闇を照らす舞
「来ませ見せましょ鶴崎踊 いずれ劣らぬ花ばかり―」大分県大分市鶴崎地区に戦国時代から伝わる「鶴崎踊」。昭和61年に国の無形民俗文化財に選択されるなど、大分県を代表する郷土民俗芸能のひとつとなっている。大分市東鶴崎に住む全盲の鍼灸師・森下信乃さん(54)は、幼いころから毎夏、鶴崎踊に参加。
しかし、難病の網膜色素変性症と診断され、徐々に視力を失い、全盲へ…。結婚、子育てもあり、しばらく鶴崎踊とは遠ざかっていたが、地区の人に声をかけられ再び参加を決意。日々の暮らしは、夫の悦郎さん(58)と盲導犬のガブリエル(2)が支えているが、踊り会場では地区の人たちが信乃さんをサポート。
当日の着付けやメイクは同じ地区の女性が施し、踊りの際は自治会長が信乃さんの横に寄り添う。夫の悦郎さんが手に持つ鈴の音を頼りに、進行方向と位置を調整。列から外れることなく約20分の演目を踊る。「地区の人々から手厚いサポートを受けているから私も鶴崎踊に参加できる」と話す信乃さん。全盲の踊り子と地区の人々との華やかな夏の夜を追った。
(制作:OBS大分放送/植村 裕)
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