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フランス帰りのシェフが披露する、斬新で独創的な“福岡料理”

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食材が「ほぼ九州産」という店は昨今珍しくありません。けれど、それが「福岡産」になると(高級店なら尚のこと)数は一気に減るでしょう。
だからこそ「福岡産」を堂々掲げ、今春オープンした「3104 Fukuoka」は気になる存在でした。それが本当なら、このレストランの登場は“福岡LOVE”なグルマンには大事件なのですから。

3104外観 3104店内

所在地は、裁判所横の静かな住宅街。外から半地下の店内を覗くと、隠れ家風の洒脱な空間が見えました。客席はモダン&シンプルで、窓際のハーブ畑とコンクリートの天井が温かいコントラストを描いています。広めのオープンキッチンと9席のカウンターもスタイリッシュ。テーブル席もありますが、こちらはカフェタイムのみの利用です。

3104店主

着席すると、宗像出身のオーナーシェフ・聡司さん(写真左)が迎えてくれました。20歳からフランスに12年滞在し、数々の星付きレストランで腕を磨いた37歳。「店名は、フランス時代の僕の愛称です。あちらの人には“サトシ”が発音しにくいようで」と微笑みます。
帰国後は東京の人気店でシェフを務めますが、あるとき福岡に戻ろうと決心。東京で知り合ったパティシエの大地さん(写真右)を誘い、「3104」を構えたと言います。

3104メニュー

「ある時期、福岡と東京を往復していた頃、徐々にこの土地の魅力に惹かれました」と聡司さん。「熱い生産者が素敵な食材を送りだす福岡で、新たに勝負したいと思ったんです。郷土料理を自分なりにアップデートしたり、生産者さんのストーリーも語れる店を目指してます」
その情熱を示すのが、席に置かれた1枚のペーパー。表には今宵の料理の食材名、裏にはその産地と生産者の名がびっしり書かれています。ジビエ、果物、オリーブオイルに醤油、酒……これほど多くを福岡産で賄えるとは驚きでした。「他にもここに載ってない食材がありますよ」との言葉に二度びっくり。このペーパーは生産者の汗の結晶であり、それに敬意を払う聡司さんとの交流記録なのです。

3104アスパラ

そんな<メイド・イン・福岡>を突き詰めたディナーコース(13,200円)は13~14品で構成。この日はアミューズ4品、前菜3品、魚、肉、シメの一品、デザート2品、小菓子、ドリンクという内容です。聡司さんの語りも期待通りの楽しさで、朝倉産ウイスキーで香り付けした豚骨スープや、卵の殻を器にしたニンジンのポタージュなど、次々と明かされるレシピやトリビアに興味が尽きません。

また、愛らしく美麗なビジュアルも“聡司料理”の大きな特長。田川産紫アスパラの前菜はその一つで、自宅の農園で採れたハーブや花々の香りも艶やかでした。「茹でる前は紫色なんです」と調理前のアスパラを見せるなど、客と生産者を繋ぐ気遣いも好印象です。

3104鹿肉 3104豚骨ラーメン

ジビエ好きなら感涙必至の肉料理も見事でした。今宵は聡司さんが「天才」と仰ぐ宮若市の猟師が仕留めた鹿で、極上の歯応えがなんとも鮮烈。周りに添えた鹿の生ハム・ベーコン・サラミも上出来で、なんとこれらは聡司さんのお手製とか。フランスの食肉加工場で学んだ技で、こうしたシャルキュトリーを常時10種は作っているそうです。

続くシメの一品は、最近の定番だという豚骨ラーメン。うきは市「リバーワイルド」の豚バラ肉や、生クリームなどで仕立てる特製スープが絶品で、上品な野趣を秘めた日仏融合の傑作です。 細切りじゃがいもを使ったバリカタ麺もユニークでした。

3104デザート

ラストのデザート2品は、聡司さんが信頼を置く大地さんの独壇場です。1品目のデザートは、飴のプレートとフルーツの間に挟んだクリームが秀逸。大牟田の「オーム乳業」製サワークリームとマスカルポーネも加えてありました。2品目の八女煎茶のスフレ共々、文句なしのスイーツです。

こうしてすべての食事が終わり、最後に残ったのは「丸ごと福岡を味わった!」という満足感。この余韻はちょっと他になく、しかも料理は日々進化中というから楽しみです。なにしろ暇さえあれば生産者の手伝いに行き、山で山菜を摘んだり宗像の海水で塩を作ったり、果ては狩猟免許まで取るエネルギッシュな聡司さん。こうした経験に磨かれた、無類の“福岡料理”は人々にどんなインパクトを与えるのでしょう。
「先のペーパーにも書いていますが、“感謝と愛を込めて”──これが僕のモチベーションです。生産者さんやお客様、店に関わるすべての方が幸せになれる場所を作りたいですね」。例えるならば、それは食と人を心地よく結ぶラボ(実験室)。無性に応援したくなる店が、また一軒増えました。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

店舗名:3104(サントス)Fukuoka
ジャンル:フランス料理
住所:福岡市中央区谷1-12-35 ザ・ガーデン1F
電話番号:070-8515-3104 完全予約制
営業時間:ランチ12:00か13:00の一斉スタート/カフェタイム14:30~17:00/ディナー18:00か20:30の一斉スタート
定休日:水曜
席数:カウンター9席、テーブル12席
個室:なし
メニュー:ランチコース/6,600円・ペアリングコース12,100円、ディナーコース/13,200円・20,000円、ペアリングコース24,200円・35,500円 サービス料10%
URL:https://www.instagram.com/3104.fukuoka/

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この記事を書いたひと

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