」「ふるさとへの思い」でした。会場には、ウクライナから福岡に避難してきた留学生も来場していて、国歌からスタートしました。

繰り返される“夢幻”のフレーズ

神戸:九州のミュージシャンが集結したエレクトリックバンド「岩石功グループ」が結成されていて、迫力ある音楽が演奏されました。次にお聴きいただく曲は、岩石さんが夢で見たフレーズをまとめて曲にしたんだそうです。

キング牧師の演説も取り込んだ『BLACK FINGER』


田畑竜介アナウンサー(以下、田畑):サビで一気に、また視界が開けていくような感じがあってすごく壮大で。「音の憂い」がある、と言うか、いいですね。

神戸:黒人ミュージシャンの指が背景のスクリーンに映っていて、その前でバンドが演奏し岩石さんが吹き上げていく。

橋本由紀アナウンサー(以下、橋本):こんな力強い音がハーモニカから出るんですね。あまり聞いたことのなかったジャンルだったので、すごく面白かったです。ハーモニカ単体で聞くことはあったんですけど、こうやってバンドと一緒になるのが、面白いですね。

神戸:セッションになっていて、面白かったです。

平和の祈り カタルーニャ民謡「鳥の歌」

神戸:スペイン・カタルーニャ地方の民謡『鳥の歌』は、カタルーニャ出身のチェロ奏者、パブロ・カザルスの演奏で世界的に知られるようになった、平和を願う歌なんだそうです。ウクライナ戦争、ガザ侵攻と悲劇的な争いが続く中で、今回のライブは開かれました。『鳥の歌』、岩石功さんのハーモニカでゆっくりお聴きになってみてください。

ポップスまで幅広い演目


田畑:何か郷愁を誘いますよね、このハーモニカの音色は。

神戸:バンドのセッションとは、また違う独奏でした。

橋本:明るさの中にちょっと悲しさもあって、聴き入っちゃいました。

今週末には朗読とセッション

神戸:演奏だけでなく、作曲も手掛ける岩石さんがこの週末に立つ舞台は、朗読とのセッションです。作家・野坂昭如さんが書いた『戦争童話集』(中公文庫)をモチーフにしたオリジナルの朗読で、ピアノ、ドラムに加えて、ボタン式の鍵盤楽器「バンドネオン」、岩石さんのハーモニカも参加して行われます。そこでの曲は、自分でそれぞれ作曲したものなんだそうです。
 

ハーモニカの魅力を語る岩石功さん

ステージで岩石:純然たる音楽の世界とはまた違った難しさと魅力があります。11月10日・11日は、福岡市美術館のミュージアムホールで公演します。今日、この朗読劇に出演される「語り部」の方が見に来ていますので、ちょっとお呼びしてみます。

ステージに上がったリュンコさん:岩石さんは、特攻隊員に寄り添うように音を奏でます。本当に哀切な、でも温かい優しい音を出してくださいます。音を聞くだけでもすごくいいかと思います。

岩石:僕らは知らないこともいっぱいあるんですね。戦争の爪跡がしっかり残っているということを勉強しました。この朗読劇でも私、曲を作曲して提供しています。ぜひ来ていただきたいです。

神戸:岩石さんが参加する朗読劇は11月10日と11日、大濠公園横の福岡市美術館ミュージアムホールで開かれます。

【朗読劇「おとがたり イノチノコト 忘れてはいけない物語」】


野坂昭如著『戦争童話集』(中公文庫、税込み565円)より
・「年老いた雌狼と女の子の話」
・「赤とんぼと、あぶら虫」

日時: 11月10日(金)午後6時半、11日(土)午後1時、午後5時
会場: 福岡市美術館ミュージアムホール
チケット: 3000円(18歳以下2000円)
電話: 092-282-8716(博多うまか遊び庵、平日午後5時半~11時)
メール: sensodowa.reading@gmail.com
出演:リュンコ、五島真澄、高野桂子(語り)/岩石功(ブルースハープ)/川波幸恵(バンドネオン)/上村計一郎(ドラム・パーカッション)

◎神戸金史(かんべ・かねぶみ)

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この記事を書いたひと

神戸金史

報道局解説委員長

1967年、群馬県生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。現在、報道局で解説委員長。