PageTopButton

母の愛が炸裂! どこか懐かしい究極の「オバ愛メシ」を調査

おばあちゃんやお母さんが作ってくれる料理は、なぜか美味しくて心が温まります。「ハカタの王様」では、それを「オバ愛メシ」と総称。愛情たっぷりのメニューの裏側を調査すべく、今回は福岡市の「ラーメンファミリー」と北九州市の「錦うどん」に向かいました。

親子二人三脚の「ラーメンファミリー」(福岡市西区)

最初に向かったのは、福岡市西区。九州大学伊都キャンパスにほど近い「ラーメンファミリー」です。その名の通り、店内はファミリー客でいっぱい。

そんな「ラーメンファミリー」を経営しているのは、波多江さんファミリーです。仕込みを担当するのは、78歳のスヱ子ママ、調理を担当するのは息子の孝幸さん。親子2人で店を切り盛りしています。

しかし、よくよく店内を見まわすと、ラーメンではなく定食を注文しているお客がたくさん。なんとこの日は満席の店内にいるお客25人のうち、2人しかラーメンを食べていませんでした。これでは「ラーメンファミリー」ではなく「定食ファミリー」なのでは……?

その理由は、定食についてくる「ご飯」。「フワフワで、いくらでも食べられる」と評判なのです。

こだわりと愛情がたっぷり! ご飯の秘密

それもそのはず、ご飯にはスヱ子ママのこだわりが詰まっています。ポイントは、お米を炊くときに「こめ油」を加えること。これが、ふっくらとしてツヤのあるご飯に仕上げてくれるのです。なんと、朝の仕込みだけで1斗1升のご飯を炊いているのだとか。

また、ブランド米「ヒノヒカリ」の新米を使い、お椀には山盛りよそうのもスヱ子ママのこだわりです。これぞまさに“オバ愛盛り”。

小めしでも400g、大めし(+70円)は800gと驚きのボリュームですが、ペロリとたいらげるお客がほとんどというから驚きです。

そんな“オバ愛盛り”なご飯の味を引き立てるのは、孝幸さんが作る絶品おかず。スヱ子ママが丁寧に下ごしらえをした材料を使い、見事なファミリープレーで次々に調理を進めます。スーパーの精肉部門に務めていた無類の肉好き・孝幸さんが作る「チキンカツ定食」(800円)や「生姜焼定食」(800円)は、ご飯が何杯でも進んでしまう味付け。

なかでも一番の人気は「とり鉄定食」(800円)です。鶏肉とたっぷりの野菜をオリジナルの濃厚醤油ダレに絡めています。また、木曜限定の「レバニラ鉄板定食」(800円)は、午前中に売り切れてしまうこともあるとか。ポイントは鶏レバーを使って柔らかく仕上げている点で、甘い味噌ダレがよく合います。


また、スヱ子ママお手製ご飯は、焼めしにしても絶品。お玉2杯分の「半焼めし」(500円)、普通盛りの「焼めし」(700円)、思わず笑いが出る「大盛り焼めし」(850円)があります。

「ラーメンファミリー」の歴史

実は「ラーメンファミリー」の前身はスーパー。大型スーパーが増えるなど時代の変化に太刀打ちできなくなり「ラーメンファミリー」を開店することになったそうです。しかし、お店を建てた半年後にスヱ子ママの夫が急逝。そこから息子の孝幸さんと二人三脚で今までやってきたのだと言います。

そんな孝幸さんは、スヱ子ママのことを「お客さんにかわいがってもらっている」と話します。まさに看板娘のスヱ子ママはお客さんとの触れ合いも大切にしているのです。そんな気遣いこそが「オバ愛メシ」の真骨頂なのかもしれません。

変わらない味に癒やされる「錦うどん本店」(北九州市小倉北区)

続いて向かったのは北九州市小倉北区中井の住宅街にある創業60年の「錦うどん本店」。午前8時に訪れると、すでに出汁の香りがただよっています。迎え入れてくれたのは、店主の伊熊幸恵さん(80歳)です。

なんと、すでに仕込みが完了していたとのことで、翌日の午前5時に再訪問しました。オープンは午前11時のはずなのに、この時点で出汁の香りが。4時にはガスの火をつけて具材の仕込みを始めていたそう。

具材と同時に、うどんの命と言える出汁づくりにも取り掛かります。使用する昆布は北海道産の真昆布にこだわり、前日から水に漬け込んで旨みを抽出するのがポイントです。なんと、昆布だけで年間200万円ほどかかっているそう。仕上げに鯖節やウルメ節を加えて完成です。

働き者でサービス精神旺盛な幸恵ママ

具材と出汁の仕込みを終えた幸恵ママが次に向かったのは、なんと台の上。「毎日のことだから」と、軽快にうどんの生地を踏んでいます。これぞ「錦うどん」の手打ち麺を美味しく仕上げるコツ。

そして、午前11時のオープンとともに地元の常連客が続々と訪れます。


創業から今日に至るまで、厨房に立ち続ける幸恵ママ。これこそが「錦うどん」が「オバ愛メシ」たる所以なのでしょう。

さらに取材を進めていると、「かやく」という注文が飛び交っていることに気が付きました。

その正体は「かやくうどん」(700円)。お揚げ、牛肉、わかめ、ゴボウのかき揚げなど、幸恵ママが丹精込めて仕込んだ具材がたっぷりのっています。その味に「日本一」と唸るお客たち。また、赤ちゃん用には優しい白だしをサービスしてくれるのも「錦うどん」ならではです。


さらに、ほぼすべてのメニューにゴボウのかき揚げが無料でトッピングされているのも幸恵ママの愛情の表れ。なんと、そのときの気分次第でどんなトッピングが出てくるかわからないのだそう。

そんなサービス精神旺盛の幸恵ママは、3年前に体調を崩して闘病中とのこと。現在は娘のけいこさんが遠くから手伝いに来ているそうです。元気な姿を見せる幸恵ママに、喜ぶ常連客も少なくありません。どうか、いつまでもお元気でいてください!



いつも変わらない味の「オバ愛メシ」は、まさに“実家の味”のような存在。元気になりたいときには、ぜひ足を運んでみてください。

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう