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図書館の裏側に潜入!貴重な映像フィルムは「冷蔵庫並みで温度管理」

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福岡市総合図書館(同市早良区)の蔵書は約130万冊。普段は入ることのできない書庫など、図書館の裏側=バックヤードはどうなっているのか。RKB毎日放送の神戸金史解説委員長が取材し、7月2日のRKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』で伝えた。

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福岡市総合図書館(同市早良区)の蔵書は約130万冊。普段は入ることのできない書庫など、図書館の裏側=バックヤードはどうなっているのか。RKB毎日放送の神戸金史解説委員長が取材し、7月2日のRKBラジオ『田畑竜介Grooooow Up』で伝えた。

「総合」の意味とは?

あなたは普段「図書館」を使っていますか? 私は福岡市総合図書館によく通っていて、時には本を探したり、時には相談に行ったり。「こういう本を以前に読んだのですが、探せませんか」など聞くこともあります。福岡県立図書館(同市東区箱崎)も使っています。

福岡市総合図書館の、普段は入ることのできない書庫など図書館の裏側=バックヤードをのぞく機会をいただきました。広報担当の森田幸加子(ゆかこ)さんに、総合図書館の舞台裏を案内してもらいました。総合図書館の「総合」とは何だろう、という話から始まりました。

森田幸加子さん:普通「図書館で、本がある。以上!」な感じだと思うんですけど、総合図書館は、(1)図書資料、(2)文書資料、(3)映像資料の3部門があるんですね。本だけじゃなくて、映像資料はフィルムや映画とか、あと古文書とかものすごく古い本だったり、文学にまつわる古い資料とか、また公文書とか、いろいろなものが全部あるので「福岡市総合図書館」という名前になっています。「総合図書館」という名前は、あまり実は他のところにはないんですよね。

全然知りませんでした、最初から。

総合図書館にある映画館「シネラ」

3つ目の映像資料部門。福岡市総合図書館には、フィルム映写ができる映画館「シネラ」があります。


森田さん:こちらは映像ホール「シネラ」、映像資料部門の、実際に上映をしているところです。こういうショーケースでも、ポスターとかパンフレットとか、そういったものも映像資料の一部になるんですね。今はこちらで上映しているものに関連した資料を展示しています。

森田さん:こちらの舞台に立った人は、そういないと思います。

神戸:そうですよね、スクリーンの前の舞台に立つことなんて。広いんですね、このステージ。

森田さん:そうなんですよ。映画に合わせての講演会を行うこともありますね。トークショーとかですね。

ステージから客席と映写室を見る

森田さん:246席ありまして、28年前に建てたものなんですけれども、シートも開館当時のものをそのまま大切に使っています。

神戸:施設としては、ゴージャスですよね。

森田さん:そうですね。やっぱりなんていうかその当時のちょっときらびやかな感じがあるのかなと思いますけれども。

森田さん:こちらで上映されている作品は、基本的には図書館に収蔵されている資料として収蔵されている映像作品がほとんどなんです。つまり「ほかの映画館ではまず上映してないだろう」という内容になっていまして、料金も500円とか非常にお手ごろなので、「知的なデートをお望みの方」にはおすすめスポットかなと思いますね。


 


 

「400年もつ」フィルムを厳重管理

総合図書館のフィルムアーカイブには、3300本以上の映画が登録されています。アジア映画が1000本近くを占めているのが特徴です。3階の「フィルム収蔵庫」に向かいました。その途中、森田さんから、こんな質問をされました。

森田さん:フィルムって、何年もつと思います? 

神戸:いや、わかんないです…。

森田さん:本当に適切な管理下のもとであれば、400年もつって。

神戸:400年ですか?!

森田さん:そうなんです。よくもう「今デジタルになってるんだからフィルムなんて」とか言う人もたまにいらっしゃるんですけど、本当にオリジナルを残していく意味って、非常にあるんです。

森田さん:フィルムはすごく保存状態が大切です。摂氏5度とか。

神戸:寒いんですね?

森田さん:はい、非常に寒いんですけれども、ただ急激に冷やすんじゃなくて、ちょっとずつ冷やすために、「前室」が2つあります。

(ドアを開ける)

神戸:お、ここでもけっこう寒い。

森田さん:こちらで今11度。

神戸:温度計が!

森田さん:こういうふうに温度を下げていくことで、結露が起こらないようにしてるんです。なので、上映の1週間前ぐらいからちょっとずつ、何日かごとに移動して。

神戸:前に出してくるんですか。前室に移して。

森田さん:逆もそうです。終わった後もちょっとずつ、ちょっとずつ。

(もう一つドアを開けて)

森田さん:さあ、こちらが…

神戸:おー、寒い!

