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畳xミュージックxアート「畳君」徳田直弘氏が一発屋ではなく草の根ファンを得た理由、文化が廃れてしまう強い危機感が原動力に

次世代に「文化」を残すために何ができる?伝統工芸を担う職人はいつも苦心する。いくら良いものでも、その価値を認める人が減れば自ずと廃れてしまう。現存する最古の絵巻「源氏物語絵巻」にも表現されている日本文化の象徴「畳」ですら例に漏れない。その畳の魅力を表現し、価値を“再発見”してもらうために、“ラップ”や“現代アート”を組みあわせて異色のアプローチをとる職人がいた。強い危機感が原動力になっているという。職人は「畳職人が畳を作るのは、空気を吸うぐらい当たり前。それ以外のことをやらないと畳は残らない」と話す。平日は畳職人、休みはラッパー、美術の個展も開き知名度を上げ「畳君」の愛称で親しまれている。今度は、空間デザインの領域にも手を伸ばそうとしていた―。

畳xミュージックの接点は「養成所講師」の一言だった


い草の香りに包まれ、機械の音が心地よく響くのは徳田畳襖店(福岡県朝倉市甘木)。黒縁めがねの青年が、大型の切断機を使いながら畳を張り替えている。120年近く続く畳店の4代目後継者・徳田直弘さん(32)だ。日焼けした畳の表面を取り外し、新しいものに交換していた。

徳田さん「ござと縁を新しくします。一番の繁忙期はお盆前の7月ですね」

手際良く畳を仕上げていく徳田さんは、10年ほど前までミュージシャンを目指していた。オーディションなどで結果を出せず思い悩んでいたところ、助言を受けた。音楽と畳をつなぐことになった接点がここにあった。

“歌う畳屋になって、畳業界を盛り上げなさい”(ミュージシャン養成所の講師より)

徳田さん「最初は畳屋と音楽が結びつかなかったんです。“愛され畳”をライブで披露したらすごく反響が良かったんです。畳の歌で人を幸せにすることができるんだと気づきました」

“愛され畳”(2012)は、ゆったりとしたレゲエ調のリズムにのせ、ストレートな表現を用いて畳の魅力を歌い上げる。どこか懐かしさを感じるコード進行にGReeeeNを彷彿とさせる歌声が重なる。つい口ずさんでしまうシンプルなメロディーラインがうけた―。

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この記事を書いたひと

小松勝

1991年生まれ。福岡県福岡市出身。

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