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異例の「福岡県町村会」会長選 大任町長が5選狙い出馬するも批判受け落選

福岡県内31町村で組織される福岡県町村会で6日、異例の会長選挙が行われ、水巻町の美浦喜明町長が当選しました。規約では4期までとされている中、5期目を狙った大任町の永原町長は落選、多選に加え、公共工事の入札で違法状態を続けたことや、情報公開に後ろ向きな姿勢などに批判の声が高まっています。

5選目指し出馬した現職 多選批判で対抗馬

永原譲二会長「聞くところによりますと、30数年ぶりに投票による選挙が執り行われます。選挙後は一致団結し、町村振興に邁進していただけるようご協力をお願いいたします」

6日午後に行われた福岡県町村会の会長を決める選挙。異例の選挙戦には、これまで4期会長を務めた大任町の永原譲二町長と、水巻町の美浦喜明町長が出馬しました。規約では4期までとされている会長職。全国町村会で副会長を務める永原町長が、「理事会の同意を得た」として例外的に5期目を狙ったことに対し、美浦町長は多選を批判し「規約を基本に対応すべき」として出馬を決意しました。

大任町では永原町長に対する反発も表面化

「独裁町政を許すな」

その永原町長のおひざ元の大任町では4日、永原町長の解職=リコールを目指すデモが行われました。

参加した大任町民「ちゃんと法律を守って、今の町長が発表しないとかそういう面を正しくして欲しいと思います」

福岡県の町や村の代表として永原町長はふさわしいのか、参加者からは疑問の声が上がっていました。

次谷隆澄町議「うちの町の町長が福岡県の町村会の会長に居座るということは、絶対あってはならないと思っています」

情報公開に対する町長の態度を国も問題視

批判の声が上がる背景の一つに、永原町長が違法状態を続けてきたことがあります。公表が義務付けられている公共工事の入札結果を公表せず、国から法律違反を改善するよう求められていました。

斉藤鉄夫国交大臣「法律に違反しているため、改善いただく必要があると考えております」

入札結果は2023年4月からようやく役場で閲覧できるようになりました。また、情報公開の対象を1年以上居住した町民に制限していることにも疑問の声が上がっていました。
こうした中、4月の田川市長選挙では、永原町長が支援していた義理の弟である現職が落選。大任町議会議員選挙では永原町政を批判し続けてきた次谷隆澄氏がトップ当選したほか、永原町長を批判する議員が新たに1人誕生しています。

5選ならなかった大任町長は…

6日の町村会長選挙の結果、当初不利ともみられていた水巻町の美浦町長が16票を獲得して当選。14票だった永原町長は落選しました。

Q.永原さん、結果をどう受け止めていますか?
永原譲二・大任町長「……」

6月10日付で福岡県町村会長に就任する美浦町長は――。

美浦喜明・水巻町長「会長任期を1期2年、4期までとする主張を多くの方が支持していただいたと感じています」

多選を批判し規約通りに次の世代に継承するという当たり前の判断が、過半数の町村長に受け入れられた結果となりました。

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この記事を書いたひと

今林隆史

1976年生まれ 福岡市出身 政治・経済などのニュース取材に加え、ドキュメンタリー番組の制作にも携わる。第58次南極観測隊に同行。JNNソウル特派員として韓国の大統領選挙(2022)などを取材。気象予報士・潜水士の資格を有し、環境問題や防災、水中考古学などをライフワークとして取材する。 番組「黒い樹氷~自然からの警告~」で科学技術映像祭 内閣総理大臣賞(2009)、「甦る元寇の船~神風の正体に迫る~」同映像祭 文部科学大臣賞(2013)など受賞。