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豚骨+鶏ガラの特製スープで厳選具材を煮込んだ優しいちゃんぽん

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ここ最近、今泉の裏通りに美味しいちゃんぽんを食べさせる店があるという評判を各方面から耳にしていました。おそらくコロナ前に一度行ったことがある店かと当たりをつけて上人橋通りから路地に足を踏み入れると、以前とは違って紺色に白字で「チャンポン」と書かれた提灯が。以前は「古4季」だった屋号も、カタカナ表記の「コシキ」に変わっていました。果たして、ちゃんぽんの味も変わったのか否か? それを確かめるべく、マンションの奥へと歩を進めました。

コシキ_外観

エントランスから奥まった場所にある店内の雰囲気は以前のままで、アンバーな木目調をベースにした落ち着きのある空間。メニューを開くと、「ちゃんぽん」「あんかけちゃんぽん」「皿うどん」の三大定番メニューも変わりありません。ただし、厨房で中華鍋を振るうのは、3年前に先代から店を継承した現店主の櫻田真也さんでした。

コシキ_店主

櫻田さんは千葉県君津市の出身で、10代の頃からバンド活動のかたわらアルバイトで長く飲食業に従事。福岡に住む友人の伝手で、先代が営んでいたちゃんぽん店「古4季」をしばしば訪れていたそうです。数年前、先代が店を畳むという話を聞き、「どうしてもこの味を残したい」という思いから福岡に移住して店を継承。2022年7月に新生「ちゃんぽん亭コシキ」としてリスタートを切りました。

君津と聞いて、北九州市出身の筆者がピンときたのが「昭和の民族大移動」です。昭和40年代、当時の八幡製鐵所の新工場建設によって北九州から君津へ2万人もの工員や家族が移住し、豚骨ラーメンなどの食文化も伝わりました。櫻田さんも子どもの頃から関東では珍しい豚骨スープに親しんでいたそうで、そんな原体験もちゃんぽん屋を継承する下地になったのかもしれません。

コシキ_料理1

「ちゃんぽん」(960円)は、豚骨に鶏ガラを加えて煮込んだスープに、博多区の老舗製麺所「諸富食品」に特注する中太麺が基本のフォーマット。中華鍋で炒めた具材に麺を投入し、特製スープでしばらく煮込むことで具材と麺から染み出した旨味が渾然一体となった「コシキのちゃんぽん」が完成します。

コシキ_料理1_2 コシキ_料理1_3

もうもうと湯気が立ちのぼる丼から、まずはレンゲでスープをひと掬い。ズズッと啜れば、パンチのある豚骨の後に鶏ガラのまろやかな風味が続きます。「基本的には先代のレシピを忠実に守っています」というスープに臭みやしつこさはまったく感じられず、ジワッと身体に染み入るような優しい味わいです。

ややエッジを立たせた中太麺の脇を固める具材は、豚肉、アサリ、ゲソ、カマボコ、キャベツ、モヤシ、玉ネギ、ニンジン、キクラゲなど。キャベツ以外の野菜はサイズを揃えた薄切りにしてあり、麺とスープによくマッチします。個人的にはツルンとした舌触りにシャキッとした食感のキクラゲがツボで、変化球的なアクセントになっていました。

コシキ_料理2

先代直伝の定番メニューのもう一つが、生のチャーメンをパリッと揚げたボリュームたっぷりの「皿うどん」(1,050円)です。基本の具材はちゃんぽんと同じですが、特製スープを餡かけにすることでより濃厚な味わいに。揚げたての麺は最後までパリパリ感が残り、飽きずに完食することができました。

こしき_店内

ちゃんぽん、皿うどんにミニカレーやミニチャーシュー丼、唐揚げなどが付いたお得なセットメニュー(+450円)もあり、おつまみ3品にドリンク2杯が付いた「晩酌セット」(15時~980円)などで、昼から飲める居酒屋としての利用もOK。飲んだ後に、"〆のちゃんぽん"というのもありですね。

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