家の新築にあたって、リビングルームで子どもが勉強する「リビング学習」の間取りが気になっている方は多いのではないでしょうか。特に未就学や小学生の子どもがいるご家庭なら、親の目が届くため安心でもありますね。
とはいえ、リビング学習の間取りにするとリビングが狭くなってしまうのではないかという不安もあるでしょう。今回は、リビング学習のメリットとデメリットや必要な広さを把握し、使いやすいリビング学習スペースをつくるポイントを解説します。
リビング学習のメリットとデメリット
個室学習とは違い、家族がいるリビングが勉強の場となるリビング学習はどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。ポイントとなる項目別に見ていきましょう。
子どもの学習状況の把握
親と子が同じ空間にいるため、親が子どもの学習状況を確認しやすいのがリビング学習の特徴です。子どもの性格などにもよりますが、小学生までは子ども自身が学習計画を立ててその通りに進めていくのはなかなか難しいもの。宿題の進行具合や子どもの集中度を把握し、学習の習慣づけのサポートがしやすくなるでしょう。
子どもの学習への姿勢
リビング学習は、親がくつろいでいる空間で子どもが勉強するというスタイルのため、親の過ごし方によっては集中しにくくなる可能性はあります。調理中の音や匂い、他の家族の話し声などが気になって学習効率が落ちる場合もあるでしょう。
一方で、親がそばで読書や資格勉強などをしていれば、子どもがそんな親の姿を見て集中する方法を自然と覚えたり、読んでいる本や閲覧しているニュースなどを軸に会話が生まれたりする機会が増え、子どもの成長につながるかもしれません。
リビングでの過ごしやすさ
リビング学習を取り入れると、リビングの一角に学校の教科書やノート、塾の教材、文房具などを置くことになります。散らかりやすい細かいものが多いため、雑然とした印象にならないよう収納スペースを確保しましょう。
リビング学習スペースとして必要な広さは?
リビング学習を取り入れる場合、どれくらいの広さがあると使いやすいのか気になりますね。リビング学習スペースの目安は「必要な家具+動作スペースの合計」で考えると分かりやすいです。
まず机は、1人の子どもが教科書とノートを横並びに広げ、文房具なども置きながら余裕を持って学習できる広さの目安が、幅60cm、奥行50~55cmです。兄弟姉妹が並んで勉強するなら、1人ずつ机を並べるより一枚板のカウンターを設置した方がスペースを共有しやすく幅を短縮しやすいです。
次に、椅子の立ち座りの動作スペースを考えます。子どもが学習している時は椅子を机に寄せているため40cm前後、椅子を引いて立ち上がる際は50cm前後のスペースが奥行き方面として必要です。机の奥行きと合わせると、90~105cmの奥行きが必要となります。
もしリビング学習スペースの後ろが通路なら、勉強中に家族が通る可能性も考慮しておかなければいけません。成人男性が正面を向いて歩く際に必要な横幅の目安60cmを足して、奥行き150~165cmは確保しておくと通りやすいです。
教科書や文房具などを収納するスペースは、足元にワゴンを置くなどするとスペースを有効に使えます。
使いやすいリビング学習スペースをつくるポイント
リビング学習スペースをプランニングする時は、子どもはもちろん、同じ空間で過ごす親も過ごしやすいレイアウトや広さにすることが大切です。快適なリビング学習スペースをつくるポイントをご紹介します。
リビング内の動線を妨げない
リビング学習スペースを設けたものの、リビング内の移動がしにくくなるという事態を避けるには、家事をしたりくつろいだりするスペースとリビング学習スペースとが重ならないようレイアウトするのがポイントです。たとえば、リビング奥の壁面に沿って机や一枚板のカウンターを設置すると、リビング全体の動線にはほとんど影響しないためおすすめです。
もしリビング階段を計画しているなら、デッドスペースになりがちな階段下のスペースをリビング学習スペースとして活用するのもおすすめです。家族がくつろいでいる場所から少し離れているため、勉強に集中しやすいですし、階段の傾斜に合わせて壁面に棚をつければ教科書や図鑑などをまとめて収納できます。
必要に合わせて仕切ることができる位置にする
勉強中だけ軽く仕切ることができる可動式パーテーションを使うと、専用の学習スペースができて集中しやすいスペースが簡単につくれます。個人差はありますが、場所の一角を仕切って狭く奥まった場所をつくると、自分だけの特別な場所、秘密基地のような感覚で集中力が上がる子どもは多いようです。個室のように完全に遮断されてはいないため、ほどよい独立感が心地よいのかもしれませんね。
リビングのコーナーや壁際など、仕切りやすい位置にリビング学習スペースをつくっておくと、使い方がアレンジできます。急な来客時に勉強道具が散らかっていても、パーテーションでさっと隠せるのも便利です。
まとめ
リビング学習スペースは、子どもが成長し個室で勉強するようになっても親がワークスペースとして使えるため、最近人気が高まっています。
リビング内の快適性を維持できること、子どもの学習意欲が高まるレイアウトにすることをポイントとして押さえ、子どもの性格なども考慮しながらプランしていきましょう。
WRITER
河野 由美子 二級建築士・インテリアコーディネーター・防災備蓄収納1級プランナー
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住宅設備メーカーや住宅コンサルタント会社、大手ハウスメーカーでの勤務を経て独立。 日常の中に非日常を感じられる空間づくりをコンセプトとし、住宅やオフィス・医療施設・店舗などの設計およびインテリアコーディネートに携わっています。 建築インテリア関連記事の企画執筆や監修業務、研修講師、建築関連資格対策テキスト監修、工務店施工事例集ディレクションなどの実績も多数。
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