森田さん:こちらが基本5度、湿度を40パーセントに保つようにしています。

冷蔵庫並みの寒さ。適切な管理下では400年。ずらっと、平らな円盤型の缶に入ったフィルムが並んでいました。高倉健さん(福岡県中間市出身)が、映画に出演した時には自分用にフィルムを1本焼いてもらって持っていたのだそうです。健さんから寄贈を受けたフィルムの棚がありました。RKBの伝説的なドキュメンタリスト、木村栄文さんの作品もフィルム化した形で収められたりしていました。

奥行80メートルの巨大な本棚ゾーン

私たちが本を手に取ってみることができるのは1階と2階の「開架書庫」だけですが、バックヤードには「閉架書庫」と言われる一般には見られない本棚があります。130万冊のうち約半分が収められているのだそうです。

森田さん:では、いよいよ4階に…。

神戸:4階?

(鍵を開けて)

森田さん:私はここの匂いが大好きなんです。どうですか?

神戸:ああ、「紙」の匂い。

森田さん:これは、好きな人と、「苦手」と言う人と分かれるんですよね。

神戸:僕は、好きな方ですね。

森田さん:ああ、よかったです。

森田さん:そして、ここ。直線で、80メートルあります。

神戸:すごい! 本棚が80メートル並んでいるなんて、見たことがない。

 

森田さん:この間、出版会社の社長さんたちがたくさん見えたバックヤードツアーがあったんですが、その時も皆さんすごく驚かれていました。「こーんな…すごいね」って言われてて。

森田さん:必然的に、古い本の方が閉架にはあります。バックヤードツアーの子供たちに「こんなのもあるよ」って言ったら、もう興味津々で、動かなくなっちゃった子がいて、「もう行くよ」って言っても「嫌だ、読むー」みたいな。すごく不思議なんでしょうね、同じ年の子が読んでた昔のものが。

森田さん:例えば、こんな…尋常小学校…(中を開くと)「テンノウヘイカ バンザイ」って書いてある!

神戸:わー、天皇陛下万歳って書いてますね! 尋常小学校の教科書。「修身」だ、はー…。

天皇陛下万歳…さすがに「すごいな、戦前は」と思いました。

 

本を修理して後世に残すボランティア

総合図書館本館のほか、分館が市内に11あります。返却ポストは、地下鉄博多駅やショッピングモールの木の葉モールなど14か所にあり、本を毎日回収したり、配達したりしています。その中で、傷んでくる本もあるんですね。

神戸:バックヤードで働いている方が、結構いらっしゃいますね。

森田さん:そうなんですよ。意外と図書館で働く人は多くて、本館だけで100人ちょっと働いてますね。いろんなお仕事がありますので、表に出てる司書さんだけじゃなくて、バックでいろいろと図書館がうまく運営していけるように働いてくださってる方もたくさんいらっしゃいます。

森田さん:ボランティアの方々が修理をされている所です。ノリだったり、糸だったり、いろんなものを使って。熟練の方もたくさんいらっしゃいますので、

神戸:はー。バラバラになっていますもんね、本が。

森田さん:そうですね。よく「ちょっと破れちゃったから」って言ってテープで貼ってきちゃう人がいらっしゃるんですけども、本当に絶対にやめていただきたい。テープを貼って戻されると、その本が変色しちゃうんです。そういう風にカウンターで言っていただければ、できる限りこちらで修理しますので。

神戸:こんなバラバラでも…、ノリで貼り付けるんすか?

ボランティアの女性:ノリで貼り付けるのとか、縫ったり。

神戸:あ、糸で縫ったり。

ボランティアの女性:バラバラ、ビリビリなので、全部外してテープ修理をした後に、今度は縫っていきます。そして元通りになっていきます。

神戸:すごいですね、びっくりしました。

森田さん:買おうと思っても買えない本もたくさんあるので、皆さんの手で直しながら、ずっと後世の方も見ていただけるように修理をしているんですよね。

神戸:ああいうボランティアの方がいらっしゃるのは、すごいですね。

森田さん:交通費を図書館で持ってるわけじゃないんですけど、足しげく通ってくださって、年間で何百時間とボランティアをしてくださる方もたくさんいらっしゃるので、本当にありがたいですね。

ボランティアの人たち、すごいんですよ。知らないことばかりでした。福岡市の財産ですね。総合図書館のバックヤードツアーは、夏休みに体験できるチャンスがあります。開催日は8月1日(木)、4日(日)の午後、定員はそれぞれ20人です。申し込みは総合図書館ホームページで、7月15日から22日の間に受け付けます。詳しくは、福岡市総合図書館のホームページをご覧ください。抽選だそうですが、当たったら楽しめますよ。

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この記事を書いたひと

神戸金史

報道局解説委員長

1967年、群馬県生まれ。毎日新聞に入社直後、雲仙噴火災害に遭遇。福岡、東京の社会部で勤務した後、2005年にRKBに転職。東京報道部時代に「やまゆり園」障害者殺傷事件を取材してラジオドキュメンタリー『SCRATCH 差別と平成』やテレビ『イントレランスの時代』を制作した。現在、報道局で解説委員長。